ワークマン女子の業態転換は迷走どころか進化、男性客が2割増…仮説検証経営

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「Workman Colors」の店舗(ワークマン提供)

 株式会社ワークマンは約70店舗を展開する女性向け業態「#ワークマン女子」を「Workman Colors」に転換する方針だ。“女子店”は2020年10月に1号店を出店したが、店名からして男性客が入りづらく、男性向け強化を目的として業態転換を決めたという。一部SNS上では「#ワークマン女子が失敗」「迷走している」といった声も出ているが、背景には常に進化を模索し続ける同社の積極果敢な戦略が見え隠れする。新業態店ではどのような商品を投入するのか。現時点で主力である「ワークマンプラス」「ワークマン」は今後どうなるのか。2月20日に行われた「新生Workman Colors 新製品発表会」の内容をレポートする。

店名変更だけで男性客が増えた

 現在、ワークマンが展開する主な業態は次の3つだ。プロ向け作業着を販売する祖業の「ワークマン」、アウトドア服を中心とした一般向けの「ワークマンプラス」、女性向けアウトドア・カジュアル衣類を販売する「#ワークマン女子」である。それぞれ318、643、67店舗を展開している。「Workman Colors」は銀座に1店舗しかないが、今後は女子店を同業態に転換するという。なぜ名称変更に至ったのか。

「#ワークマン女子は女性の集客につながったものの、男性向けがちょっと弱いという難点がありました。客層は8割が女性です。Workman Colorsの1号店は当初、#ワークマン女子の店名を変更しただけですが、男性客が2割増えるという効果がありました」(専務取締役・土屋哲雄氏)

 店名に「女子」がつくと、確かに男性客には入りづらい。店名変更だけでも男性客集客の効果はありそうだ。ワークマンプラスは18年、#ワークマン女子は20年に出店したばかりだ。他にもWORKMAN Proを21年に出店している。たび重なる業態転換について、メディアでは迷走しているとの批判もあるが、「ワークマンは小さな成功事例を拡大する仮説検証経営であり、迷走ではなく進化である」と土屋氏は主張する。

「Workman Colors」は男女比率半々

 なお、Colorsは個性や特徴を意味し、Workman Colorsを直訳すると「ワークマンらしさ」となる。機能性、ベーシックだが少し光るデザイン性、低価格の3点を訴求する。商品構成については、従来の女子店をそのまま踏襲するのではなく、商品ジャンルやコンセプトも変更するという。ファミリー層が入りやすい店舗を目指す。

「従来通りアウトドア衣類や機能性衣類も販売しますが、男性ベーシックの衣類も展開し、男女比半々を目指します。『快適普段着』がコンセプト。女子店ではアクティブが全体の61%を占めますが、Workman Colorsではベーシックが60%です」(同)

 Workman Colorsでは26年秋までに専売品8割を目指す。トレンド品も投入し、流行に合わせる方針だ。

「1年前に生産する量産品のほか、1カ月で生産するトレンド品を投入する予定です。短納期であるトレンド品の比率を高めると収益的には大変ですが、2割くらいなら良いかなと考えております。トレンド品も量産品と同じ価格で提供するため、流行に追いつきながらも低価格である点が強みになります」(同)

 SHEINやZARAなどのSPA業態は企画・開発から1カ月以内に商品を生産し、販売するという短納期生産で流行性を実現している。Workman Colorsでは一部にトレンド品を投入し、流行にある程度乗るというわけだ。仮に売れなかったとしても、全国1000店舗網を活用し、ポップを付けて安売りすることができる。セーフティーネットの存在も強みとしている。