突然ですが、侯爵令息から婚約破棄された私は、皇太子殿下の求婚を受けることにしました!

星ふくろう

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第一章 婚約破棄と新たなる幸せ

第二十九話 王城への帰還

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 殿下が天空を舞うようにテラスへと降り立った時。

 その場には、義父上のハーベスト大公と、シルド様、そしてルサージュ侯第三子息シェイルズ様。

 御三方がいらっしゃいました。

 大きくため息をつくシェイルズ様を見て静かに笑う殿下。

 わたしを優しく抱きしめて下さる義父上。

 そして、立場を無くしこの場にいたくないという顔をされているシルド様

「無事に戻ったな、ユニス。
 良かった」

 そう義父上に言われると、殿下との悪戯はもうこれで終わりにしようと思うわたしです。

 シェイルズ様はさすがに公人としての仮面は外されません。

「殿下、御無事な帰還。
 何よりうれしく思います。
 御助けに参るのが間に合わず、大変申し訳ございません」

 と深々と頭を下げられますがーー

 その片方の瞳は、さあ、この後に何があるか覚悟をしておくように。

 そんなように感じられました。

 それは殿下も同じだったらしく、御苦労、と短く言い残してわたしを手招きします。

「なんですか、殿下」

 義父上にいきなさい、と押し出される形でわたしは殿下の元へ。

「話があるだろう?
 どうする?」

 と、シルド様を見て言われました。

 わたしは大河からこのテラスの場へと戻るまでに、殿下にどうしたい?

 と尋られていました。

 シルド様とわたしの関係について、何か言いたいことはあるか? 

 そういう意味で、です。

「ニアム、君が自分で決着をつけるべき場でもあるし。
 僕が彼に、君の思いを伝えてもいい。
 怒りもあれば、恥をかかされたこと、実妹殿のこと、御二方の父への思い。
 それをどうするかは、君が決めなければならない。
 どこまでシルド殿に言うべきか、程度もあるが‥‥‥
 僕との婚約を公言することは構わない。
 すでに、皇帝陛下の御裁可は頂いているからな。
 後に遺恨を、というのも変だなーー」

 と殿下は迷われ、言葉を選ばれます。

「うん、君は憎しみよりも幸せを見せつけてやると、そう言った。
 それを言葉にすれば、僕はいいと思う」

 どうだい、ニアム、できるかい?

 そう、殿下は再度、わたしに言われます。

「そう、ですね‥‥‥
 わたしは、大公家公女として。
 まだ正式にシルド様には言葉でお返事をしていません。
 あの、婚約破棄の申し出について、です。
 ただ」

「ただ、なんだい、ニアム?」

「あの球の中で、義父上がすでにシルド様に婚約破棄を受け入れる旨の返事をなさっています。
 それを踏み越えてもいいのでしょうか?」

 と、殿下は面白そうに笑われました。

「ニアム、あれは僕たちだけしか知らない、秘密の覗き穴から見た会話だ。
 つまり、僕たちはあのテラスでの出来事は、落ちたあとのことはなにもわかっていない」

 それでいいのさ、と殿下は笑いながら言われ、わたしたちはテラスに戻ったのでした。

 その会話を思い返しながら、わたしは殿下に言いました。

「はい、ユニスが参ります」

 と。
 
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