世界的な異常気象、中国の気候改変プログラムが影響か…中国全土に豪雨災害、「気象兵器」レベル

世界全体の気候へ悪影響

 中国政府は「2006年から2016年までの10年間の降水量が550億立方メートルも増加した」とその実績を誇っているが、「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」。中国は昨年から夏期の豪雨災害に苦しんでいる。長江流域では6月から断続的に大雨が降ったことで三峡ダムは建設以来の最高水位を記録し、国内外のメデイアは連日のように「ダムの崩壊が近づいている」と報じていた。

 今年も5月から南部地域を中心に持続的な降雨の影響で洪水警報が発令されていたが、そのタイミングは例年よりも1カ月近く早かった。中国水利部は「今年の6月から8月にかけて、長江流域に加えて北部の黄河、海河などでも大規模な洪水が発生する可能性がある。今年は最悪の洪水被害が出るのではないか」との懸念を示していたが、その予測が的中しつつある。

 7月に入ると豪雨災害が全土で発生する事態となっている。北部地域では内モンゴル自治区でダムが決壊し、北京市でも地下鉄駅が冠水した。中部地域では四川省や河南省で洪水被害が発生し、南部地域では貴州省が大雨となっている。

 中国だけの被害であれば「自業自得」ということになろうが、中国の巨大な気候改変プログラムが、周辺国のみならず世界全体の気候へ悪影響を及ぼさないとは言い切れない。日本をはじめ世界の関係機関は中国の気候改変プログラムについてノーマークのようだが、そのレベルは「気象兵器」の域に達している可能性がある。

 今年11月に英国のグラスゴーで第26回国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP26)が開催されるが、世界各国は中国の気候改変プログラムがもたらす副作用についても真剣に議論すべきではないだろうか。

(文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー)

●藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー

1984年 通商産業省入省

1991年 ドイツ留学(JETRO研修生)

1996年 警察庁へ出向(岩手県警警務部長)

1998年 石油公団へ出向(備蓄計画課長、総務課長)

2003年 内閣官房へ出向(内閣情報調査室内閣参事官、内閣情報分析官)

2011年 公益財団法人世界平和研究所へ出向(主任研究員)

2016年 経済産業研究所上席研究員

2021年 現職