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秘密の聖女様、ブチ切れて皇太子殿下をぶん殴る件 4
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魔王エリスが魔都を去ったあと。
大広間の人払いをしてフェイブスタークは、再生の完了をまだ迎えている途中の二人に向き合っていた。
左に前クルード公爵スィールズ。右に彼の息子のルゲル大将軍。
あの時、あの爆発が無ければすべてはうまくいったものを‥‥‥
この二人を巻き添えにしたことは、彼の最大の後悔だった。
「さて、スィールズにルゲル。
もう、意識は戻っておろう。
すまぬな、あの場で妻にまで恨まれるようなことをさせ、誤解を与えたまま戻してしまった。
しかし、合点がいかぬ‥‥‥。
ハーミア殿の胎内にあったものの信管というか。
起爆装置が取り除かれていたのは理解ができる。
だがあの侍女‥‥‥あれの、胎内にあったのは小型とはいえ完成していたもののはず。
一体、誰が取り除いたのだ?
それにこの‥‥‥」
魔王が床から浮かび上がらせたのは先日、あの鉱山から奪還されてきた娘の入ったクリスタルと宝珠だった。
「これは人間の技ではない。
かといって、竜の技でもない。
魔ですらも‥‥‥魔神殿が恩情を下さったのか、それともまだ我の知らぬ誰かが?」
そう問いかけても、二人は意識の返事を返さない。
返せるだろうが、それをしようとしない点も、魔王には不可思議だった。
嫌われているのか。
それにしては、あの時。
竜神、竜王に合わせるようにスィールズもまた、起爆しない爆弾に合わせるようにして命令を思念で送っていた。
さて、なにが真実なのか。
「このエミスティアを封じる技は我には解けないものだ。
ルシールの骸無の剣でも残っていればな‥‥‥。
星斬りの剣に、灼熱の魔剣。そして、時空と虚無の聖剣。
そのどれもがいまこの世のどこにあるかが分からん。
手のうちようがない。
困ったものだ」
宝珠はそのまま動力炉に使うとして、さて、ルゲルは目が覚めた時にどうするのか。
親である魔王にすら、その心は理解できなかった。
さて、次代の魔王、か。
エリスにでも継いでもらえたらいいのだが、それは地下の魔王連中が許すまい。
たった一人の有望株。
ルゲルの能力は、いまの彼の足元にも及ばない。
これではスィールズと同程度の能力を持つ他の竜族からの侵攻を防ぐことはできないだろう。
「さて‥‥‥。
あの子だけかもしれんな」
呟く魔王の脳裏に浮かぶのは末子。
帝国の皇族を妻に迎えた魔族には珍しい大地母神の信徒、シェイブだった。
「大地母神の信徒?」
あの後。
シェイブに噛まれ、失神から目覚めたエリーゼを真摯に介抱していたのは他ならぬシェイブだった。
侍女も執事もいない、狭い王宮の離れの更に最奥。
そこに、魔王の末子であり大した魔力ももたない。
人間と変わりのない平凡なといえば形容がおかしいが、人間並みの彼は一人でひっそりと住んでいた。
「ええ、そうですよエリーゼ様。
もう、エリーゼ、と呼んでもいいかな?
わたしには過ぎたる妻だが‥‥‥」
「ねえ、シェイブ‥‥‥様。
売られたこの身はもう物でございますから。
犬畜生と同じように扱われても宜しいですよ。
ただー‥‥‥なぜ、その御姿で?」
大地母神の大神官の少女は、同じ信徒だという夫を仰ぎ見た。
ベッドに寝かされているとはいえ‥‥‥彼の姿はあまりにも違う。
あの少年の姿は消え、いまそこにいるのは――帝国の貴族子弟でも滅多に見ないほどの美丈夫。
あまりにも違いすぎる外見に、少女は毒気を抜かれていた。
大広間の人払いをしてフェイブスタークは、再生の完了をまだ迎えている途中の二人に向き合っていた。
左に前クルード公爵スィールズ。右に彼の息子のルゲル大将軍。
あの時、あの爆発が無ければすべてはうまくいったものを‥‥‥
この二人を巻き添えにしたことは、彼の最大の後悔だった。
「さて、スィールズにルゲル。
もう、意識は戻っておろう。
すまぬな、あの場で妻にまで恨まれるようなことをさせ、誤解を与えたまま戻してしまった。
しかし、合点がいかぬ‥‥‥。
ハーミア殿の胎内にあったものの信管というか。
起爆装置が取り除かれていたのは理解ができる。
だがあの侍女‥‥‥あれの、胎内にあったのは小型とはいえ完成していたもののはず。
一体、誰が取り除いたのだ?
それにこの‥‥‥」
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「これは人間の技ではない。
かといって、竜の技でもない。
魔ですらも‥‥‥魔神殿が恩情を下さったのか、それともまだ我の知らぬ誰かが?」
そう問いかけても、二人は意識の返事を返さない。
返せるだろうが、それをしようとしない点も、魔王には不可思議だった。
嫌われているのか。
それにしては、あの時。
竜神、竜王に合わせるようにスィールズもまた、起爆しない爆弾に合わせるようにして命令を思念で送っていた。
さて、なにが真実なのか。
「このエミスティアを封じる技は我には解けないものだ。
ルシールの骸無の剣でも残っていればな‥‥‥。
星斬りの剣に、灼熱の魔剣。そして、時空と虚無の聖剣。
そのどれもがいまこの世のどこにあるかが分からん。
手のうちようがない。
困ったものだ」
宝珠はそのまま動力炉に使うとして、さて、ルゲルは目が覚めた時にどうするのか。
親である魔王にすら、その心は理解できなかった。
さて、次代の魔王、か。
エリスにでも継いでもらえたらいいのだが、それは地下の魔王連中が許すまい。
たった一人の有望株。
ルゲルの能力は、いまの彼の足元にも及ばない。
これではスィールズと同程度の能力を持つ他の竜族からの侵攻を防ぐことはできないだろう。
「さて‥‥‥。
あの子だけかもしれんな」
呟く魔王の脳裏に浮かぶのは末子。
帝国の皇族を妻に迎えた魔族には珍しい大地母神の信徒、シェイブだった。
「大地母神の信徒?」
あの後。
シェイブに噛まれ、失神から目覚めたエリーゼを真摯に介抱していたのは他ならぬシェイブだった。
侍女も執事もいない、狭い王宮の離れの更に最奥。
そこに、魔王の末子であり大した魔力ももたない。
人間と変わりのない平凡なといえば形容がおかしいが、人間並みの彼は一人でひっそりと住んでいた。
「ええ、そうですよエリーゼ様。
もう、エリーゼ、と呼んでもいいかな?
わたしには過ぎたる妻だが‥‥‥」
「ねえ、シェイブ‥‥‥様。
売られたこの身はもう物でございますから。
犬畜生と同じように扱われても宜しいですよ。
ただー‥‥‥なぜ、その御姿で?」
大地母神の大神官の少女は、同じ信徒だという夫を仰ぎ見た。
ベッドに寝かされているとはいえ‥‥‥彼の姿はあまりにも違う。
あの少年の姿は消え、いまそこにいるのは――帝国の貴族子弟でも滅多に見ないほどの美丈夫。
あまりにも違いすぎる外見に、少女は毒気を抜かれていた。
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