断罪されている悪役令嬢ですが、そういえば前世は大魔法使いでした

 辺境伯令嬢、シェリー・クリステンは婚約者だった第二王子アルスに冤罪をかけられ、断罪された。
 彼の傍らには聖女候補の少女、マーガレットの姿がある。ご丁寧に取り巻きを引き連れて、わざわざ学園の卒業パーティの場で。
 そのまま有無を言わさず、凶悪犯用の牢獄、北の塔に押し込められたシェリーだが、ふと気付いた。

(そう言えば、わたくし前世は大魔法使いでしたわ)

 何の気なしに指を振るえば、前世で修得した魔法は全て使えるようだ。
 しかもなぜか、今生では初めて使うはずの空間魔法、【アイテムボックス】内には前世がっつり溜め込んでいたお宝の数々はもちろんのこと、気に入りの家具や魔道具、着心地の良い服に食糧まで大量に収納されていた。

(これだけ物資があれば、北の塔でも快適に過ごせそうね?)

 こうして、前世が大魔法使いだったシェリーは劣悪な牢獄を快適に改装し、楽しい北の塔暮らしを始めた。

 面倒な王子妃教育をサボれるなんて、とても幸せ。仕事が溜まって困る? 知りませんわ。元々わたくしのお仕事じゃなかったものですもの。

 最強の騎士、辺境の守護神たる父が大激怒して、国が崩壊の危機? 知りませんわ。お父さまを怒らせたのはわたくしではありませんもの。

 魔の森で魔物の氾濫が? 知りませんわ、わたくしただの罪人ですし。そういうのは聖女さまのお役目では?

 最強の大魔法使いの生まれ変わり、シェリーは、もう我慢することをやめた。
 これからは楽しく怠惰に生きていくわ。北の塔って、とっても快適!

 悪役令嬢は牢獄暮らしを満喫する。
 


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