岸田政権「鎖国」、海外企業・投資家の日本離れ加速…基準なき異常な入国規制の代償

 岸田首相は総裁選のときから政界で「いい人だけど決められない男」として有名であったが、地金がそのまま出てしまったと言えるだろう。水際対策強化など消極策は取れるものの、緩和といったリスクのある選択をすることはギリギリまでできない。また、前ワクチン担当大臣の河野太郎氏がツイートで、大臣室の隣にあったワクチン担当チームの作業部屋が岸田政権になってから厚労省の地下に移されていたことを明かしたが、喉元過ぎれば熱さを忘れる先見性のなさも露見した。

 拙稿『岸田首相の発言、金融市場の最大のリスク化…海外投資マネーの日本離れを助長』でも、岸田政権が日本の国際金融都市化どころかガラパゴス化を推し進めていることを指摘したが、今回の水際対策を見ていても外務大臣経験者だとは思えないほど国際的な視点が欠如している。支持基盤が強いとはいえない政権だとしても、内向きな国民の批判にただ従うだけが政治家の仕事ではないだろう。

 今回のコロナ禍は日本の危機対応のレベルの低さを明らかにした。日本で近い将来に自民党が最大与党から転落したり、新たな政党が政権を奪取したりする可能性が著しく低い以上、国民は今後もひたすら無能な政治に耐えるしかなさそうである。少なくとも、個人レベルでは自衛意識を高め行動するべきだろう。

(文=竹谷栄哉/フリージャーナリスト)

●竹谷栄哉・フリージャーナリスト。食の安全保障、証券市場をはじめ、幅広い分野をカバー。Twitterアカウントは、@eiyatt.takeya 。