意向がそのまま購買になるとは限らない。それでも小売にとっては、酒の棚だけでなく、ノンアルや割り材、惣菜まで含めた「晚酸の帯」で客単価を考える根拠になる。イオンはトップバリュでノンアル商品の拡充を進めており、今回の駆け込み期にも、酒と惣菜の関連陳列やデリカの好調が伝えられている。
「酒を単品で見ると値上げの話になりますが、食卓単位で見れば組み合わせの提案に変わる。この切り替えができる店は、反動期も崩れにくい」(同)
この20年あまり、ビール類の商品開発は税区分と切り離せなかった。発泡酒も新ジャンルも、メーカーが税率の低い区分で「ビールらしさ」を工夫した結果生まれたものだ。一本化でその余地はなくなる。
では、主導権は小売へ移るのか。そう単純でもない。小売は価格と棚を決められるが、製造の大半はメーカーが担う。メーカーは味とブランド、小売は価格設計と売り場。それぞれが得意な領域で競い、ときに組む形に近づいていくと見るほうが実態に合うだろう。
これから注目したい点は四つある。
・10月以降の反動減がどの程度の深さと長さになるか
・ビールとなった金麦や本麒麟が、店頭でどの価格帯に落ち着くか
・小売各社のPBがビールの領域にどこまで広がるか
・ノンアルへの移行が意向にとどまるか、実際の購買になるか
イオンの「在庫2倍」は、まずは客の求めに応えるための対応だ。それでも、税の隙間がなくなった後の棚をどう組むかという問いに、小売もメーカーも向き合い始めている。駆け込みの騒ぎが落ち着いた年末商戦の売り場に、最初の答えが出るはずだ。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=永田由紀/流通コンサルタント)
【主な参照データ・出典】
酒税改正迫る 駆込み需要迎え撃つイオン、発泡酒など在庫2倍に(食品新聞、2026年9月18日)
イオン、酒税法改正前の駆け込み需要に対応(食品産業新聞社)
イオンリテール、酒税法改正前に販促 購入スタイルに変化も(日本食糧新聞)
酒税に関する資料(財務省)