『青天を衝け』渋沢栄一の“同僚”一橋徳川家臣団の全貌…徳川慶喜に仕えた有能な男たち

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田安徳川家の第10代当主・徳川達成(1899~1961年)の妻であった徳川元子が著した『遠いうた 徳川伯爵夫人の七十五年』(文春文庫)。

 また、清水徳川家が多額の負債を抱えて、明治32(1899)年に爵位(伯爵)を返上している。当主・徳川篤守(あつもり)が連帯保証人になったという説や、執事が使い込みをしたという説があり、真偽のほどは定かではない。しかし、尾張徳川家では、代官の子から総理大臣に出世した加藤高明が、家政顧問となって家政改革を成功させた事例があるので、「お家大切に殿様を真剣に護り立てる忠実な家来」がいれば、免れたかもしれない。

 ちなみに清水徳川家は、篤守の子・徳川好敏(よしとし)が日本初の航空パイロットとして昭和3(1928)年に男爵を与えられている。

(文=菊地浩之)

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●菊地浩之(きくち・ひろゆき)
1963年、北海道札幌市に生まれる。小学6年生の時に「系図マニア」となり、勉強そっちのけで系図に没頭。1982年に國學院大學経済学部に進学、歴史系サークルに入り浸る。1986年に同大同学部を卒業、ソフトウェア会社に入社。2005年、『企業集団の形成と解体』で國學院大學から経済学博士号を授与される。著者に、『日本の15大財閥 現代企業のルーツをひもとく』(平凡社新書、2009年)、『三井・三菱・住友・芙蓉・三和・一勧 日本の六大企業集団』(角川選書、2017年)、『織田家臣団の系図』(角川新書、2019年)など多数。