「CLASSY.」炎上騒動の背景に女性ファッション誌と出版業界の厳しい環境

 雑誌はそのファンのためのものでもあり、発行元が雑誌を買ってもらうために、その雑誌のファンにウケそうな紙面づくりをするというのは自然の流れですが、現在ではネットニュースやSNSの普及によって、お金を出して雑誌を買う人や、その雑誌の記事を読もうと考えていない人の目にも記事が触れてしまうようになったということも、今回のような騒動が生じる要因の一つにあると考えられます。その意味では、雑誌に限らずメディアにとってコンテンツを制作して発信していくという行為の難しさが、ますます高まってきています」

雑誌というビジネスモデルが直面する現実

 今回のような問題が起きる大きな背景としては、出版業界全体を取り巻く出版不況もあるのではないかという見方も聞かれる。

「雑誌全体の販売減少は今さら触れるまでもありませんが、雑誌に出稿される広告も減少傾向で、過去10年で雑誌広告費は概ね半減しています。そのため発行元は外部のライターやフォトグラファーなどに支払うギャラを減額したりしていますが、撮影のためのスタジオ代やデザイナー、印刷代なども合計すると1ページあたり数十万円くらいはかかってしまいます。なので発行元はとにかくコスト削減に頭を悩ませなければならないなか、手間が少なく手っ取り早くつくれそうな企画が通りやすくなりがちです。

 また、着回しコーデ的な企画というのは普通のオフィスで働く女性というような主人公の設定では面白みに欠け、過去にあらゆる設定がやりつくされて“ネタ枯れ”状態なので、これまであまり扱われていなかった職業がアイディアと出されると、『それ、いいじゃん』と採用されてしまいがちな面もあるでしょう。

 月刊のファッション誌の場合、発売の2カ月前に企画を立て、出演者、編集者、ライター、フォトグラファー、デザイナーなど多くの人が関与して紙面をつくり、印刷工場で印刷して、製本して重くなった雑誌をトラックで日本中の店舗に配送しなければならず、瞬時に世界中に情報が伝わるインターネットがこれだけ普及した今、雑誌というビジネスモデルがこれからも生き残っていくというのは、非常に難しいでしょう。それは、実際に雑誌の世界に身を置いている多くの人が感じていることでもあります」(出版社関係者)

(文=Business Journal編集部)