52 / 79
秘密の聖女様、ブチ切れて皇太子殿下をぶん殴る件 2
しおりを挟む
「なあ、良かったのか?
お前の話を聞く限り、フェイブスタークの寿命は短い上に‥‥‥一番人気の息子はあの竜神の飼い犬と仲良かったんだろ?
もしかして、再生すらさっさと終わらせてたりしてな?」
戻って来たエリスを抱き寄せると、大公に借りた一室でアシュリーは妻の胸に顔を埋めていた。
永遠を生きる勇者。
だが、人の精神は千年と経たずに崩壊する。
それを食い止めてくれているのは、一重にこの魔王エリスの、妻の愛のおかげだと彼は感謝していた。
「わたしが見た限り、まだだと思うけど。
でも、あの再生していた二人がどちらかに力を半分でも渡せば‥‥‥それは可能かも、ね。
フェイブはそれを見越してるみたいだったけど。
でも、あの地下にあんなものがあるなんてねー。
あと千年早く気づいてたら‥‥‥」
「なんだよ?
お前があの便利な魔素を精製する装置を手にしたとでも?」
「そんなわけないでしょ?
魔素なんてね、どこにでもあるのよ。
この地上にでも充満してる。
そうでなきゃ、わたしがまともに活動できるわけないでしょ?」
まあ、そりゃ千年前から変わらない事実だな。
古代を知るアシュリーはそううなづいた。
しかし、魔王は人工魔素を作るだの、それが無ければ魔族は生きれないだの‥‥‥
「自分の一族までその生態を作り替えて何するつもりかね、あの魔王様は?」
「わかんないわよ。
ただー‥‥‥」
ただ?
嫌に含んだ言い方をするね、お前。
アシュリーはそう、不思議そうな顔になる。
何を気付いたんだ、と。
「あの魔都の中に充満していた魔素はね?
この惑星のものよりより濃いものだったわ。
そう、まるではるかな天上に行って始めて薄まるほどの‥‥‥」
「天上?
地下には、かつての竜神アルバスが天空大陸を浮かべるために作った巨大な魔法陣があるんだろ?
異世界の技術って聞いたけどな?」
「良く分からないわよ、はるかな太古過ぎて。
でもあれね。
この数日で、人間もそうだし、竜族もそうだし。
二十に満たない刺客が来るなんて、どうだったの?」
弱かったよ。
中には、竜王の直属の近衛騎士なんてのも来たがな‥‥‥
屋敷の外には累々の死骸が積まれていた。
アシュリーは敵には容赦がない。
何より、この光景は帝都の中に竜王をとどめておくには最適の効果を現していた。
いつでも討てるし、いつでもかかって来い。
そのどちらも出来ない竜王は、移動する際に狙われるかもしれず‥‥‥帝都に居残るしかなかった。
お前の話を聞く限り、フェイブスタークの寿命は短い上に‥‥‥一番人気の息子はあの竜神の飼い犬と仲良かったんだろ?
もしかして、再生すらさっさと終わらせてたりしてな?」
戻って来たエリスを抱き寄せると、大公に借りた一室でアシュリーは妻の胸に顔を埋めていた。
永遠を生きる勇者。
だが、人の精神は千年と経たずに崩壊する。
それを食い止めてくれているのは、一重にこの魔王エリスの、妻の愛のおかげだと彼は感謝していた。
「わたしが見た限り、まだだと思うけど。
でも、あの再生していた二人がどちらかに力を半分でも渡せば‥‥‥それは可能かも、ね。
フェイブはそれを見越してるみたいだったけど。
でも、あの地下にあんなものがあるなんてねー。
あと千年早く気づいてたら‥‥‥」
「なんだよ?
お前があの便利な魔素を精製する装置を手にしたとでも?」
「そんなわけないでしょ?
魔素なんてね、どこにでもあるのよ。
この地上にでも充満してる。
そうでなきゃ、わたしがまともに活動できるわけないでしょ?」
まあ、そりゃ千年前から変わらない事実だな。
古代を知るアシュリーはそううなづいた。
しかし、魔王は人工魔素を作るだの、それが無ければ魔族は生きれないだの‥‥‥
「自分の一族までその生態を作り替えて何するつもりかね、あの魔王様は?」
「わかんないわよ。
ただー‥‥‥」
ただ?
嫌に含んだ言い方をするね、お前。
アシュリーはそう、不思議そうな顔になる。
何を気付いたんだ、と。
「あの魔都の中に充満していた魔素はね?
この惑星のものよりより濃いものだったわ。
そう、まるではるかな天上に行って始めて薄まるほどの‥‥‥」
「天上?
地下には、かつての竜神アルバスが天空大陸を浮かべるために作った巨大な魔法陣があるんだろ?
異世界の技術って聞いたけどな?」
「良く分からないわよ、はるかな太古過ぎて。
でもあれね。
この数日で、人間もそうだし、竜族もそうだし。
二十に満たない刺客が来るなんて、どうだったの?」
弱かったよ。
中には、竜王の直属の近衛騎士なんてのも来たがな‥‥‥
屋敷の外には累々の死骸が積まれていた。
アシュリーは敵には容赦がない。
何より、この光景は帝都の中に竜王をとどめておくには最適の効果を現していた。
いつでも討てるし、いつでもかかって来い。
そのどちらも出来ない竜王は、移動する際に狙われるかもしれず‥‥‥帝都に居残るしかなかった。
1
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
聖女は記憶と共に姿を消した~婚約破棄を告げられた時、王国の運命が決まった~
キョウキョウ
恋愛
ある日、婚約相手のエリック王子から呼び出された聖女ノエラ。
パーティーが行われている会場の中央、貴族たちが注目する場所に立たされたノエラは、エリック王子から突然、婚約を破棄されてしまう。
最近、冷たい態度が続いていたとはいえ、公の場での宣言にノエラは言葉を失った。
さらにエリック王子は、ノエラが聖女には相応しくないと告げた後、一緒に居た美しい女神官エリーゼを真の聖女にすると宣言してしまう。彼女こそが本当の聖女であると言って、ノエラのことを偽物扱いする。
その瞬間、ノエラの心に浮かんだのは、万が一の時のために準備していた計画だった。
王国から、聖女ノエラに関する記憶を全て消し去るという計画を、今こそ実行に移す時だと決意した。
こうして聖女ノエラは人々の記憶から消え去り、ただのノエラとして新たな一歩を踏み出すのだった。
※過去に使用した設定や展開などを再利用しています。
※カクヨムにも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる