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第7部分 禁忌なワケ
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俺は、この身に起きた事をそのまま伝えた。
爆発に巻き込まれ、気づいたらあそこだった事。そして自分は、おそらくここよりもずっと未来から来たのだという事を。
「…………」
「信じるかどうかはお前次第だ……」
難しい顔をして黙りこくる若竹。
多分……コイツはこう言う事が聞きたかったのではないのだろう……表情を見ていればなんとなくわかる…………
「……親父だったら多分……牢に放り込んで終わりにするくらい荒唐無稽な話だな……」
囲炉裏に薪を足しながら苦笑う若竹。
「単刀直入に聞く。お前……若竹が知りたい事とは何だ?」
俺が混血だとわかったあの瞬間見えた目の光。そこには憐れみだけではなかった気がして俺は聞いてみた。
「…………」
若竹は囲炉裏の火を見たまま何も答えない。
「混血に関する事ではないのか?」
混血に関する知識なら、未来から来た俺は当然の如く知っている。
「……それだけ……ではないのだがな…………」
真剣な顔で火を写している彼の目は、まるで赤鬼のソレと見紛うかのように揺らめいていた。
「天鵞絨の言う通りだ。だが、お前が未来から来た者で混血ならば、俺のささやかな悩みはもう解決している」
「……?……」
それはどういう……
「お前の血には、人間も混ざっているだろう?」
「……!……」
右手の小指に着けている銀色の指輪が熱く感じた気がした。ソレは人としての力を封じる為の物──
未来でも。その事実を俺は所長にしか明かしていなかった。それは人との混血は、あちらでも未だに禁忌扱いだからだ。
そうか……コイツ…………
「人との間に子はできる。力も高確率で鬼寄りになる」
「そうか──」
「ただ、色は……」
「人の物が強く出る」
この時代で混血は……迫害の対象となるだろう……だが、鬼長の子ならば或いは────
二人して沈黙していたその時、外の方で突然ざわめきが起こったのがわかった。ついで、夜が明けたわけでもないだろうに外が明るく見える──
「……火……?」
「またか……!」
小さくそう呟く若竹。また……とは……?
「すまないが……また、待っていてくれるか?」
「……いや、俺も行こう」
こんな時代だ。火消しには、人数が多い方がいいに決まっているだろう。
「事が起きているのにここに止まったままでは何の言い訳も出来ない」
俺は元の時代に戻れるのか……。戻れないだなんて考えたくもないが、しばらくここに居なければならないのなら、俺は動く。
「だが……その髪色では……」
俺の色で騒ぎが起きる。そう言いたいのだろうが、そんなことはわかっている。だが問題はない。
「記憶喪失のただの緑鬼なら問題あるまい?」
俺は指輪を外し囲炉裏の縁に置いた。そして自分の中に眠る“人間”の力を呼び起こす。
「髪と目の色を若竹と近いものに……」
そう言いながら念じると、だんだんと髪の色も目の色も変化していく。若竹の色よりは少しだけ暗い色へと──
人の持つ精神力は、鬼の血と混ざる事で更なる変化を遂げ、念力と呼ばれる物へと変化する。
そう──それが二つの種族が交わる事を禁忌とさせているのだ。
「──⁉︎──」
「一日くらいしかもたないが、まぁ大丈夫だろう」
唖然とする若竹をよそに、俺は離れの玄関へと向かう。
「何してる、早く行って指示を出せ。俺はお前の言う通りに動くから」
爆発に巻き込まれ、気づいたらあそこだった事。そして自分は、おそらくここよりもずっと未来から来たのだという事を。
「…………」
「信じるかどうかはお前次第だ……」
難しい顔をして黙りこくる若竹。
多分……コイツはこう言う事が聞きたかったのではないのだろう……表情を見ていればなんとなくわかる…………
「……親父だったら多分……牢に放り込んで終わりにするくらい荒唐無稽な話だな……」
囲炉裏に薪を足しながら苦笑う若竹。
「単刀直入に聞く。お前……若竹が知りたい事とは何だ?」
俺が混血だとわかったあの瞬間見えた目の光。そこには憐れみだけではなかった気がして俺は聞いてみた。
「…………」
若竹は囲炉裏の火を見たまま何も答えない。
「混血に関する事ではないのか?」
混血に関する知識なら、未来から来た俺は当然の如く知っている。
「……それだけ……ではないのだがな…………」
真剣な顔で火を写している彼の目は、まるで赤鬼のソレと見紛うかのように揺らめいていた。
「天鵞絨の言う通りだ。だが、お前が未来から来た者で混血ならば、俺のささやかな悩みはもう解決している」
「……?……」
それはどういう……
「お前の血には、人間も混ざっているだろう?」
「……!……」
右手の小指に着けている銀色の指輪が熱く感じた気がした。ソレは人としての力を封じる為の物──
未来でも。その事実を俺は所長にしか明かしていなかった。それは人との混血は、あちらでも未だに禁忌扱いだからだ。
そうか……コイツ…………
「人との間に子はできる。力も高確率で鬼寄りになる」
「そうか──」
「ただ、色は……」
「人の物が強く出る」
この時代で混血は……迫害の対象となるだろう……だが、鬼長の子ならば或いは────
二人して沈黙していたその時、外の方で突然ざわめきが起こったのがわかった。ついで、夜が明けたわけでもないだろうに外が明るく見える──
「……火……?」
「またか……!」
小さくそう呟く若竹。また……とは……?
「すまないが……また、待っていてくれるか?」
「……いや、俺も行こう」
こんな時代だ。火消しには、人数が多い方がいいに決まっているだろう。
「事が起きているのにここに止まったままでは何の言い訳も出来ない」
俺は元の時代に戻れるのか……。戻れないだなんて考えたくもないが、しばらくここに居なければならないのなら、俺は動く。
「だが……その髪色では……」
俺の色で騒ぎが起きる。そう言いたいのだろうが、そんなことはわかっている。だが問題はない。
「記憶喪失のただの緑鬼なら問題あるまい?」
俺は指輪を外し囲炉裏の縁に置いた。そして自分の中に眠る“人間”の力を呼び起こす。
「髪と目の色を若竹と近いものに……」
そう言いながら念じると、だんだんと髪の色も目の色も変化していく。若竹の色よりは少しだけ暗い色へと──
人の持つ精神力は、鬼の血と混ざる事で更なる変化を遂げ、念力と呼ばれる物へと変化する。
そう──それが二つの種族が交わる事を禁忌とさせているのだ。
「──⁉︎──」
「一日くらいしかもたないが、まぁ大丈夫だろう」
唖然とする若竹をよそに、俺は離れの玄関へと向かう。
「何してる、早く行って指示を出せ。俺はお前の言う通りに動くから」
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