大丸、百貨店の常識「消化仕入れ」依存を脱却…テナント比率65%の“パルコ化”に活路

 J・フロントの好本達也社長の使命は脱・百貨店路線の総仕上げである。大丸心斎橋店(大阪市)は大丸最大の旗艦店で、再開発に5年の歳月をかけた。J・フロントが追及してきたのは「百貨店の未来」像だ。500億円を投じ、本館を建て替え、北館にパルコを誘致した。そして、これまでの百貨店業界の常識だった「消化仕入れ」と呼ばれる仕入れ方法を見直した。

 消化仕入れの売り場では、店頭の商品は取引先の在庫である。商品が売れた時点で百貨店が仕入れたことになる。売れ残っても百貨店には損失が出ない。だから、百貨店は「場所貸し業」といわれてきた。

 19年秋に建て替えた大丸心斎橋店本館は消化仕入れの売り場を大幅に圧縮。旗艦店としては異例のテナント比率65%を達成した。消化仕入れのモデルから、テナントからの家賃収入に依存する不動産モデルに思い切ってシフトした。好本社長が次なるターゲットとして見据えているのは、松坂屋の発祥の地にある、グループ最大の旗艦店、松坂屋名古屋店(名古屋市)だろう。グループの国内百貨店は16店あるが、今後はテナント比率を急拡大し、いわゆる“パルコ化”が検討されることになる。

 脱百貨店の具体策がギンザシックスとパルコ化だったが、コロナが、このビジネスモデルを粉砕した。

21年2月期の業績予想を下方修正

 1月以降の緊急事態宣言の再発出の影響で売り上げが減少したことから、J・フロントは21年2月期の最終損益(国際会計基準)を260億円の赤字(20年同期は212億円の黒字)と、従来予想から74億円下方修正した。

 昨年9月段階で260億円の最終赤字としていた業績予想を、いったんは引き上げた。客足の回復やコスト削減が背景にあった。だが、コロナの第3波の到来で百貨店の客数は12月が前年同月より4割減り、1月も5割減と低空飛行が続く。

 総売上高は従来予想より444億円引き下げ8104億円(前期比28%減)を見込む。年商1兆円の大台を大きく割り込むことになる。賃貸収入も大きく減少し、この結果、売上高にあたる売上収益は前期比34%減の3190億円と従来予想を185億円下回ることになる。

 2月には傘下の商業ビル・パルコで津田沼店(千葉県船橋市)と新所沢店(埼玉県所沢市)の閉店を決めた。店舗閉鎖関連費用(約44億円)のほか減損損失を計上する。パルコの事業環境の悪化を受け、繰り延べ税金資産を取り崩し60億円の税金費用を計上する。

(文=編集部)