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5:そして王都へ

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「見えてきたわっ」
 エイシスは声をあげ、馬車の窓をのぞき込んだ。

 二年ぶりの王都・ダンゲルハイムである。
 遠目からでも、赤い城壁に囲まれた三角錐――頂上には、天を突かんばかりの王の住まう城の三角塔が屹立きつりつしている――が見えてくる。
 屋敷からここまで、昼夜の別なく走り続けておおよそ三日の道程であった。

 王都に戻ることに悩みはつきなかったが、いざ、生まれ育った場所と向き合うと懐かしい気持ちが胸の中にじんわりと染み渡るのだった。

「おい、入り口からそれてるぞ」
 ジクムントが声をあげる。

 長蛇の列ができている門をかすめるように馬車は進みつづける。
「あれは庶民のための門で、我々は貴族用の門だ」
 縄を巻かれたまま、ループレヒトは言う。
 これが奇妙であると同時に、エイシスがこの長兄を尊敬するべきところなのだが、彼なりに納得ができれば、端から見ればどれほど屈辱的であろうともそれを受け入れてしまうのだ。
 今回の場合は、エイシスが王都につくまで縄をかけていたら戻っても良いという条件に、その程度のこと、と納得したからだ。
「貴族様の特権、か」
「貴族は果たすべき役割があるから、特権を享受するのは当然だろう?」
 いやみもなにもなく、大まじめにループレヒトが言う。
 だが、ジクムントは気に入らなさそうに顔を背ける。

(この調子で、いくとまずそう……)
 ループレヒトは変人ではあるが、比較的、人間としては出来ているほう、なのだ。

 門を抜けるとゆるやかな坂道を上る。
 両端にはそれこそ庶民の家がいくつも建ちそうな区域に、でんと仰々しい門構えの邸宅が並んでいる。
 家々は階級の順番に高い位置にあるが、例外は存在する。
 魔法血統の魔ゾディアックを冠する爵位をもつ貴族は、たとえそれが貴族の最底辺にある子爵であろうと王城と目と鼻の先の最上段の区域に邸宅をおくことが許されている。
 もちろん、エイシスの実家・バレンタイン魔伯爵家はその一つ。

 邸宅の形はそれぞれ許される限りの個性をもっているが、色彩は紅ルージュに統一されている。
 紅は王家の色である。
 王都は別に、“血紅の都ブラディ・エンパイア”と呼ばれてもいる。
 これは大陸で最も豊かな中原を、武力で勝ち取ったことから由来されている。
 エイシスからすれば、なんて不気味な呼び方だという想いはあるものの、男たちにとっては血であがなうことは名誉なのだろう。

 やがて坂道が途切れ、城壁に沿うような曲線を描いた道を馬の蹄が軽快な音を響かせ、走る。
 慣れ親しんだ光景に思わず見入っていると、長兄から声がかかる。
「そんなに懐かしいのだったら、さっさと戻ってくればいいものを」
「……い、いえ、そういうわけでは」
「構わないさ。故郷を見限りさえしなければ、常に我が愛する妹だ」
 ループレヒトは爽やかな微笑をたたえる。
 そして街路樹に囲われた、屋敷の前で馬車が止まる。久方ぶりの我が家。
「さあ、行こう」
「兄上……その前に縄を」
「では召使いくん、切ってくれたまえ」
「……ジクムントだ」
 ぶつくさいいながら、ナイフで縄を断ち切った。
「自由とは素晴らしいね。それを実感した旅だったよ」
「それじゃ、行きましょう」
 エイシスはジクムントに呼びかけ、一緒に馬車を降りた。
 少しこもって、熱気をはらんだ空気が肌を撫でる。
 踏みしめる地面は綺麗に整備された石畳で、見上げた空は高い建物に切り取られている……。
 自然豊かな我が屋敷とはまったく別の世界に来たかのよう、とも思う。

 御者が先に立って、ユープレヒトたちの帰りを報告すれば、家令とお仕着せを着た女中たちが勢揃いをして一斉に頭こうべを垂れる。
「今日はお客様を連れてきたんだ」
「……みなさん。お久しぶり、です」
 こういう時、どう声をかけるべきか分からず、他人行儀になってしまう。
「おぉ、エイシス様、お久しぶりでございますっ!」
 家令のアルトマンが声をあげ、女中頭のヘンダは大げさに涙ぐんでいる。
「旦那様や奥様もきっと、お喜びのことでしょう。……あ、そちらは?」
 使用人たちの視線が、ジクムントに集中する。さすがに大人数に興味津々に見つめられ、ジクムントも居心地悪いようだった。
「ジークは」
「エイシスの召使いさ」
「兄上、違います。私の同居人です」
「ど、同居人……ですってえ!?」
 悲鳴に似た声をあげたのは女中頭のヘンダだ。彼女は大きな身体を揺すり上げながら近づいてくる。
「エイシス様、あなた様はヴァレンタイン家のご令嬢でございますよっ。そ、それが……うちに、男性の方を引き入れるなんて……何ということを……母君に申し訳がたちません……っ!」
「ヘンダ! 誤解しないで。ジクムントはそういう人じゃないの。彼は」
「――ちょっと、何を騒いでいるのっ?」
 大広間から二階へ伸びる大階段をゆっくりとした調子で、身体の線に沿った青いドレス姿と、ゆったりとした黄色いドレスの女性が降りてくる。
 青いドレスのほうは、さらさらと腰まで流れるブラウンの髪に、茶褐色の目尻のやや、見る人がみれば、勝ち気そうに見えるような目を持ち、細い顎は傲然とそびやかされている。
 黄色いドレスは、ショートヘアの髪に、やや太り気味な体型をドレスで巧妙に隠そうとして、青いドレスの女性に遠慮して後ろを歩いている。
「カリオナ、シェリ。エイシスを連れ戻したよ」
「……あら、確かにそこにいるのは妹じゃない」
「ええ、ほんとぉうに」
「姉上方、お久しぶりでございます」
 エイシスはそっとお辞儀をする。
 青いドレスは、ヴァレンタイ魔伯爵家の長女で、エイシスとは異母姉、カリオナ・ディン・ヴァレンタイン。二十二歳だ。
 黄色いドレスが、次女で、同じく異母姉のシェリ・イェン・ヴァレンタイン。こちらは十九歳。
 と、エイシスとシェリの二人の目が、ジクムントを捉えるや、その口元が甘く緩んだのを、エイシスは見逃さなかった。
「お兄様、そちらの殿方は?」
「私の同居人でございます」
 エイシスが答えると、姉君二人の目が苛立ったように細められる。
「あなた、魔法の修養のためにあのおんぼろ屋敷へ行っていたのではなかったの」
「――エイシスには、命を助けてもらったんだ。あんたたちが勘ぐるような関係じゃない」
 見かねたようにジクムントはじろりとその場にいる耳年増な連中をにらみつける。
 さすがに全員、その迫力に気圧される――ユープレヒト以外は。
「あ、あら……そうでしたの。
 それはそれとして、よろしくお願いするわ。わたくしはカリオナと申します」
「わたくしは、シェリですわ。よろしくお願いします、オホホホ」
「……ジクムントだ」
「ジークとおよびしても」
「勝手にしろ」
 あからさまに邪険にされているが、カリオナたちはそんなことには気づかない様子。
「……それで、エイシス、あなた、どうして戻って来たの? 魔法のほうは?」
 シェリが詰問口調で聞いてくる。
「父上が倒れられたと聞きましてお見舞いに参りました、別に戻って来たわけではありません」
「そう。でしたら早く、お父様のもとへいきなさい」
「こちらでございます」
 家令アルトマンに案内されて階段を上がろうとするエイシスに続く、ジクムントの袖を、二人の姉たちが掴んだ。
「あら、あなたは、わたくしたちと外でお茶でもいたしましょう。父娘おやこ水入らずの邪魔をするべきえはないわよ? アルトマン、この方をお庭に案内して。ヘンダ、あなたたちはお茶の準備を」
「し、しかし」
「エイシス、あなた、一人でいけるわよね」
「はい」
「なら、私が案内しよう」
「兄上っ」
 二人の姉たちが抗議の声をあげるが、
「私も父上の様子はみたいのでね。何せ、数日家を空けていたわけだし」
 ユープレヒトはどこ吹く風で、受け流し、そっと妹をエスコートする。
「……嫌な気持ちにさせてすまないね」
 兄の言葉に、少し驚きながら「いえ」と小さく首を横に振る。
「ところで、兄様は?」
「次男アルフォンスかい? あれは変人だからねえ、軍人になるなんてどうかしている」
 あんたが言うな!という言葉が喉元まででかかった。
「まったく。何のために軍人を莫大な公費を割いて養っているんだか。我々は貴族はもっと高い位置から物事を見なければならないと言うのに。現場に行ってしまえば、それに染まるだけじゃないか」
 寝室の扉をノックをする。
「ユープレヒトです、ただいま戻りました」
「おお……入りなさい」
 苦しげな父のかすれ声が漏れた。

 エイシスたちが部屋に入ると、ヴァレンタイン魔伯爵家当主、ギュンター・フォン・ヴァレンタインがうつぶせの格好でベッドにいた。

 ベッドの傍らには、ギュンターの本妻の、カレリーナがいた。カリオナの髪と同じブラウンカラーの髪をゆるく巻き上げ、その瞳はユープレヒトやシェリと同じ紫色――。

「お母様、お久しぶりでございます」
「久しぶりね」
 硬質な声が返ってくる。
 妾腹の子を、カレリーナはやはり歓迎してはいない。

(この人といい、姉たちといい、見事に変わらないわね)

 エイシスはすぐに視線を、父に向ける。
 いつも居住まいを正している厳格な父になく、白銀の髪はところどころ毛先が跳ね、心なし顔もやつれているように見える。威厳溢れる口ひげもいくらかしおれて見える。

「お父様……お久しぶりでございます。体調のほうはいかがですか?」
「おお……エイシス……戻ってきて、くれたか」
 声を出すのも辛そうだった。
 想像以上の重病さに、エイシスはたまらず駆け寄り、手を握る。
「お父様……」
「ああ、ありがとう……。お前が来て、嬉しいよ」
 笑おうとするが、痛みが走るのか顔をくしゃくしゃくにする。
「お父様っ!?」
「すこし……響く……」
「お医者様を呼んだほうがよろしいんではありませんか」
「いや、その必要はなよ」
「兄上っ」
「ぎっくり腰程度で医者にかからないとわがままを仰るんだ」
「…………は?」
「年甲斐もなく、庭の木に実ったリンゴをとろうとして、落ちたんだ」
「ぎっくり、腰……? 兄上、お父様は病床にあると!」
「ぎっくり腰は立派な病気だろう?」
「わ、私は父上が大病にかかっているとばっかり……」
「すまん、声を小さくしてくれないか? 腰に、ひ、響く……っ」
「父上、見栄をはらず、お医者様を呼ばれてはいかがですか」
「ヴァ、ヴァレンアイン……家の、と、当主が……うぐぐ……ぎっくり腰など……しゃ、社交界の……良い、わ、笑いもの……だっ……」
 どうやら父の見栄っ張りはいぜんとして健在のようだ。
「それで……エイシス、魔法は、どうだ?」
「……申し訳ございません」
 エイシスは義母のことを気にしつつ、言った。
「まったく、あなたときたら。どういうことなんですか。あんな動物しかいないような場所に一人こもっている上に、そのていたらく! 放蕩以外の何だというのですかっ!」
「……やめないか。
 エイシス、謝ることはないさ……。お前の母は、とても魔法の素養に溢れた者だった……。大丈夫。決して、焦らなくとも……精進することが、た、大切だ……」
「……ありがとうございます」
「あなたがそう、甘やかすから……っ」
「母上、そのように声を出されては父上が苦しまれます」
 ユープレヒトが言いつつ、エイシスを促して部屋を出た。
「兄上」
「大丈夫。痛み止めを水に混ぜて飲ませている。段々と聞いてくるはずだよ」
「そう、ですか」
「母上は父のわがままに振り回されて気が立っているんだ、あまり気にすることはない」
「分かっております」
 エイシスたちが庭に出ると、早速とばかりにジクムントに色目をつかっている姉たちを見る羽目に。
(まったくこの人たちは……)
 良い男とわかれば見境なく声をかける。理想ばかりが高いせいで、これまで浮いた話もなく、見合い話もことごとく断っていた。それを母が援護射撃するものだから余計、婚期を逃す、という悪循環……。
「ジーク、ちょっとつきあってくれる?」
「ちょっと、今はわたくしたちとのお茶の時間よ」
 邪魔をするな、と目から光線でも出さんばかり。しかしエイシスはそれを真っ向から無視する。
「いや、俺はエイシスの護衛も兼ねている」
「何だ、やっぱり召使いじゃないか」
「兄上、それでは私どもは出かけて参ります」
「……きみたちのお茶の相手は私がしよう。まさか嫌とは言わないよねえ」
 エイシスたちは足早にヴァレンタイン屋敷を出る。
「……助かった」
「ううん、こっちこそ、嫌な思いさせちゃってごめんなさい」
「それで、これからどこに行くんだ……まあ、どこでも、あれよりはましか」
 二人は顔を見合わせ、くすりと笑う。
「友達のところよ」
 坂道をおりていき、一つの屋敷の門をくぐる。
 そしてノッカーを打ち付ければ、初老の家令が出てくる。
「エイシス・ウィル・ヴァレンタインでございます」
「おぉ、エイシス様、ご無沙汰でございます」
 初老の家令を顔をくしゃくしゃにして出迎えてくれる。
「ただいま、お嬢様をお呼びして参ります」

 正直、二年ぶりということもあって、相手がもしかしたら、自分のことなんて……という可能性を覚悟していたエイシスではあったが、

「エイシスっ!」
「ディアナ……きゃっ!」

 階段から飛び込んできた、淡い若草色のロングカートに白いブラウス姿の女性に抱きつかれる。
「久しぶりじゃない、もう」
 ディアナの緑がかった瞳はかすかに涙ぐんでいる。エイシスも緊張の糸が切れたせいか涙を我慢できなかった。
「あなたが修行中って聞いたから手紙も出せなくて……心配してたのよ」
「ごめんなさい……」
「いいの。こうして、会いに来てくれただけで嬉しいわ」
 と、ディアナの目がジクムントを見る。
「この方は?」
「彼は、ジクムントよ」
「よろしく。私は、ディアナ・ノーティア・ジキタリアスよ。エイシスとは学生時代からのつきあい。ま、私は魔法は使えない、しがない伯爵家だけども」
「そんなことないわ。れっきとした立派な家じゃない。――彼女には学生時代、いろいろ助けてもらったの」
「陰険な、馬鹿姉二人とその他にいびられてたら放っておけないじゃない。エイシスは表だって逆らえないんだし」
 ディアナは昔からさばさばして、男気、のようなものがあった。
 赤毛を高く結い上げたディアナは、しげしげとジクムントを見つめる。
「もしかして、帰ってきたのって、結婚を報告するため……?」
 水くさい、と口を尖らせる。
「ち、違うわよ。ジクムントとはそんな関係じゃないの」
「そうだ、俺はエイシスに助けられて……」
「あら、呼吸がぴったりね。いいわ、積もる話はお茶でもしながらにしましょう」
 ディアナは家令に命じ、お茶の支度をさせる。
 蔓薔薇が咲き誇る美しい庭に席が設けられた。

 薔薇の花びらを浮かべた紅茶がエイシスたちに振る舞われた。
「あいかわらず、ここのお茶はおいしい。香りもいいし……ね、ジーク」
「ああ、うまい」
「お粗末様です」
 にっこりと笑う。
 ディアナのこの溌剌とした笑顔を見ると、戻って来て良かったと思えた。

 早速、エイシスは王都へ戻って来た経緯を話す。
「あら、ループレヒト様にしてやられたのね」
「でも久しぶりにお父様の顔を見られたから、良かったわ。だいぶ、辛いみたい」
「ま、精神力で何とかするには難しいわよねえ」
 ディアナはくすくすと笑う。
「それで、いつまでここに?」
「……数日かな。向こうをいつまでも留守にはできないから」
「じゃあ、週末のパーティーには出られるわね」
「パーティー?」
「王家主催のパーティーよ。きっと、ユープレヒト様はそれを見越した上で、あなたをつれてきたんじゃない?」
 はかられた――がっくりとうなだれた。
 あの浮き世離れした人の相手をするうちに、そのペースに知らずしらず巻き込まれてしまうのだ。

「いいじゃない。パーティーなんて久しぶりだし。ドレスだって私が貸してあげる。それに、今回は仮面舞踏会らしいから、楽しそうじゃない?
 ジクムント。あなたも来たらいいわ。どうせ、仮面さえして服装さえ整えてれば誰だって入れそうなもんだから」
「……エイシスが行くなら」
 ディアナは頬に手をあて、きゃーっ、と声をあげた。
「やっぱりそうなんじゃない!」
「違うったら。今回は、ジークには無理を言って、ついてきてもらったから……まあ、久しぶりの我が一族……だから」
「気持ちは分からなくはないわね。でもパーティーくらいはね。思い出作りとして。このまま今日でお別れなんて嫌だわ」
「分かったわ」
「決まり。じゃ、早速、ドレス選びをしましょうっ。ジクムント、あなたもね。お父様のものがあるはずだからそれを仕立てなおして……」
「いや、俺はそんなことまでしてくれなくても」
「それなりの格好をしなくちゃ。エイシスをエスコートするのよ。あなたが変な格好で恥をかくのは、エイシスなんだから。大丈夫、お代を寄越せ、なんて言わないから」
 ディアナはにこにこしながら笑顔でエイシスたちをせき立てた。

                  ■■■■■■

「ごめんなさい、色々、勝手に決まっちゃって……」
 服選びを色々して、エイシスたちがジキタリアス伯爵家を辞すると、すでに夕闇が迫りつつあった。
「いや。記憶を失っていても女性に準備が要るのは分かる」
「ありがとう。あなたの、タキシード姿、似合ってたわよ」
「……肩が凝りそうだ」
 ジクムントは苦笑する。
「一度くらいはいいわよ。まあ、何度も出るのは骨が折れるだけだけど」
 そうして坂道が終わると、エイシスは振り返る。
 王都に戻って来て、見たかった景色だ。

 深みを増した緋色の日差しが、家々を照らし、赤く輝かせている。
 それが一番下層までずらりと続き、そして地平線まで鮮やかな絨毯を敷いたような光景が続く。
 空は空で、地平線ちかくは夕日で赤々と染まりながら、すでに東のほうからは濃紺の闇が迫り、その二つの世界が溶け込んで、見事なグラデーションを描く。

 二人はしばしそれに見入った。
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