夏に雪がふる、そして桜が咲く。

分岐 陸 僕は繰り返す

僕は繰り返す

　フィルムが巻き取られる音がした。

　僕は席から立ち上がり、映写室に向かう。

　僕は何回この作業をしたのか覚えていない。

　ただ、僕はこうして、フィルムが巻き取られる度に映写室に向かいフィルムをセットし、スタートさせる。

　フィルムをセットしてスイッチを入れる。

　映写機からは何回も見た、けど少し違っている映像が飛び出してくる。そして、辿り着くエンディングは皆違う。

　そして、その違いは本当にささやかなもので、当時の僕であっても全く気付けないだろう。

　多分、この映画は僕が本来歩むかも知れなかった、未来達なのだ。

　それを、この世界の僕は見ているだけなのだろう。

　タイタニックでダンスをするエンディングもあったし、砂漠で佇むエンディングもあった。

「さて、トゥルーエンディングに辿り着くのはいつかな？」

　僕は席に座った。多分僕はワクワクしている。

　分岐　陸　僕は繰り返す～完～