【鬼シリーズ:第三弾】緑鬼のパンツは急所を守る

河原由虎

文字の大きさ
7 / 14

第7部分 禁忌なワケ

しおりを挟む
 俺は、この身に起きた事をそのまま伝えた。

 爆発に巻き込まれ、気づいたらあそこだった事。そして自分は、おそらくここよりもずっと未来から来たのだという事を。

「…………」
「信じるかどうかはお前次第だ……」

 難しい顔をして黙りこくる若竹。

 多分……コイツはこう言う事が聞きたかったのではないのだろう……表情を見ていればなんとなくわかる…………

「……親父だったら多分……牢に放り込んで終わりにするくらい荒唐無稽な話だな……」

 囲炉裏に薪を足しながら苦笑う若竹。

「単刀直入に聞く。お前……若竹が知りたい事とは何だ?」

 俺が混血だとわかったあの瞬間見えた目の光。そこには憐れみだけではなかった気がして俺は聞いてみた。

「…………」

 若竹は囲炉裏の火を見たまま何も答えない。

「混血に関する事ではないのか?」

 混血に関する知識なら、未来から来た俺は当然の如く知っている。

「……それだけ……ではないのだがな…………」

 真剣な顔で火を写している彼の目は、まるで赤鬼のソレと見紛うかのように揺らめいていた。

「天鵞絨の言う通りだ。だが、お前が未来から来た者で混血ならば、俺のささやかな悩みはもう解決している」
「……?……」

 それはどういう……

「お前の血には、人間も混ざっているだろう?」
「……!……」

 右手の小指に着けている銀色の指輪が熱く感じた気がした。ソレは人としての力を封じる為の物──

 未来でも。その事実を俺は所長にしか明かしていなかった。それは人との混血は、あちらでも未だに禁忌扱いだからだ。

 そうか……コイツ…………

「人との間に子はできる。力も高確率で鬼寄りになる」
「そうか──」
「ただ、色は……」
「人の物が強く出る」

 この時代で混血は……迫害の対象となるだろう……だが、鬼長の子ならば或いは────

 二人して沈黙していたその時、外の方で突然ざわめきが起こったのがわかった。ついで、夜が明けたわけでもないだろうに外が明るく見える──

「……火……?」
「またか……!」

 小さくそう呟く若竹。また……とは……?

「すまないが……また、待っていてくれるか?」
「……いや、俺も行こう」

 こんな時代だ。火消しには、人数が多い方がいいに決まっているだろう。

「事が起きているのにここに止まったままでは何の言い訳も出来ない」

 俺は元の時代に戻れるのか……。戻れないだなんて考えたくもないが、しばらくここに居なければならないのなら、俺は動く。

「だが……その髪色では……」

 俺の色で騒ぎが起きる。そう言いたいのだろうが、そんなことはわかっている。だが問題はない。

「記憶喪失のただの緑鬼なら問題あるまい?」

 俺は指輪を外し囲炉裏の縁に置いた。そして自分の中に眠る“人間”の力を呼び起こす。

「髪と目の色を若竹と近いものに……」

 そう言いながら念じると、だんだんと髪の色も目の色も変化していく。若竹の色よりは少しだけ暗い色へと──

 人の持つ精神力は、鬼の血と混ざる事で更なる変化を遂げ、念力と呼ばれる物へと変化する。

 そう──それが二つの種族が交わる事を禁忌とさせているのだ。

「──⁉︎──」
「一日くらいしかもたないが、まぁ大丈夫だろう」

 唖然とする若竹をよそに、俺は離れの玄関へと向かう。

「何してる、早く行って指示を出せ。俺はお前の言う通りに動くから」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!

野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。  私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。  そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる

若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ! 数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。 跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。 両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。 ――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう! エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。 彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。 ――結婚の約束、しただろう? 昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。 (わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?) 記憶がない。記憶にない。 姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない! 都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。 若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。 後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。 (そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?) ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。 エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。 だから。 この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し? 弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに? ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。

どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」 「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」  私は思わずそう言った。  だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。  ***  私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。  お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。  だから父からも煙たがられているのは自覚があった。  しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。  「必ず仕返ししてやろう」って。  そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

落ちこぼれ公爵令息の真実

三木谷夜宵
ファンタジー
ファレンハート公爵の次男セシルは、婚約者である王女ジェニエットから婚約破棄を言い渡される。その隣には兄であるブレイデンの姿があった。セシルは身に覚えのない容疑で断罪され、魔物が頻繁に現れるという辺境に送られてしまう。辺境の騎士団の下働きとして物資の輸送を担っていたセシルだったが、ある日拠点の一つが魔物に襲われ、多数の怪我人が出てしまう。物資が足らず、騎士たちの応急処置ができない状態に陥り、セシルは祈ることしかできなかった。しかし、そのとき奇跡が起きて──。 設定はわりとガバガバだけど、楽しんでもらえると嬉しいです。 投稿している他の作品との関連はありません。 カクヨムにも公開しています。

処理中です...