突然ですが、侯爵令息から婚約破棄された私は、皇太子殿下の求婚を受けることにしました!

星ふくろう

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第一章 婚約破棄と新たなる幸せ

第二十八話 白き鷹の受難

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「ですから、上着で隠れておりますし‥‥‥。

 イズバイアも、わたし一人では、ないのでしょう?」

 と、ついついわたしは聞いてしまいました。

 いま、愛を語る方がいるのはないのですか、殿下、といった意味を含めて。
 
「おい、ちょっと、待ってくれ。

 僕をそんな軽薄な男だと思ってもらっては困るぞ、ニアム」

 悪いこととは知っていましたが。

 この時の殿下の慌てようはとても可愛らしいものでした。

「ですが、側室を、というお話もなされておりましたし‥‥‥。

 わたしを正室に、ということは皇帝陛下の御裁可を頂いたとはいえ」

 と、そこで少しだけ殿下を見上げながらわたしは申し上げました。

「両家で正式に決まったものでも。

 ですから、わたしはどちらの立場でも良いのですけれども」

「いや、そんなことはしない。

 それにどちらでも良いと言われても僕が困る!」

「困るとはどうお困りなのですか、イズバイア?」

「一度言い出したことを投げ捨てるような、あのバカ息子ではないよ、ニアム‥‥‥」

 そう、殿下は何やら悲しげなお顔をなさいます。

「それは信じております。

 ですが、イズバイアは次期皇帝候補。

 いずれは側室も必要と‥‥‥おっしゃいましたし」

 と、わたしは少しだけ不機嫌そうな顔をしてみました。

「はあ……なあ、ニアム。

 僕が悪かった。

 側室の相談はするなどど、口にしたことは謝る」

 と、殿下はようやくこちらを向かれーー

 そして、あきれたほどに意外なものを見た顔をなされました。

「参ったなー‥‥‥。

 僕の未来の妻は、笑いながら泣くという特技だけかと思っていたのに」

 そんなに明るい顔をして僕を困らせる、特技もお持ちだったとは」

 これはしてやられた。

 殿下はそんな顔をなさいます。

「ようやく見てくださいましたね、殿下?」

 と、わたしは最後に少しだけ嫌味を混ぜてみました。

「うーん‥‥‥。

 シェイルズの気持ちがいま、ようやくわかった気がしたよ」

 と、殿下は額に手を当てておっしゃいます。

「まあ、ではこれからはルサージュ侯にご迷惑をおかけしてはいけませんね、イズバイア?」

「あーああ‥‥‥。

 そうだね、ニアム。

 側室の話は悪かった。

 機嫌をなおしてくれないか?」

 あら、わたしは最初から不機嫌ではありませんよ、と笑顔で返事をすると、

「君は思ったよりも、僕に似ているかもしれないね、ニアム」

 と殿下は呆れた顔をされて、空を見上げます。

「さあ、そろそろ頃合いだ。

 シェイルズにー‥‥‥」

 と、そこで言葉につまる殿下。

「どうしました、イズバイア?」

 と、わたしは問いかけます。

「叱られに、行こうか。

 ついでに、謝罪も‥‥‥な」

「はい、殿下」

 と、わたしが返事をすると、殿下はわたしを抱きかかえてくださいました。

 この時、もし誰かが空からわたしたちをみていたとしたら。

 闇夜を舞う白き鷹のように大河から舞い上がったように見えたかもしれません。

 わたしたちは、最初に落ちたテラスへ向かい飛び立ったのでした。

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