「交通費の積み上げだけで1〜2万円差が出る家庭も珍しくありません。アナログ作業こそ差別化ポイントです」(同)
今回の申告で最も金額インパクトが大きいのは住宅ローン控除だ。
■ 省エネ基準を満たさない新築は「控除ゼロ」の可能性
一定時期以降に入居した新築住宅では、省エネ基準適合の証明がなければ控除対象外になるケースがある。最大で数百万円規模の控除差になるため、「住宅会社が大丈夫と言っていた」では済まされない。
「住宅ローン控除は“証明書ビジネス”。条件を満たしていても書類がなければゼロです」(同)
■ 所得2,000万円の壁と“副業ブーメラン”
合計所得金額が一定額を超えると控除対象外になる。
ここで落とし穴になるのが、副業利益、株式売却益、暗号資産利益などで所得が押し上げられ、「わずかに超えて失格」というパターンだ。節税目的の副業や投資が、住宅ローン控除を失わせる“逆転現象”も起こり得る。
節税上級者でも見落としがちなのが、控除同士の相互作用だ。医療費控除を使うと課税所得が下がる。すると、ふるさと納税の「控除限度額」も下がる。
結果として、「想定より限度額が小さくなる」「自己負担2,000円を超える」「トータルで損をする」という”節税貧乏”現象が起こる。
「医療費控除とふるさと納税は“足し算”ではなく“引き算の関係”。必ず同時シミュレーションが必要です」(同)
【ビジネスパーソン向け】損益分岐点FAQ
Q:マイナポータルで「データ取得」すれば完了?
A:危険です。12月分医療費、交通費、市販薬、ふるさと納税の寄付証明。必ず手元の合計額と画面上の金額を突合してください。
Q:副業赤字で本業の税金は安くできる?
A:性質次第。事業所得なら損益通算可能だが、雑所得扱いなら赤字は切り捨て。判断を誤ると後日否認リスクがある。
Q:還付申告は期限を過ぎても可能?
A:還付のみなら一定期間さかのぼれるケースがある。慌てて誤申告するより、精査が優先。
マイナポータル連携は“計算の効率化”にすぎない。税額を最適化するのは、人間の理解と確認だ。
・副業は住民税まで視野に
・医療費はアナログ証跡を掘り起こす
・住宅ローンは性能証明を確認
・控除同士は同時シミュレーション
確定申告は単なる年中行事ではない。会社員にとっては“可処分所得の再設計”だ。提出ボタンを押す前の30分が、来年の手取りを決める。スマホ時代の申告こそ、最後は“疑う力”が最大の節税策である。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=村井綾乃/税理士)