出前館は8期連続赤字、マクドナルドは最高益…明暗を分けた「顧客との接点」の持ち方

「プラットフォームは集客の装置としては優秀ですが、顧客データは基本的に店側には残りません。外部経由で来たお客さんを自社アプリへ移す導線を、どれだけ地道に作り込めるかで差がつきます」(外食産業コンサルタント・杉田誠氏)

宅配ピザ――自前の配送網は武器にも重荷にもなる

 自社の配達網を持つ宅配ピザは、デリバリーの時代には有利に見える。だが実際には明暗が分かれた。

 ドミノ・ピザは25年2月、親会社の豪ドミノ・ピザ・エンタープライズが、国内店舗の約2割にあたる172店を閉める方針を発表した。26年6月には看板だった「持ち帰り半額」を終え、宅配価格を平均約600円下げた。あわせて持ち帰りは、宅配価格の30%引きに改めている。自分で取りに来る客と配達コストがかかる客の価格差を縮めるのが狙いだと報じられている。

 自前の配達員と車両は、注文が多いうちは速さと品質を守る武器になる。だが注文が減れば、そのまま固定費として残ってしまう。コロナ禍に広げた店舗網と配送網を見直している段階と見るのが妥当だろう。

 ピザハットは対照的に、小型店と店頭受け取りを軸に出店を続け、24年4月に国内600店舗に達した。宅配網は持ちつつ持ち帰りの比重を高め、1店あたりの投資と配送の負担を軽くする設計だ。同じ「自社配送」でも、どこまで自前で抱えるかの判断で結果が変わっている。

テイクアウト――配達をやめると「手間」は客側に移る

 配達コストそのものを生まない選択もある。丸亀製麺の「丸亀うどん弁当」は21年4月の発売以降、25年9月時点で累計5000万食を超えた。麺がのびる、汁がこぼれるといった麺類の持ち帰りの弱点を、弁当という形で避けた商品設計だ。トリドールHDの26年3月期は、売上収益2787億円、事業利益215億円で、ともに過去最高を更新した。

 とはいえ、テイクアウトにも限界はある。同社の27年3月期第1四半期は、売上収益が第1四半期として過去最高だった。それでも人件費などが増え、営業利益は34.3%減った。配達費がかからなくても、店でつくる人の人件費からは逃れられない。

 業態全体で見ても同じことがいえる。日本フードサービス協会の外食産業市場動向調査によると、25年の「持ち帰り米飯/回転寿司」は売上高が前年比102.9%だった一方、客数は96.0%と前年を下回った。外食全体の客数は102.9%だったから、持ち帰り中心なら安泰という状況ではない。値上げで単価を確保しながら、来店の頻度をどう保つかが問われている。

「テイクアウトは配送費がかからない分、利益は残しやすい。ただ、お客さんに“取りに行く手間”をお願いしている以上、予約や支払いのしやすさ、受け取りの待ち時間といった部分の出来が、そのまま来店頻度に返ってきます」(同)

伸びている企業に共通する3つの条件

 ここまでの事例から、業種を問わず応用できる条件を3つ挙げておく。

 1つ目は、「2回目の接点」を自社で持っていることだ。外部プラットフォームは、新しい客を連れてくることには向いている。問題になるのは、再来店の動機まで丸ごと預けてしまうことだ。

 2つ目は、配達コストを誰が負担するかを決めていることだ。手数料を払ってでも届けてほしい客と、安く済ませたいから取りに行く客とでは、求めているものが違う。両者を同じ値付けで扱うと、どちらかに無理が出る。ドミノ・ピザの価格改定は、この線引きを価格に表した例と読める。

 3つ目は、購買データを次の注文につなげていることだ。購買履歴に合わせたクーポン配信がその典型だが、アプリの開発・運営費を回収できるだけの会員規模が要る。中小の店が大手と同じ仕組みを持つのは現実的ではない。