突然ですが、侯爵令息から婚約破棄された私は、皇太子殿下の求婚を受けることにしました!

星ふくろう

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第二章 王国の闇と真の悪

第四十一話 銀鎖の男たち

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 エルムンド侯は意に介さず、それを避ける。

 シルドは当たらなかった腹いせか、彼に皮肉げに言ってやる。

「エルムンド侯。
 お前こそ、いつまでその仮面をつけているつもりだ?
 あれだけ情に厚く、ご婦人には疎かったお前が‥‥‥」

「仕方がないだろう。
 王子殿下直々の御命令だ。
 それはお前も変わらないだろう、シルド」

 エルムンド侯も嫌味で返してやる。
 お互い様だ、そうシルドは言葉を続けた。

「ここ数日で、まるで様変わりしたようだな???
 王都を出てこの公爵領に入るまでの間に、僕もお前も別人になったみたいだ」

 そうシルドはぼやきながら、ミレイアの身体を、湯を絞った布で拭いてやる。

 大司教の魔法で意識が戻ったとはいえ、まだ彼女は動ける身体ではなかった。

 エルムンド侯は酒瓶を煽るようにして酒を喉奥に流し込む。

 ふうっ‥‥‥そう大きく息を吐くと、奥にいる相棒を覗き見た。

「綺麗なもんだな、ご婦人というものは‥‥‥」

 12歳の騎士団見習い時代から、戦場一筋の彼にはまだ恋人も妻もいない。

 32歳の現在では、堅物のイメージが先行してしまい見合いの話もない状態が続いていた。

 そんな彼からすれば、爵位の高さもあって風俗嬢を買うわけにもいかない。

 かといって、貴族専門の高級風俗嬢は高価すぎて興味の対象にならない。

 女性経験はあるが、あまり縁はなかったものだからついついミレイアの裸に見入ってしまう。

「おい、こっちを見るな、エルムンド侯!!
 この光景は、僕だけのものだーー」

 まだ裸のミレイアを拭いてやりながらシルドは言う。

「はあ……お前がそれほどに入れあげるとは、な。
 おい、シルドよ。
 大司教の魔法だのなんだのは解いたのか?」

 不意に関係ない質問をエルムンド侯は投げかける。

 かえってきた返事は、質問主の満足のいくものだった。

「ああ、あの程度のもの‥‥‥
 別に、ミレイアの入れ物を作ってそっちに移し変えた。
 あちらからすれば、ずっと魔法が効いているだろうと思うだろうよ。
 あのジジイーー用心深くこちらの声も聞こえるように細工までしていたぞ‥‥‥」

「その細工はどうするんだ?」

「ああ?
 入れ物の耳に入れば、俺たちの会話は丁寧な言葉で何気ない会話になって届くだろうよ。
 大司教の魔法を逆に利用したのさ。
 外見を見たものには、自分は幸福ですと取り繕うように強制する魔法をかけていたからな。
 入れ物が聞く言葉は、すべてあのジジイには幸福に聞こえるように返還される」

 この返事には、エルムンド侯も両手を叩いて褒め称えた。

「さすが、銀鎖の影の魔導騎士団、第三師団の師団長。
 ああ、元師団長か。
 銀影の魔導士シルドの名は、伊達ではなかった訳だな」

 と。





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