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第一章 婚約破棄と新たなる幸せ
第十九話 白き鷹の御心
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「殿下ーー!!!???
そんな、そんなー‥‥‥!!!」
「ユニス、ほら、見ろあの光景を!」
と、殿下はおっしゃいます。
下流域には大公家の城壁に囲まれた、市街地があるはず。
そこは、今夜の晩餐会に合わせて盛大な祭りが催され、夜通し煌々と灯りが途切れることなくーー
夜空を照らしているはずです。
「殿下、だめですー‥‥‥ユニスめは、わたしはー‥‥‥」
本当に来て下さるなんて‥‥‥こんな、わたしのためにーー
「なんだ、泣いているのか?
ああ、これはほんとうに‥‥‥怖がらせてしまったな。
すまないユニス、ほんとうにすまないーー」
と殿下はわたしのあふれ出る涙をその御手で、拭って下さいます。
ですが、わたしは涙がーー
どうしても止まりません。
この日まで、多くの帝国の貴族のかたがたから、疎まれさげすまれ‥‥‥
この年まで伯爵令嬢として、お父様になにも恩返しができず、大公閣下、いいえ‥‥‥
義父上様にも、帝国にも、これほどまでに恥をかかせてしまった、このわたしにーー
「殿下、なぜですか!?」
わたしは泣きながら叫んでしまいました。
こころの中で殿下に謝罪をしながらーー
「なにがだ、ユニス?
怖いから泣いていたのではないのか?
すまんな‥‥‥私、いや僕はどうもご婦人の、機微に疎いのだ。
このような目に遭わせてしまって、申し訳ないとは思っている。
これは本当だ」
と、おっしゃる殿下は本当に理由がわからず、迷われて困っていらっしゃいました。
「違います、殿下ーー」
「だから、なにが違うのだ?」
「ですからー‥‥‥」
「ああ、なあ、ユニス。
言いたいことは、言うあう仲にならないか?
このような舞台を張り、そなたを余興と呼び、恐ろしい目に遭わせた怒りがあると言うならーー」
と、殿下は一瞬、言葉を選ぶように考えられ、
「あの、大河に今すぐにでも飛び込んでこよう。
もちろん、君はここにいるようにして、だがな。
それでも足らぬというならばー‥‥‥そうだな」
わたしは自分の思いを、いつお伝えすれば良いのか。
殿下のお言葉をさえぎることは許されず‥‥‥
「うん、そうだな。
これは、あまりにも、やり過ぎたことだ。
全て終われば、そなたにならばーー」
わたしにならば‥‥‥???
「ムチで打たれても構わん。
頬をはたきたいというならば、それでも良い。
あのーー」
とはるか先に見えるミスリルの堆積した三角州。
それを殿下は指差されーー
「ブルングド島の全域を捧げよというならばー‥‥‥
自信はないが、この命を賭けてその願いをかなえるようにしよう」
と。
あの自信家で愚かなシルド様とは違い、御自身の弱さも、断言することのおろかさと強さの意味も。
その両方をお知りになるこの御方は‥‥‥
本当に、優しく、雄々しく、それでいて、弱さも見せることを恐れない。
まさしく、帝国の白き鷹のごとく。
その銀髪を、闇夜をふき抜ける風にたなびかせながらーー
わたしが人生で、両親と義父上以外から頂いた、最高の優しさを以って。
そう言って下さいました。
そんな、そんなー‥‥‥!!!」
「ユニス、ほら、見ろあの光景を!」
と、殿下はおっしゃいます。
下流域には大公家の城壁に囲まれた、市街地があるはず。
そこは、今夜の晩餐会に合わせて盛大な祭りが催され、夜通し煌々と灯りが途切れることなくーー
夜空を照らしているはずです。
「殿下、だめですー‥‥‥ユニスめは、わたしはー‥‥‥」
本当に来て下さるなんて‥‥‥こんな、わたしのためにーー
「なんだ、泣いているのか?
ああ、これはほんとうに‥‥‥怖がらせてしまったな。
すまないユニス、ほんとうにすまないーー」
と殿下はわたしのあふれ出る涙をその御手で、拭って下さいます。
ですが、わたしは涙がーー
どうしても止まりません。
この日まで、多くの帝国の貴族のかたがたから、疎まれさげすまれ‥‥‥
この年まで伯爵令嬢として、お父様になにも恩返しができず、大公閣下、いいえ‥‥‥
義父上様にも、帝国にも、これほどまでに恥をかかせてしまった、このわたしにーー
「殿下、なぜですか!?」
わたしは泣きながら叫んでしまいました。
こころの中で殿下に謝罪をしながらーー
「なにがだ、ユニス?
怖いから泣いていたのではないのか?
すまんな‥‥‥私、いや僕はどうもご婦人の、機微に疎いのだ。
このような目に遭わせてしまって、申し訳ないとは思っている。
これは本当だ」
と、おっしゃる殿下は本当に理由がわからず、迷われて困っていらっしゃいました。
「違います、殿下ーー」
「だから、なにが違うのだ?」
「ですからー‥‥‥」
「ああ、なあ、ユニス。
言いたいことは、言うあう仲にならないか?
このような舞台を張り、そなたを余興と呼び、恐ろしい目に遭わせた怒りがあると言うならーー」
と、殿下は一瞬、言葉を選ぶように考えられ、
「あの、大河に今すぐにでも飛び込んでこよう。
もちろん、君はここにいるようにして、だがな。
それでも足らぬというならばー‥‥‥そうだな」
わたしは自分の思いを、いつお伝えすれば良いのか。
殿下のお言葉をさえぎることは許されず‥‥‥
「うん、そうだな。
これは、あまりにも、やり過ぎたことだ。
全て終われば、そなたにならばーー」
わたしにならば‥‥‥???
「ムチで打たれても構わん。
頬をはたきたいというならば、それでも良い。
あのーー」
とはるか先に見えるミスリルの堆積した三角州。
それを殿下は指差されーー
「ブルングド島の全域を捧げよというならばー‥‥‥
自信はないが、この命を賭けてその願いをかなえるようにしよう」
と。
あの自信家で愚かなシルド様とは違い、御自身の弱さも、断言することのおろかさと強さの意味も。
その両方をお知りになるこの御方は‥‥‥
本当に、優しく、雄々しく、それでいて、弱さも見せることを恐れない。
まさしく、帝国の白き鷹のごとく。
その銀髪を、闇夜をふき抜ける風にたなびかせながらーー
わたしが人生で、両親と義父上以外から頂いた、最高の優しさを以って。
そう言って下さいました。
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