●この記事のポイント
ブランドリユース大手のコメ兵HDは2026年10月、GMOあおぞらネット銀行と、BaaSを活用した「リユース×金融」の新サービスを共同で検討する基本合意を結んだ。売上高2,217億円と好調な一方、家庭に眠る約91兆円の「かくれ資産」のうち、実際に売買されているのは3.6%にとどまる。銀行と組む狙いと課題を一次資料から読み解く。
押し入れの奥にしまったままのバッグや、もう着けなくなった腕時計。売れば値がつくと分かっていても、店に持ち込むところまではなかなか行かない。多くの人にとって「モノを売る」は、まだ少し腰の重い用事だ。
そのハードルを金融の仕組みで下げられないか。2026年10月20日、ブランドリユース大手のコメ兵ホールディングス(以下、コメ兵HD)とGMOあおぞらネット銀行は、BaaS(Banking as a Service)を活用した「リユースと金融を融合した新サービス」の共同検討に関する基本合意書を締結したと発表した(締結日は10月19日)。
業績が伸び続けているさなかに、なぜ銀行と組むのか。両社の公表資料をもとに、狙いと課題を整理したい。
●目次
まず足元の数字を確認しておく。コメ兵HDの2026年3月期連結決算は、売上高2,217億700万円(前期比39.4%増)、営業利益92億8,800万円(同50.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益54億8,800万円(同14.9%増)だった。売上高は初めて2,000億円台に乗った。
勢いは今期も続いている。2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)は売上高658億2,000万円(前年同期比42.7%増)、営業利益35億3,300万円(同約4倍)。売上高と個人買取額はいずれも四半期ベースで過去最高となった。10月20日に公表された月次速報でも、ブランド・ファッション事業の上期累計売上高は前年同期比133.9%と高い伸びを保っている。
会社側は好調の要因として、継続的な出店と既存店の買取好調、そして歴史的な金相場の高騰を挙げる。ここで注目したいのは中身だ。第1四半期の決算説明資料によると、ブランド・ファッション事業で増えた個人買取額のうち約8割は既存店によるものだった。新店を増やして数字を積み上げただけではない、ということになる。
ブランドリユースでは、利益の源泉は「仕入れ」、つまり個人からの買取にある。その買取を支えるのが真贋と価値を見極める力だ。同社は1947年創業。蓄積した査定ノウハウをAIにも落とし込み、ブランドバッグの真贋判定ではブランドカバー率8割、判定率99%を掲げ、グループ会社10社に導入している(2026年3月期決算説明資料)。
店舗網は2026年6月末時点で国内304店、海外43店(6カ国・地域)の計347店。個人向けの店舗・ECに加え、業者向けのオークション事業も持ち、第1四半期のオークション流通総額は約304億円に上る。買い取ったモノを、利益率の高い小売と業者向けの法人販売に振り分けられる構造が、相場変動への耐性にもつながっている。5月に公表した中期経営計画では、2029年3月期に売上高3,100億円、営業利益145億円(新規M&Aは含まない)を目標に置く。