【鬼シリーズ:第三弾】緑鬼のパンツは急所を守る

河原由虎

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第6部分 虎のパンツはステータス

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 そして。思いっきり檜風呂を堪能した俺は。脱衣所にて用意されていた服(もの)を見て、目が点になった。

 何故なら。浴衣と羽織はともかく、パンツが虎の皮製だったからだ…………。

 予想してなかったわけではないんだが…………。

「自分のパンツ洗って乾くまでノーパンでも良かったのに…………」

 置いておいた服は持って行かれたらしく。代わりに浅葱色の浴衣と、この虎のパンツが置かれていた。

 まぁ……確かに破れてボロボロでみすぼらしくはなっていたが。パンツは無事だったんだ。パンツは……!

「コレを履かなきゃならんのか……俺は…………」

 ピロンと広げ、取り眺めてみると。コレまた立派な虎のものであったのだろうと感じる。

 輝くようなその毛並み、手触りは手に吸い付くようで心地よく……

「そういえば、虎のパンツがステータスだった時期があるとかないとか、読んだ事があるな……」

 いっそのこと浴衣と羽織だけで、とも思ったが……

 ガラガラ、と引き戸の開く音が聞こえて、諦めた。何も履かないよりはマシだ、と。

 急ぎ履いた虎のパンツ。何故かサイズはピッタリで、その履き心地は──

『ヨカッタ』とだけ記しておこう。

 浴衣と羽織も身につけ出ていくと、男が履物を脱いでいるところだった。

「風呂と、着る物。ありがとう」
「いや、少し古い物ですまないが、大きさは大丈夫だったか?」
「……大丈夫だ」

 いい笑顔で聞いてくる男に、俺はなんとも言えないモヤモヤした物を感じる。
 なんなんだろうな、この負けた感……。

「よかった。じゃぁ話を聞かせてくれるか?」
「あぁ」

 風呂横の引き戸を開くと、そこは囲炉裏のある一室で、大の大人が四人は寝泊まりができそうな作りになっていた。

「布団はそこに入ってる。寝る時になったら勝手に出してくれ」

 薄い障子の向こうに、庭があるらしく何やらカコーンという音が聞こえてきた。

「この音は……」
「鹿おどしだ。昔はこの屋敷がこの町の一番外側でな。その時の名残だ」

 鹿おどし……大昔、作物を動物から守るためにあったというアレか……。

 男が障子を開けると、そこは離れ竹林に囲まれた内庭になっていて、水を受けている鹿おどしが見えた。

「水を引いてきているのか……すごいな。風勢もあって心地が良い……」

 良い、と言いながら。何故だか寂しさを感じてボロボロになっている三つ編みを撫でる。

「ま、座ってくれ」

 促されて、俺は男の向かいの側に行くと「冷えるから閉めるぞ」と言って、男はうすい障子を閉め、どかっと囲炉裏横の座布団に、あぐらをかいて座った。

 俺はちょっとだけ迷った。男に合わせてあぐらをかくが……錆浅葱色の浴衣に、自分の履いているギリギリ見え隠れ状態な虎パンが少々、気になる。
 どう見ても派手だ。

「自己紹介がまだだったな、俺はここの族長の息子で、若竹という」

 何も気にしていない様子の若竹と名乗る男は言った。
 
 族長。なるほど、長の家ならばでかいのも納得だ。

「俺はビロード」
「天鵞絨(びろうど)か……確かにそのような髪色だな」

 全く、安直な名前の付け方だよな。だが鬼の中ではそう言う名の付け方は昔からのものなのか。この目の前の男の髪も、明るい中見たら名前と同じ若竹の色をしている。

「話してくれるか? なんであんな所にいたんだ?」
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