「アスパラガスに血圧降下作用」理化学研究所が発見…新型コロナの重症化予防にも効果?

 おもしろいことに、アスパラガスのアスパラプチンAは試験管内の実験においてACEの働きを妨害する活性を示すことが知られています。人為的に高血圧状態にしたモデルマウスを用いて、アスパラプチンAの生体内の血圧降下作用を調べたところ、アスパラプチンAを食べさせたマウスでは、1時間後には迅速に血圧低下が見られ、2時間後に血圧降下作用は最大となりました。この作用は2日間持続することもわかりました。

 つまり、アスパラガスに含まれるアスパラプチンAは、動物の体内でACEを阻害していることがわかったのです。これらの結果は、アスパラプチンAがACE阻害剤、つまり血圧降下薬としての効果を持つとともに、その服用は新型コロナウイルス感染症の重症化予防作用がある可能性を示しています。

 現時点での結果だけでは、アスパラガスを食べれば新型コロナウイルス感染症が重症化しないとまでは言えませんが、新型コロナウイルス感染症は免疫力が低下している人ほど感染しやすいので、アスパラガスなど色の濃い野菜を積極的に摂取してバランスの良い食生活で免疫力を高めることは、今の時代、非常に重要なことかもしれません。

(文=中西貴之/宇部興産株式会社 品質保証部)

【参考資料】
『マギー キッチンサイエンス -食材から食卓まで-』(共立出版/Harold McGee 著、香西みどり監訳、北山薫、北山雅彦訳)

理化学研究所プレスリリース

横浜市立大学ニュースリリース