不動産業者に対しては、売主・買主と接触する際のアピールの方法やロジックを活用した資料の作成、提供など、業者の悩みに応じてコンサルを行う。例えば、一括査定サイトで消費者に選ばれ、専任媒介を獲得するためのノウハウなどを提供する。不動産会社の中には、査定の部分で課題があるという会社が少なくないと印南氏は話す。
都市部の不動産需要が旺盛とはいえ、国内全体では人口減少が続いている。不動産業者から見れば客を取り合うような状態だ。コンサルの視点から、今後の業者のあり方を聞いてみた。
「空き家が増えて売主が増える一方、人口減少で買主が減っていく状態です。買主から見て、どの業者を通じて買っても物件自体は同じなので、購入者向けのサポート内容が業者の明暗を分けることになります。買主を満足させる資料作りも重要ですし、話す内容や態度といった細かい部分にも気を配らなければなりません。対応が遅いのも消費者の心証を悪くします。購入したい物件について問い合わせして、すぐに連絡が来れば業者に対して良い印象を持ちます。インサイドセールスについては、他社に代行してでも対応を早くすべきです」(同)
今後は消費者に対しての営業担当者の差別化が重要になるため、内勤業務はツールやアウトソースを通じて効率化し、不動産業者は対面での営業に専念すべきだと印南氏は主張する。なお、自身はYouTubeでの目標を定めておらず、本業のコンサルで事業の幅を広げていく方針だ。消費者による”買い手市場”にある不動産業界において、コンサルの依頼は増えていくかもしれない。
(取材・文=山口伸/ライター)