
●この記事のポイント
出前館の2026年8月期は売上高390億円とほぼ横ばいながら、配達員報酬の増加で最終赤字82億円と8期連続の赤字に。一方、注文の約7割がデジタル経由の日本マクドナルドや、うどん弁当が累計5000万食を超えた丸亀製麺のトリドールは過去最高業績を更新した。ドミノ・ピザの172店閉店も踏まえ、自社チャネル戦略が機能する条件を探る。
出前館が10月15日に発表した2026年8月期の連結決算は、最終損益が82億4600万円の赤字だった。前期の49億7100万円から赤字幅が広がり、最終赤字は8期連続になる。売上高は390億5700万円で、前期比1.7%減にとどまった。一方で売上原価は約351億円から約384億円に増え、売上総利益は約46億円から約6億円まで縮んだ。日本経済新聞は、配達員への報酬増が響いたと報じている。
数字を見る限り、売上はほとんど落ちていない。減ったのは「1件の注文から手元に残る額」のほうだ。同社は26年3月から、店頭と同じ価格で頼める「お店価格」や送料無料の対象を広げた。その結果、6~8月の注文数は前年同期比8%増の約1605万件まで戻っている。注文は戻ったものの、それを運ぶ配達員を確保するコストが先に膨らんだ。
市場全体を見ても楽ではない。サカーナ・ジャパンの調べでは、国内のフードデリバリー市場は23年の8603億円から24年に8078億円へ縮んだ。25年は8240億円と小幅に持ち直したばかりだ。そこへ韓国クーパン系の「ロケットナウ」が送料・サービス料無料を掲げて参入した。ウォルトは26年3月に日本から撤退し、KDDI傘下のmenuも8月にサービス終了を決めている。
加盟店の側にも事情がある。プラットフォームに払う手数料は契約形態によって異なるが、デリバリー注文では売上の3割前後になることが珍しくない。客単価の低い業態では、注文が増えるほど利益が薄くなることもある。プラットフォームも加盟店も利益を出しにくい構造が、少しずつ表に出てきた格好だ。
では、デリバリーやテイクアウトはもう儲からないのか。そうとは言い切れない。外部プラットフォームを使いながらも顧客との接点を自社側に引き寄せ、業績を伸ばしている外食チェーンがあるからだ。両者を分けているのは何か。
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日本マクドナルドHDの25年12月期は、全店売上高が8886億円(前期比7.2%増)、純利益が339億円(同6.1%増)で、どちらも過去最高だった。26年1~6月も既存店売上高は5.9%増え、43四半期連続のプラスが続いている。
目を引くのは注文経路の変化だ。トーマス・コウ社長兼CEOは8月の決算説明会で、モバイルオーダー、デリバリー、店内タッチパネル経由の注文が約7割に達したと説明した。公式アプリの会員は約2600万人いる。
同社はウーバーイーツや出前館への出店をやめたわけではない。公式アプリで頼む「マックデリバリー」と外部サービスを並行して使っている。違いは、クーポンやポイントといった「また来る理由」を自社アプリの側に置いていることだ。新しい客との出会いは外部に任せても、2回目以降の関係は自社で持つ。この分担によって、手数料負担の比重は下がりやすくなる。
もっとも、デジタル化にはコストもかかる。店内に客がいないのに注文だけが入る「見えない注文」が増えたため、同社は厨房設備の増強やデリバリー受け渡しスペースの拡張を進めてきた。顧客接点を握るぶん、店舗にかかる負荷は自分で引き受けているわけだ。