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第四章 動乱の世界
第六十八話 女王陛下の微笑
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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ユニスがシェイルズにシルド探索を命じた翌週。
青の狼の第二師団とハーベスト大公軍の主力はアーベル商会の用意した戦艦六十隻に分乗。
数度の往復をエシャーナ侯領と帝国が持つ入江部分から分散してエニシス半島へ上陸。
手薄かつ、防衛要員を割いていなかったアバルン城塞はシェイルズの奇策によりほぼ半日で陥落したーー
「よく考え着きますな、シェイルズ宰相殿。
あの三角洲から採掘したミスリル鉱石をそのままここまで運搬し、それを原動力として二万もの兵をーー」
「いきなり、城塞内部の主要か所に転移させられたのでは、王国側も籠城戦どころではなくなる‥‥‥。
愚息、こんな戦い方をどこで覚えた?」
そうため息をついたのはルサージュ伯だった。
「もし、王国側に真似をされればこちらも大損害を食らうぞ?」
そう心配そうに言うが、シェイルズは別に気にも留めていなかった。
「まったく、問題ありませんな。
これほどの魔法陣を描けるものたちは、いまのところ闇の牙か、銀鎖の第二師団のみ。
それも、制御ができるのは数名。
父上でも、ここまでは出来ますまい?
そろそろ、その座を譲られて隠居されてはいかがかな?」
「まだまだこの席を譲れるものか。
陛下の弱味を多く握れる、いやこれは失言でした、殿下」
ユニスは二人の親子の会話を楽しんでいた。
その場にどうかいて欲しいと言われて同席していたラズ高家のライナはほとほと呆れ顔をしている。
「まったく、うちの親戚のロアが船を突撃させてその乗員を転移魔導で逃がす。
そんな戦法にようやくたどり着いたってのに。
で、これはシェイルズ。あんたの作戦なの?」
死傷者も少ないし、戦い方が綺麗すぎる。
まるで、最低点の損害だけでアバルン攻略することをかなり前から練っていた。
そんな印象を受けたからだ。
シェイルズと闇の牙がユニス陣営に入ったのはつい先週。
そんな短期間で用意したにしては、整いすぎている。
ライナは宝珠の向こうにいる、猛将と名高いエシャール侯と、組織の管理には長けているがルサージュ伯。
その二人を交互に見比べた。
どちらかが考えてもおかしくはないそう思う。
しかし、戦略を立て運用方法まで至るにはどうにも駒が欠けている気がした。
「全て殿下が数週間前より御算段され、用意された結果だ」
シェイルズは隠さずにありのままを話した。
同じ女性として、ラズ高家の海軍を指揮する将の一人としてライナはそれには納得がいかない。
こんな、年下の十七歳の。
それもグレンを帝位継承権に押し戻すためだけに用意されたお飾り者。
おまけに、せったく頂いた恩寵を自分から蹴り婚約返上した上にーー
「信じられないね。
グレンからの恩義すら蹴り飛ばした上に‥‥‥
上手いこと帝位継承権なんてエサに飛びついてあたしたちを利用しようとする。
皇帝陛下もハーベスト宰相閣下すらもその笑顔で騙して今度は、何?
グレンが皇帝になったら、側室でもなる気?
それともグレンを皇帝にする気はなくて、エリオスを皇帝にしてその後ろで操る気?
陛下の側室にでもなれば、それもできるものね。
ハーベスト大公家もエシャーナ侯爵家も安泰になる。
でも、帝国はグレンを交えて割れる‥‥‥あんたまさか。
グレンが行方不明になったのって暗殺したんじゃーー」
慌ててあんたも共犯なの!?
そうシェイルズに問いかけるライナ。
シェイルズは不敵な笑みでそれを返した。
「まあ、あの程度で死ぬならーーそれまでの男だ。
なあ、ニーエ?
お前の数年の恨みは晴らしておいたぞ?」
グレンが死んだかもしれない。
その言葉に二ーエは身体を震わせるが‥‥‥どこか安心した感じも見て取れた。
納得がいかないどうこうよりも、それが真実ならばこの場所は……
ライナはそこにいることがどういう結果に繋がるかをよく理解していた。
「最後まで巻き添えにする気なんだ‥‥‥!?」
「ええ、そう思って頂ければ結構です。
ただし、ニーエ様はもう廃嫡なされて平民。
エリオス様には第五の大公家がすでに皇帝陛下により確約され、家自体の家名も決まっております。
ブルングド大公家、と。ブルングドの名はこのシェイルズが侯爵家として持っていますから。
彼はシェイルズの養子になって頂きます」
「そんな、だってその子はまだーー」
「いいのです、叔母上。
殿下は母上と叔母上の身の安全を約束してくれました。
わたしがそれを願い出たのです」
ユニスの側に座るエリオスがそう声を上げた。
双子は人質を取られた現実を痛感していた。もう戻れない、と。
「じゃあ、その母親はどうするんだよ??
殿下がなられるんですか?」
まさか、そうユニスは笑う。
「臣下の妻になる王などいませんよ、ライナ様。
シェイルズの正妻はあなた様。
側室にニーエ様。
このユニスがいま命じます。
いいですね?」
エリオスを抱き寄せてユニスは不敵に微笑む。
断れば、親子ともども‥‥‥そんな顔だった。
「駒はたくさんあるのですよ、ライナ様、ニーエ様。
いまは沈黙が美徳かと。さあ、エリオス様。
もう自室に戻られるお時間です。お前達、三人を、別々にご案内して」
いつでもどうにでもできますよ。
ユニスは睨みつけるライナにそっとささやいた。
蒼白になりながら下がる双子を見て、シェイルズと船長がニヤリと笑って見送る。
みな、共犯ですよ。そんな笑顔だ。
そして双子が消え、室内がユニスを含めて三名と宝珠向こうの二名になる。
最初にため息を大きくついたのはやはり船長だった。
「姫様、あれはやりすぎでは‥‥‥本当にお命を狙われますよ?
宰相閣下のいきなり側室の話までされて。宰相閣下、先に聞いていたのですか?」
しかし、これにはシェイルズが青い顔をしていた。
ああ、この方もまた姫様の最後に本題を持ってくる餌食になったのだな。
その場にいた他の三人はそう直感的に理解した。
「殿下‥‥‥婚儀と側室の件。
このシェイルズに御相談は‥‥‥???」
「え?
していませんよ、すれば拒絶することはルサージュ伯から聞いていましたから。
良かったですね、これで最愛の女性が正室。
グレン殿下へも大きく貸しが作れましたよ?」
普通の家臣ならばここで抗議の声を上げるものだが、ユニスの臣下は少しだけ頭が良すぎた。
シェイルズは更に大きなため息をつく。
「良かったですな、父上。これでルサージュ伯から元のルサージュ侯に返り咲き。
しかも帝室の一員になりましたぞ。高家との縁戚まで。
王族の端くれだった我が一族にもようやく光が差しましたな」
そう父親に嫌味を言うシェイルズはしかし、微笑んでいた。
「グレンの戻る居場所だけは、作って頂けたことを感謝します、殿下」
もし、グレンがなにも戦果を挙げれずに帰参したとしても。
シェイルズにはブルングド大公家の侯爵位がある。
下賜するという名目で、ニーエを側室からグレンの正室にすれば、最低でもブルングド伯爵の名と土地。
これを親友に与えられる。
エリオスが大公位をもし辞退すれば、シェイルズはそのまま大公になる。
グレンなら、そうさせるだろう。
そこまでは読めていた。
「しかし、殿下は陛下の側室に入られるおつもりですか?」
こう、声を上げたのは実父のエシャーナ侯だった。
もしそうなれば、エリオスの帝位継承は確実に回避できなくなる。
「まさか、父上。いえ、エシャーナ侯。
このユニスは、帝位継承権をグレン殿下に献上する気です。もうおわかりでしょう?」
「ユニス‥‥‥では、お前の幸せは??」
「父上様。
もう、この会話は終わりにしましょう。ところで、シェイルズ。
あの件は?」
黒き鷹とその父親はかなりの苦労をして探し当てたようだ。
銀色の居場所を。
「転々と各地を渡り歩き、いまはエイシャ様が第四王子より賜れたルケーア子爵領におられるようですな。
銀鎖が解体されたいま、軟禁状態とか。
どうされますか?」
「もちろん、行きますよ。
用意を」
やはり行くのか‥‥‥全員がため息をついた。
「姫様、敵地の奥深く。どれほどの軍勢を連れていかれるのですか?」
ユニスはなぜ聞くの?
そんな顔をする。
「もちろん、シェイルズと二人ですよ、船長?」
「いえ、それはあまりにも!!」
「そうですぞ、殿下。
危険がーー」
「ユニス、それは無計画にも程がある」
三者は止めようとし、シェイルズは更に胃が痛くなるのを感じていた。
ユニスは笑顔で答える。
「だって、黒き鷹ですもの。
できるわよね、シェイルズ?」
その無限にも近い信頼はどこから沸いてくるのか。
全員が凄まじいストレスを感じていた。この軍議の席に参加したのは間違いだったかもしれない。
そんな後悔すら、うっすらと漂っていた。
「もう、準備はしているのでしょう?」
この黒がなにもなく報告するわけがない。
ユニスはそれを看破していた。
「ええ、殿下。
闇の牙の総勢で、大陸の端にいても戻れるように。
整えております」
「結構、では見せつけに行きましょう。
あの夜の屈辱を、シルド様とエイシャに晴らす時が来ました」
と、建前はつけたものの。
その内実、そんなつまらない理由でこの女大公が動くわけがない。
ただ、また本題は最後まで知らされないのか。
どこまでも皇帝陛下に似た女傑に、振り回されっぱなしの家臣たちだった。
ユニスがシェイルズにシルド探索を命じた翌週。
青の狼の第二師団とハーベスト大公軍の主力はアーベル商会の用意した戦艦六十隻に分乗。
数度の往復をエシャーナ侯領と帝国が持つ入江部分から分散してエニシス半島へ上陸。
手薄かつ、防衛要員を割いていなかったアバルン城塞はシェイルズの奇策によりほぼ半日で陥落したーー
「よく考え着きますな、シェイルズ宰相殿。
あの三角洲から採掘したミスリル鉱石をそのままここまで運搬し、それを原動力として二万もの兵をーー」
「いきなり、城塞内部の主要か所に転移させられたのでは、王国側も籠城戦どころではなくなる‥‥‥。
愚息、こんな戦い方をどこで覚えた?」
そうため息をついたのはルサージュ伯だった。
「もし、王国側に真似をされればこちらも大損害を食らうぞ?」
そう心配そうに言うが、シェイルズは別に気にも留めていなかった。
「まったく、問題ありませんな。
これほどの魔法陣を描けるものたちは、いまのところ闇の牙か、銀鎖の第二師団のみ。
それも、制御ができるのは数名。
父上でも、ここまでは出来ますまい?
そろそろ、その座を譲られて隠居されてはいかがかな?」
「まだまだこの席を譲れるものか。
陛下の弱味を多く握れる、いやこれは失言でした、殿下」
ユニスは二人の親子の会話を楽しんでいた。
その場にどうかいて欲しいと言われて同席していたラズ高家のライナはほとほと呆れ顔をしている。
「まったく、うちの親戚のロアが船を突撃させてその乗員を転移魔導で逃がす。
そんな戦法にようやくたどり着いたってのに。
で、これはシェイルズ。あんたの作戦なの?」
死傷者も少ないし、戦い方が綺麗すぎる。
まるで、最低点の損害だけでアバルン攻略することをかなり前から練っていた。
そんな印象を受けたからだ。
シェイルズと闇の牙がユニス陣営に入ったのはつい先週。
そんな短期間で用意したにしては、整いすぎている。
ライナは宝珠の向こうにいる、猛将と名高いエシャール侯と、組織の管理には長けているがルサージュ伯。
その二人を交互に見比べた。
どちらかが考えてもおかしくはないそう思う。
しかし、戦略を立て運用方法まで至るにはどうにも駒が欠けている気がした。
「全て殿下が数週間前より御算段され、用意された結果だ」
シェイルズは隠さずにありのままを話した。
同じ女性として、ラズ高家の海軍を指揮する将の一人としてライナはそれには納得がいかない。
こんな、年下の十七歳の。
それもグレンを帝位継承権に押し戻すためだけに用意されたお飾り者。
おまけに、せったく頂いた恩寵を自分から蹴り婚約返上した上にーー
「信じられないね。
グレンからの恩義すら蹴り飛ばした上に‥‥‥
上手いこと帝位継承権なんてエサに飛びついてあたしたちを利用しようとする。
皇帝陛下もハーベスト宰相閣下すらもその笑顔で騙して今度は、何?
グレンが皇帝になったら、側室でもなる気?
それともグレンを皇帝にする気はなくて、エリオスを皇帝にしてその後ろで操る気?
陛下の側室にでもなれば、それもできるものね。
ハーベスト大公家もエシャーナ侯爵家も安泰になる。
でも、帝国はグレンを交えて割れる‥‥‥あんたまさか。
グレンが行方不明になったのって暗殺したんじゃーー」
慌ててあんたも共犯なの!?
そうシェイルズに問いかけるライナ。
シェイルズは不敵な笑みでそれを返した。
「まあ、あの程度で死ぬならーーそれまでの男だ。
なあ、ニーエ?
お前の数年の恨みは晴らしておいたぞ?」
グレンが死んだかもしれない。
その言葉に二ーエは身体を震わせるが‥‥‥どこか安心した感じも見て取れた。
納得がいかないどうこうよりも、それが真実ならばこの場所は……
ライナはそこにいることがどういう結果に繋がるかをよく理解していた。
「最後まで巻き添えにする気なんだ‥‥‥!?」
「ええ、そう思って頂ければ結構です。
ただし、ニーエ様はもう廃嫡なされて平民。
エリオス様には第五の大公家がすでに皇帝陛下により確約され、家自体の家名も決まっております。
ブルングド大公家、と。ブルングドの名はこのシェイルズが侯爵家として持っていますから。
彼はシェイルズの養子になって頂きます」
「そんな、だってその子はまだーー」
「いいのです、叔母上。
殿下は母上と叔母上の身の安全を約束してくれました。
わたしがそれを願い出たのです」
ユニスの側に座るエリオスがそう声を上げた。
双子は人質を取られた現実を痛感していた。もう戻れない、と。
「じゃあ、その母親はどうするんだよ??
殿下がなられるんですか?」
まさか、そうユニスは笑う。
「臣下の妻になる王などいませんよ、ライナ様。
シェイルズの正妻はあなた様。
側室にニーエ様。
このユニスがいま命じます。
いいですね?」
エリオスを抱き寄せてユニスは不敵に微笑む。
断れば、親子ともども‥‥‥そんな顔だった。
「駒はたくさんあるのですよ、ライナ様、ニーエ様。
いまは沈黙が美徳かと。さあ、エリオス様。
もう自室に戻られるお時間です。お前達、三人を、別々にご案内して」
いつでもどうにでもできますよ。
ユニスは睨みつけるライナにそっとささやいた。
蒼白になりながら下がる双子を見て、シェイルズと船長がニヤリと笑って見送る。
みな、共犯ですよ。そんな笑顔だ。
そして双子が消え、室内がユニスを含めて三名と宝珠向こうの二名になる。
最初にため息を大きくついたのはやはり船長だった。
「姫様、あれはやりすぎでは‥‥‥本当にお命を狙われますよ?
宰相閣下のいきなり側室の話までされて。宰相閣下、先に聞いていたのですか?」
しかし、これにはシェイルズが青い顔をしていた。
ああ、この方もまた姫様の最後に本題を持ってくる餌食になったのだな。
その場にいた他の三人はそう直感的に理解した。
「殿下‥‥‥婚儀と側室の件。
このシェイルズに御相談は‥‥‥???」
「え?
していませんよ、すれば拒絶することはルサージュ伯から聞いていましたから。
良かったですね、これで最愛の女性が正室。
グレン殿下へも大きく貸しが作れましたよ?」
普通の家臣ならばここで抗議の声を上げるものだが、ユニスの臣下は少しだけ頭が良すぎた。
シェイルズは更に大きなため息をつく。
「良かったですな、父上。これでルサージュ伯から元のルサージュ侯に返り咲き。
しかも帝室の一員になりましたぞ。高家との縁戚まで。
王族の端くれだった我が一族にもようやく光が差しましたな」
そう父親に嫌味を言うシェイルズはしかし、微笑んでいた。
「グレンの戻る居場所だけは、作って頂けたことを感謝します、殿下」
もし、グレンがなにも戦果を挙げれずに帰参したとしても。
シェイルズにはブルングド大公家の侯爵位がある。
下賜するという名目で、ニーエを側室からグレンの正室にすれば、最低でもブルングド伯爵の名と土地。
これを親友に与えられる。
エリオスが大公位をもし辞退すれば、シェイルズはそのまま大公になる。
グレンなら、そうさせるだろう。
そこまでは読めていた。
「しかし、殿下は陛下の側室に入られるおつもりですか?」
こう、声を上げたのは実父のエシャーナ侯だった。
もしそうなれば、エリオスの帝位継承は確実に回避できなくなる。
「まさか、父上。いえ、エシャーナ侯。
このユニスは、帝位継承権をグレン殿下に献上する気です。もうおわかりでしょう?」
「ユニス‥‥‥では、お前の幸せは??」
「父上様。
もう、この会話は終わりにしましょう。ところで、シェイルズ。
あの件は?」
黒き鷹とその父親はかなりの苦労をして探し当てたようだ。
銀色の居場所を。
「転々と各地を渡り歩き、いまはエイシャ様が第四王子より賜れたルケーア子爵領におられるようですな。
銀鎖が解体されたいま、軟禁状態とか。
どうされますか?」
「もちろん、行きますよ。
用意を」
やはり行くのか‥‥‥全員がため息をついた。
「姫様、敵地の奥深く。どれほどの軍勢を連れていかれるのですか?」
ユニスはなぜ聞くの?
そんな顔をする。
「もちろん、シェイルズと二人ですよ、船長?」
「いえ、それはあまりにも!!」
「そうですぞ、殿下。
危険がーー」
「ユニス、それは無計画にも程がある」
三者は止めようとし、シェイルズは更に胃が痛くなるのを感じていた。
ユニスは笑顔で答える。
「だって、黒き鷹ですもの。
できるわよね、シェイルズ?」
その無限にも近い信頼はどこから沸いてくるのか。
全員が凄まじいストレスを感じていた。この軍議の席に参加したのは間違いだったかもしれない。
そんな後悔すら、うっすらと漂っていた。
「もう、準備はしているのでしょう?」
この黒がなにもなく報告するわけがない。
ユニスはそれを看破していた。
「ええ、殿下。
闇の牙の総勢で、大陸の端にいても戻れるように。
整えております」
「結構、では見せつけに行きましょう。
あの夜の屈辱を、シルド様とエイシャに晴らす時が来ました」
と、建前はつけたものの。
その内実、そんなつまらない理由でこの女大公が動くわけがない。
ただ、また本題は最後まで知らされないのか。
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