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13話

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「そもそもなぜこの俺が貴様のような『出来損ない』と――」

とピエール様が何やら文句をこぼしていますが、私はそれを話半分に聞き流しています。
大体私だって、あなたみたいな浮気野郎との婚約なんて嫌ですよ。
とはいってもお父様が私の婚約解消を許してくれないですし、どうしようもないんですけどね。

「貴様がいなければ、今頃はガーネッタと一緒になれたのに……」

「私も残念です……悲しいけど私はピエール様から愛されているだけで十分です」

「ガーネッタ……」

「ピエール様……」

はいはい。イチャイチャするなら私のいないところでやってもらえませんかね。
毎回毎回見せつけるようにしてきてこっちも鬱陶しいんですよね。
私だってピエール様がいなければいいのに……って何度思ったことか。

………………いなければ?


「ガーネッタ。今度の休みはどこに行きたい?」

「そうですね……偶には人のいない静かなところでのんびり過ごしたいです」

「ふむ……家の所有している別荘に、丁度いい場所があるな。よし、今度の休みはそこにしよう」

「わあ……うれしいです! ピエール様っ!」




放課後、私はふと思ったことがあったので学園にある図書室に足を運んでいた。

――流れ星を題材にした物語

――星の位置による吉兆について

私はとあることに関する書物を片っ端から見ていた。
そのどれもが『星』に関する書物。

「(『星』に関する記述はあるけど、『宇宙』に関する記述がある書物はないわね……)」

ということは、について知っている人は誰もいないということね。
あれ? 何で私そんなこと知っているのかしら……

まあ、今更ね。どうでもいいわそんなこと……
と私は紅く染まり始めている空を見つめていた。


私の魔法の効果範囲って、どこまで届くのかしらね……



学園の休みにあたる日。
カブル伯爵領の一部で謎の爆発現象が発生した。

爆発範囲は伯爵が所有していたとある別荘の周辺一帯。
そこは伯爵が休暇を過ごす為に利用しているだけで、周囲に領民は住んでいなかった。
別荘周辺はポッカリと大きな穴が開いており、周囲の木々は爆風でなぎ倒されていた。
伯爵は、魔導士や騎士団を派遣し原因を調査しているが、今のところ原因は判明していない。



――休み明け。
学園にピエール様とガーネッタが登校することは二度と訪れなかった。
運悪く爆発のあった別荘に二人は遊びに来ていたそうで、現在も行方は判明してない。



こうして私とピエール様の婚約は、彼が行方不明となったことで解消される運びとなった。
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