デスゲーム運営会社におけるデスゲーム殺人事件の顛末について

イカダ詫び寂

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デスゲーム1日目

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「名演説だな遠山」



 部長が背後で笑っている。

 まひるは感心した様子でこちらを見ている。



「柄じゃないですよ……」

「そういうな。初主任はデスゲームの主催者として参加者の前で現れる。これは代々の習わしだ。伝統というものなんだから仕方ない」



 この部署最近できたって言ってなかったか……?



「そうですよ先輩!名悪役です!」

「ああ、ありがとうね……」



 渇いた笑いが出た。あんまり嬉しくない。



「しかし、今回のメインターゲットの華村は大物だな」



 部長がタバコを咥えながら語る。



「友人が目の前で死んでいるというのに、身じろぎ一つしない。ずいぶんと図太い神経をお持ちのようで……」

「先輩にも怒鳴りつけてましたよね!恐かったなぁ……」

「それに見たまえ。今奴が睨みつけている方向を」



 モニターを確認すると、華村は水瀬を睨んでいる姿が映し出された。



「どうやら奴は水瀬が一連の黒幕だと勘繰っているらしい。見た目に似合わず冷静に物事を捉える能力があるらしい」

「あんなギャルっぽい娘がねえ……」

「人は見かけによらないな。偏差値もさほど高くない高校だと聞いていたが……」

「成り行きでグループのリーダーになったわけではなさそうですね」



 事前の情報では今回の標的に人狼ガチ勢はいないのでワンサイドゲームにはならないと思ったが、現実のパワーバランスを考えると華村に意見が偏る可能性は考えられた。だから依頼者の水瀬と同じ陣営である狂人に設定したのだが。



「会議はどうなっている?」

「静まり返ってますね~」

「まあそうなるだろうと思っての会議1時間設定だから。前代未聞の長さだよ」

「にしても先輩、うまくいきますかね?」

「何が?」



「初日会議スプリット」



 ※スプリットとは……投票が同数で割れること



「まあ、こればっかりは願うしかないかな」



 後ろで部長が腕を組みながら、ニヤリと笑ってモニターを凝視していた。

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