“買い物難民”300万人の衝撃…デジタルサイネージで販売・消費者双方に革命?

 うまく軌道に乗ればこんなことも行いたい、と同社は夢を描く。

「生活必需品だけでなく、『趣味やコレクションの買い物を楽しみたい』人に対しても、魅力的な商品やサービスが提案できるシステムにしたいと考えています。

 S_martは実物を手に取れないのですが、『実物を触れない商品』は意外に多く、たとえば希少価値の骨董品や美術品があります。レアなフィギュアや熱帯魚などもそうですね。そうした高額嗜好品や実物の運搬展示にリスクを伴う商材にも向くと考えています」(同)

 仮想空間もどんどん実風景に近づいてきた。「実物大の表示」「ハブ店舗の設置拠点」が増え、操作性が一般的となれば、従来型のECとは違う利便性で支持されるかもしれない。

(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。