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秘密の聖女様、ブチ切れて皇太子殿下をぶん殴る件 3
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「ただあれなのよねえ‥‥‥」
なんとなく心に引っ掛かるものをエリスは感じていた。
息子のルゲル大将軍とスィールズ前クルード公爵が復活すれば、いまのフェブスタークはかなうだろうか?
それが出来ないときの用心にあの、大量の紅蓮の王を欲しがった?
何かが違う気がする。
「あの魔王、何か隠してるな。
虚竜のじいさんも含めて、だ。
だいたい、おかしくないか?
海底深くへ沈んだ天空大陸を浮かべるための基礎が、なんであんな場所にあるんだ?
地上のさ」
「画策したんでしょうよ、魔王まで転生組なんて。
あの火山の噴火までは読めなかったみたいだけど‥‥‥」
ああ、娘がいると言っていたな。
あっちはあいつらに任せているけど。
果たして大丈夫なのか?
アシュリーはそちらに一抹の不安を抱えていた。
あの仲間たちはいかんせん強すぎて何もかもが規格外で。
やり過ぎるからだ‥‥‥
この会話の数日後だ。
帝国の主たる皇帝に、せっかく占拠したクルード公爵領内にあるロッセル鉱山が――
不意の敵により再度、取り戻された。
その報が伝えられたのは。
何より一大事なのは‥‥‥
「あの女すら奪われたと!?
一体、誰が――あの地には竜族の精鋭すらいたと言うのに!!」
驚くのも無理はない。
帝国の精鋭部隊たる近衛騎士に、魔導騎士団。
そして、竜族の竜王の配下さえもそこにいたというのに‥‥‥
「はっ、大変申し訳ございません、陛下‥‥‥。
あの場に現れたのはたった二名。
しかも、年若い魔女と‥‥‥金髪の剣士だけでございました」
「たった二名とな!?
魔女とはなぜわかる!!??」
「あれは、あの技は‥‥‥はるかな太古に失われた重力を操る魔族の力。
バゼスの魔族に相違ございません‥‥‥最後のバゼスの魔女はたった一人。
あの伝説の、竜神様や魔神様、そして大地母神様のお子様だった三神を滅ぼしたーあの十二英雄。
そのお一人かと‥‥‥」
帝都に逃げ帰ってしまった魔導騎士団の長はそう報告する。
彼はさすがに、その道に歴史に詳しかった。
「ならば、金髪の男とは‥‥‥勇者オーウェンか。
先程の帝都におる我が弟に仕向けた者たちも討たれたと聞く。
赤毛の男と紫の髪をした女に、な‥‥‥」
「陛下‥‥‥これは由々しき事態。
十二英雄はそのあと、長であったラードリーの異世界への帰参により解散したと聞きますが。
その友であった六影の王も‥‥‥その生き残りが」
「加担している、そういうことか。
魔族と竜族、そして人間の問題に。
過去の亡霊どもがー!!!」
皇帝は忌々しいとその手にした杖で床を打ち付けた。
その隣に同席していた、人の形を取る竜王もまた怒りを隠し切れないでいた。
「はるかな太古の神々の御希望を、たかだか千年、二千年の力ある者どもが邪魔をするとは‥‥‥!!
無能のスィールズは二年前に姿を消すわまったく。
我らは部下に恵まれておらんようですな、皇帝陛下?」
その問いに皇帝はニヤリといやらし気な笑みを浮かべた。
「良く言われますな、竜王殿。
あの場に、紅蓮の王を放てとこの帝国に命じたのはあなた様ではありませんか」
「さて、どうだったかな?
忠実に見せかけて、謀反を企む輩など‥‥‥我が配下には必要ないでな、皇帝殿」
不敵に微笑む二人の王。
その様を見て、何よりも不安と焦燥に駆られているのは誰でもない。
ザイール大公に賭けのカタに全てを譲り渡し、今回の揉め事を表面化させた張本人。
エミリオ皇太子殿下だった。
なんとなく心に引っ掛かるものをエリスは感じていた。
息子のルゲル大将軍とスィールズ前クルード公爵が復活すれば、いまのフェブスタークはかなうだろうか?
それが出来ないときの用心にあの、大量の紅蓮の王を欲しがった?
何かが違う気がする。
「あの魔王、何か隠してるな。
虚竜のじいさんも含めて、だ。
だいたい、おかしくないか?
海底深くへ沈んだ天空大陸を浮かべるための基礎が、なんであんな場所にあるんだ?
地上のさ」
「画策したんでしょうよ、魔王まで転生組なんて。
あの火山の噴火までは読めなかったみたいだけど‥‥‥」
ああ、娘がいると言っていたな。
あっちはあいつらに任せているけど。
果たして大丈夫なのか?
アシュリーはそちらに一抹の不安を抱えていた。
あの仲間たちはいかんせん強すぎて何もかもが規格外で。
やり過ぎるからだ‥‥‥
この会話の数日後だ。
帝国の主たる皇帝に、せっかく占拠したクルード公爵領内にあるロッセル鉱山が――
不意の敵により再度、取り戻された。
その報が伝えられたのは。
何より一大事なのは‥‥‥
「あの女すら奪われたと!?
一体、誰が――あの地には竜族の精鋭すらいたと言うのに!!」
驚くのも無理はない。
帝国の精鋭部隊たる近衛騎士に、魔導騎士団。
そして、竜族の竜王の配下さえもそこにいたというのに‥‥‥
「はっ、大変申し訳ございません、陛下‥‥‥。
あの場に現れたのはたった二名。
しかも、年若い魔女と‥‥‥金髪の剣士だけでございました」
「たった二名とな!?
魔女とはなぜわかる!!??」
「あれは、あの技は‥‥‥はるかな太古に失われた重力を操る魔族の力。
バゼスの魔族に相違ございません‥‥‥最後のバゼスの魔女はたった一人。
あの伝説の、竜神様や魔神様、そして大地母神様のお子様だった三神を滅ぼしたーあの十二英雄。
そのお一人かと‥‥‥」
帝都に逃げ帰ってしまった魔導騎士団の長はそう報告する。
彼はさすがに、その道に歴史に詳しかった。
「ならば、金髪の男とは‥‥‥勇者オーウェンか。
先程の帝都におる我が弟に仕向けた者たちも討たれたと聞く。
赤毛の男と紫の髪をした女に、な‥‥‥」
「陛下‥‥‥これは由々しき事態。
十二英雄はそのあと、長であったラードリーの異世界への帰参により解散したと聞きますが。
その友であった六影の王も‥‥‥その生き残りが」
「加担している、そういうことか。
魔族と竜族、そして人間の問題に。
過去の亡霊どもがー!!!」
皇帝は忌々しいとその手にした杖で床を打ち付けた。
その隣に同席していた、人の形を取る竜王もまた怒りを隠し切れないでいた。
「はるかな太古の神々の御希望を、たかだか千年、二千年の力ある者どもが邪魔をするとは‥‥‥!!
無能のスィールズは二年前に姿を消すわまったく。
我らは部下に恵まれておらんようですな、皇帝陛下?」
その問いに皇帝はニヤリといやらし気な笑みを浮かべた。
「良く言われますな、竜王殿。
あの場に、紅蓮の王を放てとこの帝国に命じたのはあなた様ではありませんか」
「さて、どうだったかな?
忠実に見せかけて、謀反を企む輩など‥‥‥我が配下には必要ないでな、皇帝殿」
不敵に微笑む二人の王。
その様を見て、何よりも不安と焦燥に駆られているのは誰でもない。
ザイール大公に賭けのカタに全てを譲り渡し、今回の揉め事を表面化させた張本人。
エミリオ皇太子殿下だった。
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