惚れたのは貴方じゃありません!!貴方のお父様ですっっ!!!

カイナルミ

文字の大きさ
20 / 34

20 平穏

しおりを挟む






それから半月エミリヤはたまにヴィルヘルムと一緒に式の準備を行い、昼食を外で一緒に食べるまでになった。しかし、公園へ行ったり屋敷で一緒にいるのはギルベルトである。本日は4日後の結婚式で使用するネックレスがギリギリで出来上がった為ヴィルヘルムと受け取りに来ていた。



 「ヴィルヘルム様は、ここのお菓子食べた事ありますか?」

馬車を待たせている所まで2人で歩いている時に見つけた、可愛いお菓子屋さんについてエミリヤが尋ねる。

 「いや、無いな。菓子は食べないからな」

 「甘いもの苦手なんですか?」
 「そう言うわけでは無いが、機会がなくてな」

外にいる事でヴィルヘルムの焦茶のサラサラした髪が光を纏う。エミリヤの髪の毛も子猫の毛の様にふわふわとそよ風で揺れる。この半月でヴィルヘルムのエミリヤに対する雰囲気は随分柔らかくなった。

 「エミリヤ嬢はお好きなのか?」
 「好きですよ?むしろ大好きです!!子爵家では結構緩くて、貴族らしく無いって言われるお菓子作りしてる程には好きですよ!!」
 「自身で作るのか?エミリヤ嬢は多趣味だな・・・。私は趣味が無いので羨ましいよ」
 「今度一緒に料理か香水作って見ますか?楽器は苦手なのでそれ以外でしたら、読書絵画工作等でしたらお付き合い致しますよ?剣術はやった事ないですけど気にはなっていたのでそう言ったものでもお付き合いしますよ」
 「エミリヤ嬢は何でもやってみるんだな」

2人は会話を楽しむ様に石畳の上をゆっくり歩く。街の喧騒も心地よい音楽に聴こえる。

 「折角やれる環境があるのですからこの際何でもやって見なければ!!経験は宝ですわ!!」
 「出来なかったらどうするんだ?」
 「勿論3ヶ月やってダメダメでしたらすぐ辞めますわ。だって世の中にはわたくしのやった事のない面白そうな事が星の数程ありますのに、一つの事に囚われる必要性御座います?一芸に秀でた方が良いとは申しますけど、合っていない事を死ぬまでやってそこそこ上手くなっても天才の足元にも及びませんわ。それならば、死ぬまでやりたい事やって合っている事を追い求めながら生きた方が楽しくありません?」
 「結局見つからなくてもか?」
 「勿論ですわ!!ですが、どちらにも言えますが途中で心折れる可能性が高いですので鈍感に生きれるかは重要ですわね」

停車していた馬車まで帰り着き、御者が扉を開ける。

 「貴女は本当に変わった考えの人だな」
 「ーーふふっ、そうかしら?」

馬車に乗り込む際にヴィルヘルムがエミリヤに手を差し出す。初めて見るヴィルヘルムの作ってない笑顔にエミリヤはこれからヴィルヘルムが自身の幸せを見つけられる事を祈った。



♢♢♢♢♢♢♢



 「よう!ヴィルヘルム。お前随分と婚約者と上手くいってんだな?」

ヴィルヘルムは今、宰相補佐をしているが以前騎士団に勤めていた事があった。その時の上官に廊下ですれ違ったら呼び止められ話しかけられた。
制服を着ていてもはっきりと分かる筋肉が現在も剣の腕が衰えていないだろう事を伺わせる。

 「え・・・そうなのでしょうか?特に上手く行っているとは思えませんが・・・。」
 「な~に言ってんだ!!お前雰囲気柔らかくなったぞ?前の冷笑伯爵までは戻ったな!!お前狙ってた伯爵のお嬢さんと一緒になると思っていたのになぁ~まぁ女嫌いのお前にゃあのお嬢さんは無理だっただろうけどな!!」

豪快に笑いながら背中をバシバシと叩かれヴィルヘルムは不機嫌な顔になる。

 「おおっと!!これ以上遊んだら冷血伯爵に戻っちまうな!!祝いの品は今度贈るぜ!!じゃあなっっ!!」

以前の上官の背中を見送り、自身の仕事場へと踵を返す。

 「・・・雰囲気が柔らかくなったの・・・か・・・?」

確かに最近は女性に対するストレスも減った気がするが、それは女性に関わることがなかったからだと思っていた。それが知り合いに雰囲気が柔らかくなったと言われたら原因は彼女だという結論に辿り着く。ヴィルヘルムはそう言われた事は案外嫌で無い自分に驚いた。





♢♢♢♢♢♢♢




 「ギルベルト様は本日お休み取られたのですね?」

ギルベルトは出仕せずエミリヤを屋敷に招いていた。

 「あぁ・・・。書類上でも君が私で無い者の嫁になると式が近付くにつれて、焦燥感に駆られて仕事が手に付かんからな。だが、エミリヤが結婚したら私は早々にヴィルヘルムに爵位を譲って君との生活を楽しむつもりだから覚悟しなさい」

ギルベルトの手招きに引き寄せられエミリヤは自分の居場所の様に、1人掛けソファーに座っているギルベルトの太腿の間に座った。後ろからギルベルトの両腕がエミリヤの胸の下に回されて密着した状態である。


 「アイツとだいぶん打ち解けた様だな。」
 「ギルベルト様もそろそろヴィルヘルム様とお話になっては如何ですか?」

エミリヤは自身の前にあるギルベルトの腕を撫でながら話す。

 「そうだな・・・。考えておこう・・・。」
 「だーめっ!考えておこうって結局しないじゃ無いですか!!」

エミリヤは向き直ると近くにあったギルベルトの頬に手を添え触れるだけの口付けをそっとした。

 「ギルベルト様には私が居ますから安心してください」
 「・・・エミリヤは昔も今も私の居るべき場所であってくれるんだね」
 「そうですよ!!ギルベルト様は私の護衛騎士なのでしょ?でしたら離れないでくださいね?」
 「そうだな・・・」
 「はいっ♪これからも宜しくお願いします!!」

向かい合う様に座ったままの2人は口付けをどちらとも無く始めた。











 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。

たまこ
恋愛
 公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。  ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。 ※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。

狼隊長さんは、私のやわはだのトリコになりました。

汐瀬うに
恋愛
目が覚めたら、そこは獣人たちの国だった。 元看護師の百合は、この世界では珍しい“ヒト”として、狐の婆さんが仕切る風呂屋で働くことになる。 与えられた仕事は、獣人のお客を湯に通し、その体を洗ってもてなすこと。 本来ならこの先にあるはずの行為まで求められてもおかしくないのに、百合の素肌で背中を撫でられた獣人たちは、皆ふわふわの毛皮を揺らして眠りに落ちてしまうのだった。 人間の肌は、獣人にとって子犬の毛並みのようなもの――そう気づいた時には、百合は「眠りを売る“やわはだ嬢”」として静かな人気者になっていた。 そんな百合の元へある日、一つの依頼が舞い込む。 「眠れない狼隊長を、あんたの手で眠らせてやってほしい」 戦場の静けさに怯え、目を閉じれば仲間の最期がよみがえる狼隊長ライガ。 誰よりも強くあろうとする男の震えに触れた百合は、自分もまた失った人を忘れられずにいることを思い出す。 やわらかな人肌と、眠れない心。 静けさを怖がるふたりが、湯気の向こうで少しずつ寄り添っていく、獣人×ヒトの異世界恋愛譚。 [こちらは以前あげていた「やわはだの、お風呂やさん」の改稿ver.になります]

ちっちゃくて可愛いものがお好きですか。そうですかそうですか。もう十分わかったので放してもらっていいですか。

南田 此仁
恋愛
 ブラック企業を飛び出すように退職した日菜(ヒナ)は、家で一人祝杯を上げていた――はずなのに。  不意に落ちたペンダントトップへと手を伸ばし、気がつけばまったく見知らぬ場所にいた。  周囲を取り巻く巨大なぬいぐるみたち。  巨大化したペンダントトップ。  あれ?  もしかして私、ちっちゃくなっちゃった――!?  ……なーんてね。夢でしょ、夢!  と思って過ごしていたものの、一向に目が覚める気配はなく。  空腹感も尿意もある異様にリアルな夢のなか、鬼のような形相の家主から隠れてドールハウスで暮らしてみたり、仮眠中の家主にこっそりと触れてみたり。  姿を見られたが最後、可愛いもの好きの家主からの溺愛が止まりません……!? ■一話 800~1000文字ほど ■濡れ場は後半、※マーク付き ■ご感想いただけるととっても嬉しいです( *´艸`)

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

魚人族のバーに行ってワンナイトラブしたら番いにされて種付けされました

ノルジャン
恋愛
人族のスーシャは人魚のルシュールカを助けたことで仲良くなり、魚人の集うバーへ連れて行ってもらう。そこでルシュールカの幼馴染で鮫魚人のアグーラと出会い、一夜を共にすることになって…。ちょっとオラついたサメ魚人に激しく求められちゃうお話。ムーンライトノベルズにも投稿中。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している 【完結】

日下奈緒
恋愛
王家に仕える騎士の妹・リリアーナは、冷徹と噂される第3皇子アシュレイに密かに想いを寄せていた。戦の前夜、命を懸けた一戦を前に、彼のもとを訪ね純潔を捧げる。勝利の凱旋後も、皇子は毎夜彼女を呼び続け、やがてリリアーナは身籠る。正妃に拒まれていた皇子は離縁を決意し、すべてを捨ててリリアーナを正式な妃として迎える——これは、禁じられた愛が真実の絆へと変わる、激甘ロマンス。

処理中です...