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秘密の聖女様、大公閣下と共謀する件 20
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「こんばんは、大公閣下?」
先に挨拶の言葉を発したのはエリスだった。
アシュリーは夜分遅くに申し訳ない、そんな顔でそこに佇んでいた。
あいにくと、それから先には二人は踏み込まない。
この部屋にも、彼等には効果を成さないが侵入者を撃退するために仕込まれた罠があることを見抜かれ大公はこれは参った。
そんな苦笑を浮かべる。
「魔王様に勇者様‥‥‥はるかな伝説の英雄が来られるとは。
西のエベルング大陸はアレイデア帝国の伝説はかねがね聞いておりますよ‥‥‥」
大公のその返事に二人はあらら、そんな顔をする。
「こんなところにまで噂になってるわよ、旦那様?」
「そりゃあ、あれから千年。
伝説だのありもしないおとぎ話にでもなってるだろうよ、エリス。
大公殿‥‥‥信じてもらえるかどうかはわからないがー‥‥‥」
「クルード辺境国のハーミア様から、ですかな‥‥‥?」
敵か味方か。
どちらに転んでもただでは済まない現状をどう切り抜けたものか。
大公は優雅に座り込んでいながら、心中は荒波のようにざわめいていた。
「あら、話が早いわね。
ならこちらも楽だわ。
あのじじい、いえ、虚竜レグルス。
先々代のクルード公爵と言った方がいいかしら?
伝言がありますの、大公閣下」
「御本人がお越しになるには、いまの帝都は物騒ですからな‥‥‥。
既に、昨日より竜王陛下にその側近の方々まで。
我が兄上様のおられる皇城に入城されておられる。
敵陣に来られるには、ハーミア様ではいささか力不足。
そう、このザイールは見ておりますが‥‥‥」
ふうん、まあまあ見る目があるな、この大公閣下。
アシュリーはそう言い、エリスは話を続けた。
「そうですね、大公閣下。
あの子はいずれは強大な力を発揮するかもしれない。
でもいまの竜王にはかなわない。
まあ、それを可能にするためのわたしたち、ですけどね?」
「それは困りますな。
魔王が二人も地上世界で動かれた日には‥‥‥。
竜族は愚か、地上の魔族、ひいてはエルフや獣人、亜人たちまで敵に回すことになりかねません。
何より‥‥‥竜王陛下には勝てたとしても。
御二方は伝説になるほどの存在とはいえ、魔神や竜神様の時代よりも後世の御方。
果たして、竜神様を下すことはできるのですかな?」
「これはなかなか痛いところを‥‥‥。
残念だけど、それはないな。
あれにかなうのは俺たちの仲間では三人いたが、一人は故郷の地球に戻り。
一人は愛した勇者と共に滅び、一人は‥‥‥どこかの異世界にうまく転生しているといいんだがな。
まあ、レグルスのじいさんか、フェイブスタークが最盛期。
それも地下世界の頃に戻れば‥‥‥話は変わるだろうが。
いまの現代では、あの暴威にかなう者はいないよ、大公閣下」
最強と謳われた勇者がそう言うのならば、そうなのだろう。
ザイール大公は人類の未来より、帝国の未来はもうないな。
そう確信した瞬間でもあった。
「まあ、あれだよ、閣下。
俺たちがここに来た理由は二つ。
一つは閣下の護衛。
もう一つは――」
ザイール大公は心得ているとばかりにうなづいた。
「それは既に用意しておりますぞ。
しかし、あれも裏の道筋から幾つかは先代クルード公爵の手によって竜族へと流れていたようですな。
あのような、人体に潜め、暗殺兵器として扱う爆弾など‥‥‥無粋の極み」
「そうねえ‥‥‥。
まさか、人間族があそこまでの魔導兵器を開発するなんてね。
恐ろしいもんだわ‥‥‥」
魔王陛下のお一人にそう言われては恥ずかしい限り。
ザイール大公はあれを持ってくるように。
そう、家臣に申し付け彼らは数十のそれを魔王エリスに渡したのだった。
先に挨拶の言葉を発したのはエリスだった。
アシュリーは夜分遅くに申し訳ない、そんな顔でそこに佇んでいた。
あいにくと、それから先には二人は踏み込まない。
この部屋にも、彼等には効果を成さないが侵入者を撃退するために仕込まれた罠があることを見抜かれ大公はこれは参った。
そんな苦笑を浮かべる。
「魔王様に勇者様‥‥‥はるかな伝説の英雄が来られるとは。
西のエベルング大陸はアレイデア帝国の伝説はかねがね聞いておりますよ‥‥‥」
大公のその返事に二人はあらら、そんな顔をする。
「こんなところにまで噂になってるわよ、旦那様?」
「そりゃあ、あれから千年。
伝説だのありもしないおとぎ話にでもなってるだろうよ、エリス。
大公殿‥‥‥信じてもらえるかどうかはわからないがー‥‥‥」
「クルード辺境国のハーミア様から、ですかな‥‥‥?」
敵か味方か。
どちらに転んでもただでは済まない現状をどう切り抜けたものか。
大公は優雅に座り込んでいながら、心中は荒波のようにざわめいていた。
「あら、話が早いわね。
ならこちらも楽だわ。
あのじじい、いえ、虚竜レグルス。
先々代のクルード公爵と言った方がいいかしら?
伝言がありますの、大公閣下」
「御本人がお越しになるには、いまの帝都は物騒ですからな‥‥‥。
既に、昨日より竜王陛下にその側近の方々まで。
我が兄上様のおられる皇城に入城されておられる。
敵陣に来られるには、ハーミア様ではいささか力不足。
そう、このザイールは見ておりますが‥‥‥」
ふうん、まあまあ見る目があるな、この大公閣下。
アシュリーはそう言い、エリスは話を続けた。
「そうですね、大公閣下。
あの子はいずれは強大な力を発揮するかもしれない。
でもいまの竜王にはかなわない。
まあ、それを可能にするためのわたしたち、ですけどね?」
「それは困りますな。
魔王が二人も地上世界で動かれた日には‥‥‥。
竜族は愚か、地上の魔族、ひいてはエルフや獣人、亜人たちまで敵に回すことになりかねません。
何より‥‥‥竜王陛下には勝てたとしても。
御二方は伝説になるほどの存在とはいえ、魔神や竜神様の時代よりも後世の御方。
果たして、竜神様を下すことはできるのですかな?」
「これはなかなか痛いところを‥‥‥。
残念だけど、それはないな。
あれにかなうのは俺たちの仲間では三人いたが、一人は故郷の地球に戻り。
一人は愛した勇者と共に滅び、一人は‥‥‥どこかの異世界にうまく転生しているといいんだがな。
まあ、レグルスのじいさんか、フェイブスタークが最盛期。
それも地下世界の頃に戻れば‥‥‥話は変わるだろうが。
いまの現代では、あの暴威にかなう者はいないよ、大公閣下」
最強と謳われた勇者がそう言うのならば、そうなのだろう。
ザイール大公は人類の未来より、帝国の未来はもうないな。
そう確信した瞬間でもあった。
「まあ、あれだよ、閣下。
俺たちがここに来た理由は二つ。
一つは閣下の護衛。
もう一つは――」
ザイール大公は心得ているとばかりにうなづいた。
「それは既に用意しておりますぞ。
しかし、あれも裏の道筋から幾つかは先代クルード公爵の手によって竜族へと流れていたようですな。
あのような、人体に潜め、暗殺兵器として扱う爆弾など‥‥‥無粋の極み」
「そうねえ‥‥‥。
まさか、人間族があそこまでの魔導兵器を開発するなんてね。
恐ろしいもんだわ‥‥‥」
魔王陛下のお一人にそう言われては恥ずかしい限り。
ザイール大公はあれを持ってくるように。
そう、家臣に申し付け彼らは数十のそれを魔王エリスに渡したのだった。
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