王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら

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ランドットにて

アシュレイの出会い 1

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 靄のカーテンを潜り、青々と繁る枝葉を潜って小屋を目指していると、不意にざわりと空気が揺れた。

 同時にふわぁと靄が押し流され、前方の視界が開ける。

「えっーー?」

 その途端、川縁にあり得ない人影を見つけて、キャヴスは思わず声を上げた。

「あっ、アシュレイ様? あれ……??」

「嘘っ、私? そんな訳……」

 驚きのあまり、大きな声を上げたので、その影もこちらの存在に気がついた。

「誰? こんな時間に、どうしたの」

 立ち上がった人物に、近づき難くてアシュレイは足を止めた。

 まだ距離があるので、全容は把握できない。

(えっ? ウソ、私?? あんなところに鏡がある訳ないし、なんで!?)

 けれど、その人影は生き写しかと思うくらい、アシュレイにそっくりな姿をしていた。

 金の髪、青い瞳ーー

 近づいて確かめたいのに、ちょっとした恐怖が勝って足が動かない。

 自分とそっくりの人間はこの世に3人いて、その2人に会うと死んでしまう。

 そんな都市伝説があったような気がする。

 と言っても、ここは地球でも日本でもない。都市伝説など眉唾も甚だしい。

「あれ? ここの人じゃないの? 君たち……」

 しかし、当の影の主は不審に感じたのか、お構いなしにこちらへ向かって歩みを寄せた。

「えっ」

「あれっ」

 相手もようやくアシュレイを視認して、驚いたように口に手を当てた。

 同時に小さく叫んだのは後ろにいたマクシムだ。

 逃げることもできずに立ち尽くしていると、あちらから手を伸ばせば届く範囲までやって来た。

 それでようやく、アシュレイはほっとした。

 似てはいるが、顔の造作はやや異なる。

 瞳の色も、虹彩は同色でも翠に近い。

 背丈も相手の方が高いし、体格も細身だが凹凸のないスレンダーさで、男性だとわかる。

 判断の決め手は僅かに尖った喉仏だ。

「驚いた……こんなに僕とそっくりな人がいたなんて。君たち、どこから来たの?」

 ”僕”の一人称に、確証を得た。それならただのそっくりさんで済む。

「私も、びっくりしたわ。思わずドッペルゲンガーかと。貴方はラークの人?」

 合流前に住民と遭遇したのは予想外だが、これ幸いだ。

 一転して親切そうな人柄だと見込んで、アシュレイは逆に問いかけた。

「どっぺるがんがー? 僕はラークの民だよ。ガロンド族の」

「ごめんなさい、それは気にしないで。私はアシュレイ。セレンティアから来たの」

「そうなんだ。僕はユリウス」

 ユリウスは”ドッペルゲンガー”を民族名と誤解したようだ。

 礼儀正しく名乗ってくれたので良心が痛むが、アシュレイは国名を偽った。

 手筈を整えてもらった以上、セレンティアからの訪問者を装わねばならない。

「彼らもよ。こちらがキャヴス、それから」

「マクシムです。すみません、あまりにお嬢様と似ていらっしゃったのでつい驚いてしまいました。失礼をお許しください」

「初めまして。ようこそラークへ。僕も一瞬、もう1人自分がいるのかとびっくりしましたよ。セレンティアから外交の方がいらっしゃるとは聞いていませんでしたが……競い合いの視察か何かですか?」

「いいえ、実は……人を探しているの。昨夜あたり、この地に来た外国人はいない?」
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