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第一章 First love
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「あ、」
周防は自分の指を見て、それから蜜に視線を向けた。
「ごめん、間接キスした」
「はっ…はぁぁ?」
今触ったよな、とは蜜も思った。
でもそんな事で反応するのも恥ずかしくて見ないふりをしたのにこのひとは。
「まいっか。先に触れたの蜜の方だし。危害はないって事で」
「や、危害って、先生は…っ」
動揺しているのは蜜だけなのか。
だけど周防の耳が少しだけ赤くなっている。
このひとも照れてるのかと思ったらおかしくて笑えた。
「ほんと子供みたい…」
クスクスと笑い続ける蜜を睨んでから、周防はエンジンをかけた。
「もう行くぞ」
「はーい」
車は再び静かに走り出した。
助手席からの景色は高く開放感を味わえた。広い室内に窮屈さのかけらもない。
天井には窓がついていて暮れ始めた空が見える。
「先生! そら。空が見えます」
車の中から空を眺めるという初めての経験に興奮して弾んだ声をあげた。
天井なんて閉じられて面白みのないものじゃなかったのか。
こんな車もあるんだと、ワクワクと目を輝かせた蜜に周防は柔らかい顔をむけた。
「なんか子供っぽい蜜も新鮮でいいね」
「……からかってます?」
「や、全然。可愛いなって。窓いいだろ。開放的だしさ」
さらっと「可愛い」という言葉を吐き出す周防に蜜は呆れたような視線を送った。
初めて会った時の「おいしそう」発言から思っていたけど、周防は人をドキっとさせることが上手だ。
「先生、言っときますけどぼくは男です」
ムッとした声が出てしまった。
子供だとからかわれるのは好きじゃない。
それが伝わったのか周防は眉を下げて蜜を見た。
「わかってるよ。でも可愛いものは可愛い。学校じゃ見られない顔だなって、つい感動して」
言ってからしまったというように瞬いて、
「でもそうだな、高校男子に可愛いはなかったな」と謝った。
ぽんぽんと頭に置かれた手が大きくてあったかい。
照れくささをごまかしきれなくなった蜜は外に顔をそむけた。
一緒にいたらいくつ心臓があっても足りないくらいドキドキさせられてばかりだ。
周防は自分の指を見て、それから蜜に視線を向けた。
「ごめん、間接キスした」
「はっ…はぁぁ?」
今触ったよな、とは蜜も思った。
でもそんな事で反応するのも恥ずかしくて見ないふりをしたのにこのひとは。
「まいっか。先に触れたの蜜の方だし。危害はないって事で」
「や、危害って、先生は…っ」
動揺しているのは蜜だけなのか。
だけど周防の耳が少しだけ赤くなっている。
このひとも照れてるのかと思ったらおかしくて笑えた。
「ほんと子供みたい…」
クスクスと笑い続ける蜜を睨んでから、周防はエンジンをかけた。
「もう行くぞ」
「はーい」
車は再び静かに走り出した。
助手席からの景色は高く開放感を味わえた。広い室内に窮屈さのかけらもない。
天井には窓がついていて暮れ始めた空が見える。
「先生! そら。空が見えます」
車の中から空を眺めるという初めての経験に興奮して弾んだ声をあげた。
天井なんて閉じられて面白みのないものじゃなかったのか。
こんな車もあるんだと、ワクワクと目を輝かせた蜜に周防は柔らかい顔をむけた。
「なんか子供っぽい蜜も新鮮でいいね」
「……からかってます?」
「や、全然。可愛いなって。窓いいだろ。開放的だしさ」
さらっと「可愛い」という言葉を吐き出す周防に蜜は呆れたような視線を送った。
初めて会った時の「おいしそう」発言から思っていたけど、周防は人をドキっとさせることが上手だ。
「先生、言っときますけどぼくは男です」
ムッとした声が出てしまった。
子供だとからかわれるのは好きじゃない。
それが伝わったのか周防は眉を下げて蜜を見た。
「わかってるよ。でも可愛いものは可愛い。学校じゃ見られない顔だなって、つい感動して」
言ってからしまったというように瞬いて、
「でもそうだな、高校男子に可愛いはなかったな」と謝った。
ぽんぽんと頭に置かれた手が大きくてあったかい。
照れくささをごまかしきれなくなった蜜は外に顔をそむけた。
一緒にいたらいくつ心臓があっても足りないくらいドキドキさせられてばかりだ。
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