京都で脱・中国が進行、春節ショックでも崩れず…観光モデル再編で欧米豪4割時代へ

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●この記事のポイント
 2026年春節に中国政府の訪日自粛要請が重なり、中国人団体客の予約が急減している京都。しかし京都市観光協会の調査では、ホテルの約6割が「前年比減」と回答する一方、「大幅減」は12.3%にとどまり、影響は想定より限定的だった。背景には、外国人宿泊客の約4割を占める欧米豪市場の拡大がある。欧米客は5〜7泊の長期滞在や体験型消費を重視し、1人当たり消費額も高水準。ラグジュアリーホテルや高級旅館は単価を維持し、地域連携型の体験商品やデジタル戦略の転換も進む。中国依存から脱却し、「量から質」へ転換する京都の動きは、日本のインバウンド政策の方向性を占う試金石となっている。

 中国の大型連休「春節」は17日からだが、今年は15日から連休が始まり史上最長の9連休となる。例年であれば、京都の中心部は中国人団体客で埋め尽くされるはずだった。祇園や嵐山では大型バスが列をなし、百貨店や家電量販店では免税カウンターに長蛇の列ができる――それが“いつもの光景”だ。

 しかし今年、その景色は一変する。日中間の緊張を背景に、中国政府が訪日旅行への自粛を事実上促したことで、団体ツアーは急減。春節商戦は肩透かしを食らっている。

 だが、現場の空気は意外にも冷静だ。それどころか、一部ではこの状況を「長年の構造問題を見直す好機」と捉える声すら上がる。京都でいま起きているのは、単なる客層の変動ではない。観光経済そのものの“質的転換”である。

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データが示す「想定より軽微」な影響

 京都市観光協会が公表した2026年春節期間の調査によれば、市内ホテルの予約状況について「前年比で減少」と回答した施設は約6割に達した。約3割は客室単価を引き下げたという。

 数字だけ見れば打撃は深刻に映る。しかし内訳はやや異なる様相を示す。

・「大幅に減った」:12.3%
・「やや減った」:49.1%
・「ほとんど変わらない」:31.6%

 観光政策アナリスト・湯浅郁夫氏はこう指摘する。

「中国人団体客の消失は確かにインパクトが大きい。ただし、京都の場合は市場の多様化が進んでいたため、ダメージは想定よりも限定的だった。むしろ依存度の高かった事業者と、そうでない事業者の差が顕在化した」

 事実、ラグジュアリーホテルや高級旅館では稼働率・客室単価ともに前年並み、あるいは微増というケースも少なくない。京都のインバウンド構造は、すでに変わり始めていたのだ。

欧米比率4割が生む「高単価・長期滞在」

 2025年時点で、京都市内の外国人宿泊客に占める欧米豪の割合は約4割に達している。全国平均を大きく上回る水準だ。

 中国人団体客が「1〜2泊・短期滞在・モノ消費」を中心としていたのに対し、欧米豪の旅行者は「5〜7泊・長期滞在・コト消費」を重視する傾向が強い。

 観光庁の消費動向調査によれば、欧米豪の訪日客1人あたりの滞在日数と消費単価はアジア主要国より高い水準にある。特に体験型アクティビティや飲食、文化体験への支出比率が高い。

 京都市内の外資系ホテル幹部はこう語る。

「中国人団体客が減っても、欧米富裕層の予約は堅調。1人あたりの総消費額で見れば、団体客数人分に匹敵するケースもある。滞在が長いため、地域経済への波及効果も大きい」

 さらに注目すべきは、日本人観光客の“回帰”だ。オーバーツーリズムによる混雑を嫌って京都を避けていた国内旅行者が、「街に静けさが戻った」として再び訪れ始めている。