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秘密の聖女様、人類国家群の盟主の座を分捕る件 5
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「おじ様‥‥‥」
彼のことをまるで父親のように慕い、愛を捧げてくれる存在がいた。
まだ年若い十代の魔族と人類の混血の少女。
暗殺者としてその毒を以って多くの暗殺をこなし、彼に破れ、他の仲間たちと同じくその人柄に惚れ込んでしまい気づけばいつもその隣を歩いていた。
彼は常に先を行く。
だがそれは威張っているからでも、愚かなプライドからでもない。
大公として、集団の長として。
慕い側にいてくれる彼女たちを守るために独り、孤独に先を行く。
アイニはそんな彼を抱きしめて、受け止めてあげたくて仕方がなかった。
彼‥‥‥ザイールはヤクザ大公と名は通っていたが女遊びには興味がない。
愛人も側室もいない。
それは彼が誰か忘れられない女性がいる、そんな理由ではなく‥‥‥
「アイニ、これはわしの戦争よ。
手出し無用‥‥‥」
「でも、でも!!
ボクだってー‥‥‥」
言えずにいたその一言を、ほら言っていいんだよ。
そう、彼と共に毎夜、両腕を抱き枕にして占領していた女性陣がそっと押し出した。
「アイニ?」
「ボクだって、家族になりたいよ!!!」
「お前‥‥‥ワシはもう五十に近い老人だぞ?
今更、嫁などー‥‥‥」
そうやっていつまで、帝国の皇室の為を守るんですか、旦那様?
周りの女性陣が、尻ごんでいる、いや、家族を作れば兄一家と更に不和を招くだろうと遠慮してきた大公に非難? それとも、幸せへと後押しか。
そんな声が飛んでいた。
「でも、まだ‥‥‥若いでしょ?
心もなにもかも。
アイニは嫌い?
ボクは嫌いじゃないよ?」
「アイニ‥‥‥年齢の差というものもだな。
生きて帰れるかわからんのだし」
「生きて来て!!
帰って来て!!!
できなきゃ、みんなが悲しむよ!?」
皇帝が新しくたったなら彼がいけばいいのに!!
アイニは口には出さないが、怒りの視線を彼に向けていた。
王ならば、その身に相応しく、おじ様のように戦うべきだ、と。
だが、ザイールはそれ違うぞアイニ。
そう、優しく少女を振り向かせる。
「これはな、アイニ。
それにお前たち。
皇帝家の問題。
王と王が戦い合えば、新たな国を二分する戦いは起きる。
もう、そんな未来は要らんのだ。
この場を出て、帝都の中を歩いてごらん。
この戦のことなど知らぬ、帝民たちが普通に笑い、愛しあい、生きている。
そんな様がありありと見て取れるはずだ」
彼等を悲しませてはならん。
帝国、千年に節目の戦い‥‥‥
「まさか、始祖帝、慧眼のラーズ帝が六王の御一人だったとはな。
仲間を守るための建国か、世界をいさめるための建国かそれはわからんが――」
ザイールは神殿を見上げる。
いまは主亡き、廃墟となったその場にそれでも彼は神聖な何かを感じていた。
影の六王は異界の覇者からこの世界を救ったと聞く‥‥‥自分たちなどたかだか兄弟喧嘩ではないか。
せめて、甥夫婦?
彼等には笑顔の世代を残して行こう。
「おじ様‥‥‥」
「行ってくるでな」
一振りの剣をその手に彼もまた歩き出す。
こちらに泰然としてそそり立つように待つ、兄の元へ。
数歩だけ歩いて、ふとザイールは歩みを止めた。
涙を流してすがりたいアイニに振り向かず、彼は言葉をかけてみる。
こんな身勝手な願い事など、してはいけない。
そう理解しながら。
「待って‥‥‥いてくれるか?」
「うんっ!
でも、負けてもいいから。
死なないように!!!」
負けてもいいから、か。
死なないようにする方法ならば、もう心得ている。
さて、それでは行くかの‥‥‥
「ザイール、参る!!」
大公はあの戦地で敵兵を震え上がらせた、勇壮な兄弟の片方に戻り、元皇帝と剣を交えていく。
待つ者がいる暖かさ。
それをかみしめながら、偉大なる兄に果敢に立ち向かっていった。
「あなたは行かずに良いのか、女帝殿。
いや、妻よ?」
年下なのに自分では追い付けないほどに偉大なる少女に、エミリオ皇帝陛下は声をかける。
妻?
ああ、そういえばそうだった。
ハーミアは大公とその家臣団のやり取りをいいなあ、そう思ってみていたからだ。
「あなたに妻と呼ばれるには、まだ心の整理がついておりませんわ、陛下。
忠臣が仇敵と剣を交える最中に、その主が席を立てとおっしゃいますの?」
「それはー‥‥‥だが、あなたにも家臣と夫が。
おありでしょう?
竜王様と父上との会話を聞き及んでいたにすぎませんが、魔王陛下との密約があったとか。
そちらの立場は、妻のあなたが見て頂かねば困りますな。
夫のわたしは――」
エミリオ皇帝陛下は、少しばかり離れた先で剣を交え、更には体技まで煌めかせて語り合う不器用な父親たち兄弟の盛大な喧嘩を見据えてそう言った。
「あの元気な老人方を諫めねばなりません。
この場は、帝国はわたしが見なければ、な。
さあ。
時間は急いているはず。
行かれなさい」
「その言葉にその態度。
このハーミア、もうすでに尻に敷かれて監視されている気分ですわ、旦那様。
おさめきる自信、おありですの?」
意地悪を言われたかのような顔に一瞬だけエミリオはなってしまう。
だが、それも受け止めての皇帝。
形だけの妻であっても、その前から逃げるのはもうごめんだった。
「この命あれば、どうにかなるでしょう。
ほら、どちらもあの年齢にしては健康ですが、そろそろ限界のはず。
諫めて丸め込んで来ますよ。
いつか、あなたの笑顔を見たいのでね?
愚かなエミリオが少しはまともになったわね。
そう誉めて下さい、その時は、ね?」
さて、父上に叔父上に。
それぞれから習い、何も学べなかった剣技が役に立つかなあ?
そう不安そうに言い、家臣の誰もいない皇帝はザイールの家臣の一人から剣を借り受けた。
「陛下?
その聖剣は?
なぜ使わないの???」
不思議そうにハーミアは彼の腰にある、偉大なる始祖が奉ったデュランダルを指差す。
エミリオは、ああこれですか?
そう言い、剣をハーミアに渡した。
「陛下???」
「わたしには過分です。
いつか皇帝という名に相応しい男になれば、また迎えに来てください。
さすがにもう一人の愛する夫を迎えに行こうとする女性を、こちらから出向くことはできませんよ。
いつかまた。
お待ちしております、女王陛下ハーミア」
さて、行きますか。
これでも放蕩を尽くした身。
少しばかりの実家への恩返しをせねば‥‥‥
「行っちゃった。
あなた様が行ったら、大公閣下の漢気はどうなるのよ‥‥‥」
ふと、ハーミアはあの少女。
大公に待っていると叫んでいたアイニを見た。
彼女もその視線に気づき、声援を大公に送る家臣団の中からこそっと挨拶をする。
「ま、帰ってくる方が良いわよねえ。
元皇帝陛下にだって――」
あちら側で数名の家臣と共に待つ、皇后陛下の御姿がそこにはある。
わたしは部外者、かな?
スィールズ様、本当に無事ならいいけど。
目覚めた後に、あの古代神信奉者だったらどうしよう?
ハーミアの不安は間違ってはいなかった。
あの竜王と元皇帝の会話は彼女には聞こえていたからだ。
全部、自作自演だったら‥‥‥ルゲル大将軍すらもその仲間だったなら。
「エミスティア様とシェナ様?
御無事ならいいけど。
グランとレベッカたち、ちゃんと異国に逃げれたかなあ?」
そう言うと、ハーミアは腕輪を操作して時空を飛ぶ。
向かう先は、魔都グレインスケーフ。
そして、その少し前――
「ふっ‥‥‥まさかの、ね。
しくじったんだよー‥‥‥」
そう呟き、稀代の大魔法使いシェナは救い出したばかりで意識のない、魔王の第一王女エミスティアの上に重なるようにして倒れこんでいた。
夫の遺品である神剣アージェスに胸を刺し貫かれて‥‥‥
彼のことをまるで父親のように慕い、愛を捧げてくれる存在がいた。
まだ年若い十代の魔族と人類の混血の少女。
暗殺者としてその毒を以って多くの暗殺をこなし、彼に破れ、他の仲間たちと同じくその人柄に惚れ込んでしまい気づけばいつもその隣を歩いていた。
彼は常に先を行く。
だがそれは威張っているからでも、愚かなプライドからでもない。
大公として、集団の長として。
慕い側にいてくれる彼女たちを守るために独り、孤独に先を行く。
アイニはそんな彼を抱きしめて、受け止めてあげたくて仕方がなかった。
彼‥‥‥ザイールはヤクザ大公と名は通っていたが女遊びには興味がない。
愛人も側室もいない。
それは彼が誰か忘れられない女性がいる、そんな理由ではなく‥‥‥
「アイニ、これはわしの戦争よ。
手出し無用‥‥‥」
「でも、でも!!
ボクだってー‥‥‥」
言えずにいたその一言を、ほら言っていいんだよ。
そう、彼と共に毎夜、両腕を抱き枕にして占領していた女性陣がそっと押し出した。
「アイニ?」
「ボクだって、家族になりたいよ!!!」
「お前‥‥‥ワシはもう五十に近い老人だぞ?
今更、嫁などー‥‥‥」
そうやっていつまで、帝国の皇室の為を守るんですか、旦那様?
周りの女性陣が、尻ごんでいる、いや、家族を作れば兄一家と更に不和を招くだろうと遠慮してきた大公に非難? それとも、幸せへと後押しか。
そんな声が飛んでいた。
「でも、まだ‥‥‥若いでしょ?
心もなにもかも。
アイニは嫌い?
ボクは嫌いじゃないよ?」
「アイニ‥‥‥年齢の差というものもだな。
生きて帰れるかわからんのだし」
「生きて来て!!
帰って来て!!!
できなきゃ、みんなが悲しむよ!?」
皇帝が新しくたったなら彼がいけばいいのに!!
アイニは口には出さないが、怒りの視線を彼に向けていた。
王ならば、その身に相応しく、おじ様のように戦うべきだ、と。
だが、ザイールはそれ違うぞアイニ。
そう、優しく少女を振り向かせる。
「これはな、アイニ。
それにお前たち。
皇帝家の問題。
王と王が戦い合えば、新たな国を二分する戦いは起きる。
もう、そんな未来は要らんのだ。
この場を出て、帝都の中を歩いてごらん。
この戦のことなど知らぬ、帝民たちが普通に笑い、愛しあい、生きている。
そんな様がありありと見て取れるはずだ」
彼等を悲しませてはならん。
帝国、千年に節目の戦い‥‥‥
「まさか、始祖帝、慧眼のラーズ帝が六王の御一人だったとはな。
仲間を守るための建国か、世界をいさめるための建国かそれはわからんが――」
ザイールは神殿を見上げる。
いまは主亡き、廃墟となったその場にそれでも彼は神聖な何かを感じていた。
影の六王は異界の覇者からこの世界を救ったと聞く‥‥‥自分たちなどたかだか兄弟喧嘩ではないか。
せめて、甥夫婦?
彼等には笑顔の世代を残して行こう。
「おじ様‥‥‥」
「行ってくるでな」
一振りの剣をその手に彼もまた歩き出す。
こちらに泰然としてそそり立つように待つ、兄の元へ。
数歩だけ歩いて、ふとザイールは歩みを止めた。
涙を流してすがりたいアイニに振り向かず、彼は言葉をかけてみる。
こんな身勝手な願い事など、してはいけない。
そう理解しながら。
「待って‥‥‥いてくれるか?」
「うんっ!
でも、負けてもいいから。
死なないように!!!」
負けてもいいから、か。
死なないようにする方法ならば、もう心得ている。
さて、それでは行くかの‥‥‥
「ザイール、参る!!」
大公はあの戦地で敵兵を震え上がらせた、勇壮な兄弟の片方に戻り、元皇帝と剣を交えていく。
待つ者がいる暖かさ。
それをかみしめながら、偉大なる兄に果敢に立ち向かっていった。
「あなたは行かずに良いのか、女帝殿。
いや、妻よ?」
年下なのに自分では追い付けないほどに偉大なる少女に、エミリオ皇帝陛下は声をかける。
妻?
ああ、そういえばそうだった。
ハーミアは大公とその家臣団のやり取りをいいなあ、そう思ってみていたからだ。
「あなたに妻と呼ばれるには、まだ心の整理がついておりませんわ、陛下。
忠臣が仇敵と剣を交える最中に、その主が席を立てとおっしゃいますの?」
「それはー‥‥‥だが、あなたにも家臣と夫が。
おありでしょう?
竜王様と父上との会話を聞き及んでいたにすぎませんが、魔王陛下との密約があったとか。
そちらの立場は、妻のあなたが見て頂かねば困りますな。
夫のわたしは――」
エミリオ皇帝陛下は、少しばかり離れた先で剣を交え、更には体技まで煌めかせて語り合う不器用な父親たち兄弟の盛大な喧嘩を見据えてそう言った。
「あの元気な老人方を諫めねばなりません。
この場は、帝国はわたしが見なければ、な。
さあ。
時間は急いているはず。
行かれなさい」
「その言葉にその態度。
このハーミア、もうすでに尻に敷かれて監視されている気分ですわ、旦那様。
おさめきる自信、おありですの?」
意地悪を言われたかのような顔に一瞬だけエミリオはなってしまう。
だが、それも受け止めての皇帝。
形だけの妻であっても、その前から逃げるのはもうごめんだった。
「この命あれば、どうにかなるでしょう。
ほら、どちらもあの年齢にしては健康ですが、そろそろ限界のはず。
諫めて丸め込んで来ますよ。
いつか、あなたの笑顔を見たいのでね?
愚かなエミリオが少しはまともになったわね。
そう誉めて下さい、その時は、ね?」
さて、父上に叔父上に。
それぞれから習い、何も学べなかった剣技が役に立つかなあ?
そう不安そうに言い、家臣の誰もいない皇帝はザイールの家臣の一人から剣を借り受けた。
「陛下?
その聖剣は?
なぜ使わないの???」
不思議そうにハーミアは彼の腰にある、偉大なる始祖が奉ったデュランダルを指差す。
エミリオは、ああこれですか?
そう言い、剣をハーミアに渡した。
「陛下???」
「わたしには過分です。
いつか皇帝という名に相応しい男になれば、また迎えに来てください。
さすがにもう一人の愛する夫を迎えに行こうとする女性を、こちらから出向くことはできませんよ。
いつかまた。
お待ちしております、女王陛下ハーミア」
さて、行きますか。
これでも放蕩を尽くした身。
少しばかりの実家への恩返しをせねば‥‥‥
「行っちゃった。
あなた様が行ったら、大公閣下の漢気はどうなるのよ‥‥‥」
ふと、ハーミアはあの少女。
大公に待っていると叫んでいたアイニを見た。
彼女もその視線に気づき、声援を大公に送る家臣団の中からこそっと挨拶をする。
「ま、帰ってくる方が良いわよねえ。
元皇帝陛下にだって――」
あちら側で数名の家臣と共に待つ、皇后陛下の御姿がそこにはある。
わたしは部外者、かな?
スィールズ様、本当に無事ならいいけど。
目覚めた後に、あの古代神信奉者だったらどうしよう?
ハーミアの不安は間違ってはいなかった。
あの竜王と元皇帝の会話は彼女には聞こえていたからだ。
全部、自作自演だったら‥‥‥ルゲル大将軍すらもその仲間だったなら。
「エミスティア様とシェナ様?
御無事ならいいけど。
グランとレベッカたち、ちゃんと異国に逃げれたかなあ?」
そう言うと、ハーミアは腕輪を操作して時空を飛ぶ。
向かう先は、魔都グレインスケーフ。
そして、その少し前――
「ふっ‥‥‥まさかの、ね。
しくじったんだよー‥‥‥」
そう呟き、稀代の大魔法使いシェナは救い出したばかりで意識のない、魔王の第一王女エミスティアの上に重なるようにして倒れこんでいた。
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