大手メーカーの広報部社員はいう。
「これだけ多くの大手企業がCM放送を見合わせているので、その流れに追随するというのが無難な対応ということになる。現在も放送を継続している企業は、その企業なりの判断基準やポリシーに従って経営判断しているということであり、その判断は基本的には尊重されるべきだ。また、なんらかの理由で見合わせが難しいというケースもあるだろうし、単に判断に時間がかかっているという可能性もあるだろう」
広告を出稿したものの差し止めを要請した企業としては、契約で定めた放送回数に満たない、もしくは放送されないにもかかわらず費用を支払うことになるが、減額や返金、損害賠償を要求することはできるものなのか。山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士はいう。
「キー局との間の広告放送契約は、局側もスポンサー側も、一定の事由が発生した場合のCM放送停止の措置やその場合の違約金等の金額をあらかじめ定めています。スポンサー側に、その販売する商品に(産地偽装などの)問題が発覚した場合、局側がCMの放送を拒むでしょうし、しかしだからといってスポンサー側に責任があるわけですからスポンサー料金は徴収することとなるでしょう。
局側に今回のような不祥事が発生した場合、当然、スポンサー側はイメージ維持のためにCMの放送を拒むでしょうから、当然、その分のスポンサー料金は支払いません。なお、過去分については、実際、CM放送しているわけですから、過去分のスポンサー料金の返還を求めることは想定されていません。
これとは別に、スポンサー側は、局側の不祥事を理由に、自らCMの放送を拒んだわけですから、そのCMの商品の売れ行きが悪くなったといったことが生じても、あらかじめ『こういう場合は違約金を幾ら払う』といった取り決めがない限り、これを理由とする損害賠償は認められません」(1月21日付当サイト記事より)
(文=Business Journal編集部)