マイナポイント第2弾が見切り発車すぎる?そもそも出番がないマイナンバーカード

「なるほど、これがあって便利だ」という実感を持てないまま、保有して1年あまりが過ぎた。先ほども書いたが、マイナポイント自体もキャッシュレスサービスの利用によって付与されるため、カードを収納場所から出す機会はなかったのだ。

 DXと耳にタコができるほど聞くが、口座登録にしろ、健康保険証との連携にしろ、このようなカードの現物がなければできないはずもなく、それこそマイナンバーを入力させて登録する専用フォームを作れば済むのでは、という気がする。「デジタル化の推進には、チップが付いた現物であるマイナカードがなくてはできません」という仕組み自体が、DXという言葉から遠く感じてしまうのだが……。

銀行口座登録はキャンペーンが期待できそうか

 マイナカードの作成以外はまだ詳細は決まっていないとはいえ、銀行口座を登録する際には、銀行側がインセンティブを加えたキャンペーンを打ち出してくる可能性は大いにある。

 登録してもらえば末永く国からの給付や支援金の受け取り口座になるのなら、各銀行も本気を出すだろう。これはあくまで個人的な想像だが、銀行口座の登録と、従来のキャッシュレス決済を噛ませるのは何ともややこしく、ポイント付与というよりキャッシュバックになることも考えられる。

 銀行としては、その際に自行のデビットカードを作ってもらえればキャッシュバック率を時限的に高くするとか、新規で口座を作ってもらえるなら7500円に加えて500円を上乗せでキャッシュバックをするとか、楽天銀行のように自社ポイントを持っているネット銀行なら期間限定ポイントを大盤振る舞いするなどの打ち出しは大いにあり得る。

 どちらにしろ、もし無駄に給付金を使ってしまいたくないのなら、生活口座より専用口座として定めたほうがいい。給与の振り込み口座はあくまで生活費用のものであり、さまざまなお金が引き落とされ、何かと出入りが激しいものだ。使う口座と貯める口座は切り離すべきで、せっかく給付されたお金がよくわからないまま使ってしまったというのが一番もったいないからだ。

 18歳以下の子どもに支給される臨時特別給付の10万円を、すでに受け取った家庭もあるだろう。児童手当が支給されている家庭なら、その口座に振り込まれているはずだ。こうした公的な支給を受け取る口座は専用化して、「いつの間にか……」を防ぎたい。

 なんといっても、使われるのは我々の税金である。今後のポイント受け取りの手続きは、なるべくシンプルにわかりやすく、余計に事務費がかかることのないように設計してほしいと願うばかりだ。

(文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト)

●松崎のり子(まつざき・のりこ)
消費経済ジャーナリスト。生活情報誌等の雑誌編集者として20年以上、マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い方にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。また、節約愛好家「激★やす子」のペンネームでも活躍中。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)。Facebookページ「消費経済リサーチルーム