デスゲーム運営会社におけるデスゲーム殺人事件の顛末について

イカダ詫び寂

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プロローグ

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 遠山は事態を究明するべく奔走していた。



 事務所から会場までは徒歩で15分ほど。齢30の全力疾走でなんとか12分まで短縮した。日頃の健康意識の高さが功を奏したと言えよう。



 息を切らし、目の前の死体に目を向ける。まだ16歳という若さのその少女は、何者かに殴られたのだろうか。頭から血を流しうつ伏せで倒れている。衣服は乱れていないが、寝る直前だったようだ。靴下や上着は脱ぎ捨てられていて、付近には部屋に常備されているスキンケア用品が散らばっていた。




 冗談じゃない。この娘が死ぬのはこれからなんだぞ。




 遠山は憤っている。彼が担当している今回のデスゲームは、明日から始まる予定だった。標的を拉致し、部屋に幽閉した段階だ。まだどのようなゲームが行われるか、どうすれば脱出できるかといった概要すら説明されていない。



 参加者に欠員が出るなんて前代未聞、まして殺人事件なんて論外だ。これでは「依頼者」に申し訳が立たない。「客」への対応も変わる。そもそも誰が?今回のデスゲームはゲーム形式で人を減らす手筈だから、参加者同士のアクシデントが無いよう徹底した安全対策のはずだ。いやいやそんなことを考えている場合ではない。いやしかし……遠山はかつてないパニックに陥っている。



 そこへ、彼を正気に戻す着信音が鳴り響いた。部長からだ。




「遠山、現場はどうだ?」

「……報告の通りです。残念ながらご臨終です」

「そうか…それで今後のことだが、まず死体の処理及び隠蔽。そして予定通り明日のデスゲームは行い、欠員については補充要因を手配する。それじゃ、まず死体処理の手続きを頼む」

「ちょっと待ってください部長!今回は特例として延期するって話だったんじゃ……」

「上での協議の結果だ。日程と客の都合を考えた結果強硬するとのことだ」

「……分かりました。早急に処理します。…失礼します」




 電話を切り溜息をつく。改めて目の前の死体に目を落とす。




「誘拐された初日にずいぶんくつろいでんなコイツ……」




 現場班に詳細を聞くため、遠山は部屋を後にした。今日は残業だな…と、小さな声で呟いた。

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