
トークセッションでは、「finoject」CEOの三根公博氏、「Animoca Brands」CEOの天羽健介氏、「SBI VCトレード」CTOの池田英樹氏が登壇し、暗号資産の今後について多角的な議論を展開した。
三根氏は、日本でステーブルコインのライセンス制度が整備されたことを「大きな前進」と評価。年内にも円建てステーブルコイン「JPYC」の発行が始まる見込みであると説明した。
JPYCはブロックチェーンを基盤とした新しいデジタルマネーで、24時間リアルタイムかつ低コストの送金・決済が可能。JPYC社は8月に金融庁から発行ライセンスを取得し、従来の「前払い式支払手段」から、顧客による買い戻し請求を可能にした。一方で、金利変動により返金額が減少するリスクを伴う「ALM(資産負債管理)」への慎重な対応が必要だと指摘した。
花島氏が「企業は暗号資産を“保有”から“運用”へと進化させる段階にある」と説明したのに対し、天羽氏は「保有はあくまで入口にすぎない」と述べ、
「最終的な目的はブロックチェーンを活用した新しいビジネスの創出であり、今後は金融領域を超えて、ゲームやコンテンツといった非金融領域への展開が進むだろう」と語った。
池田氏は、ビットコイン以外の銘柄への需要拡大を踏まえ、取引所としてのリスク管理支援の重要性を強調した。
質疑応答では、「一般消費者向けサービスなのか」という質問が寄せられたが、花島氏は「基本的には一般ユーザー向けだが、BtoB利用も視野に入れている」と説明。BtoB領域で生じる課題については「今後順次対応していく」とした。
また、イオレの強みについて問われると、瀧野社長は「海外に流出した優秀な専門人材を呼び戻したい」と述べ、「年収3000~4000万円、必要に応じて6000万円クラスの人材を採用する用意がある」と意欲を見せた。
暗号資産を使ってコンビニで買い物をしたり、ECサイトで決済したり──そんな日常が現実になる日は近い。
企業が自前の“暗号資産銀行”を持ち、新たなビジネスモデルを創出する時代が訪れようとしている。イオレの「Neo Crypto Bank」構想は、その先駆けとなる可能性を秘めている。今後の展開に注目したい。
(文=横山渉/フリージャーナリスト)