3. 「運営者が変わっても施設は残る」は本当か
大型リゾート開発には、一つの経験則がある。先行した開発者が破綻しても、建てられた施設は新しい運営者のもとで使われ続ける、というものだ。宮崎のシーガイアは2001年に会社更生法の適用を申請し、曲折を経て現在はセガサミーホールディングスの僘下で営業している。長崎のハウステンボスも2003年に会社更生法を申請し、2010年からはエイチ・アイ・エスのもとで再建された。初期投資の重荷を切り離した後継の運営者が、施設を地域の集客拠点として生かした例である。
ただ、これを「だから大丈夫」という楽観論につなげるのは危うい。資本の入れ替えでは必ず誰かが損失をかぶり、運営の空白や縮小で雇用が失われることもある。ジャングリアの場合、その負担者には政策金融や官民ファンドを通じた公的資金も含まれる。地域に残るプラスと、資金の出し手が負うリスク。その両方を同じ温度で見ておきたい。
「北部への来訪者が増えたことは評価できます。ただ、効果を地元に残すには、宿泊や周辺観光と組み合わせた滞在型の動線が要ります。企業の赤字と地域開発としての成否は、分けて評価すべきです」(観光政策アナリスト・湯浅郁夫氏)
1. ライセンス料を払わない設計の狙い
ジャングリア最大の特徴は、映画やキャラクターのIP(知的財産)を使わず、やんばるの自然そのものを体験の中心に置いた点にある。外部のIPを使えば、売上に応じたライセンス料を払い続けることになる。それがない分、軌道に乗れば利益率を高めやすい。海外のIPに頼らず、地域の資源を世界に売るリゾートをつくる。その発想自体は、日本の観光産業にとって意味のある問いかけだった。
2. 「来る理由」を一からつくる難しさ
裏返せば、ファンという「最初から来る理由を持った客」がいない。

開業1年目は、この難しさがそのまま数字に出た。日本経済新聞によれば、同社は入場者の伸び悩みを受けて割安なチケットを設け、暑さ対策や新アトラクションなど運営と設備のテコ入れを進めてきた。訪問した旅行業界の経営者からは、接客や食事を評価する声がある一方、アトラクションの数がまだ少なく、那覇空港から約2時間という距離もあるため、周辺観光と組み合わせた旅程づくりが課題だという指摘も出ている(日経電子版の投稿欄)。
「非IP型のパークは、リピートの理由を自分たちでつくり続けるしかありません。新しいアトラクションへの再投資が欠かせず、その余力を生む資本の厚みがあるかどうかが、軌道に乗れるかどうかを左右します」(同)
つまり、戦略の課題と資本の課題は一本の線でつながっている。出資が入らなければ再投資の余力は生まれず、再投資がなければ集客は伸びにくい。非IPモデルの是非は、資本を立て直したあとの数年を見なければ判断できないだろう。
1. リスクマネーの担い手が薄い
メガバンクが降りた後、融資を支えたのは商工中金と地方銀行、そして政策金融だった。開業後の資金も借り入れでつなぎ、既存株主からは追加出資の返事が得られていない。
資産を持たないソフトウェア企業などにはベンチャーキャピタルの資金が集まりやすくなった。一方で、土地と巨大な設備を伴う地方の大型事業に、融資と出資の間を埋める資金を出す担い手はまだ少ない。欧米では一般的なメザニンファイナンスやインフラファンドの層が薄ければ、リスクが高まった局面で政策金融に頼るしかなくなる。今回の経緯は、その構図を具体的に示した。
2. 検証と挑戦を分けて考える
公的資金が関わる以上、計画の前提や経営責任が問われるのは当然だ。株主総会では役員報酬の返納やコストの見直しを求める声が上がり、琉球新報によれば、刀の森岡CEOは謝罪したうえで、来場者数の目標や損益分岐点を引き下げた再建計画を示したという。