日本人は使えないのに、なぜ日本へ?会員2千万人、楽天も出資した14億ドル企業

 プラットフォームが一人勝ちする構造では長続きしない——その確信が、11年の経営を支えてきた。

ホテルの一室から年間流通総額55億ドルへへ――「想像をはるかに超えた」11年間

 2014年、チャン氏と共同創業者のジョエル・リョン氏は、車の中でアイデアを話し合っていた。米国と日本で実証されたポイント・キャッシュバックのモデルを、東南アジアに持ち込めないか。2人は仲間を集め、ホテルの一室で週末を徹して最初のプロトタイプを作り上げた。

 家族には内緒だった。

「両親は反対すると思ったから、許可を取りに行きませんでした。最悪の場合は失敗して仕事に戻ればいい。本当の損失はそれほど大きくないと考えていました」

 その判断から11年。ShopBackは現在、APAC13市場・アクティブ会員2000万人・加盟店2万店以上・年間流通総額55億ドルのプラットフォームに成長した。

「今の状態は、当時の想像をはるかに超えています。我々自身が驚いているんです」

 最初の数年間、チャン氏の両親は息子が正しい選択をしたかどうかわからなかったという。ユーザーが増え、加盟店が増え、市場リーダーの地位が見え始めた頃、ようやく親は気づいた。

 今、その息子は東京にいる。日本人がまだ使えないサービスを携えて。しかし、その眼差しはすでに次の11年を見ていた。アジア全域を横断するショッピングインフラの上で、日本のブランドと消費者がどうつながるか——その絵を描きながら。

(構成=昼間たかし/フリージャーナリスト)