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新章 魔導士シルドの成り上がり ~復縁を許された苦労する大公の領地経営~
第二十二話 シルド大公の外遊 1
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「さて、待たせたな諸君。
この下町の臭いにもそろそろ慣れたか?」
三十代、黒髪のこの隊の指揮役、サーバス・アルム卿。
二十代、赤毛で聡明な、ギース・イルバン卿。
同じく、金髪で寡黙な、ルイ・アルアドル卿。
最後に、十代で赤毛に緑の瞳のアルメンヌ、と。
まだ降りてきてはいないが。
ああ、いや‥‥‥降りてきたな。
しかも、タイツも履かずに。
「おい、あれはー‥‥‥?」
「いや‥‥‥閣下!?」
「シルド様、あれはどのような余興でございますか?」
三者三様にアルメンヌのしだれないかっこうを見て反応が違う。
性格が出ていてこれはこれでいい人間を見る機会に出会えたな。
シルドは苦笑して階下に降りてきたアルメンヌを呼び寄せた。
「おいで、俺のアルメンヌ」
お、俺の‥‥‥!!??
三人はそこまであからさまになさるのですか、そう驚いて顔を見合わせた。
脳裏にはエイシャの声がこだましているのだろう。
シルドはその様子を窺い、そんなことを思っていた。
もし、女の色香を残すようなら斬ってすてなさい。
それが最初に与えれていた命令だ。
しかし、アルメンヌ自身を与えたのもエイシャだろう。
そう三人の騎士は推測し、まあ間違いはないだろう。
アルメンヌはこの旅の間の、慰み者としてエイシャ様が与えられたのだ。
この状況下では‥‥‥もうそう思うしかなかった。
「シルド様‥‥‥」
「イルバン卿、そのままだよ。
余興ではない。
俺はこの遊説を楽しむことにしたのさ。
アルメンヌは良い女だ。
どうだ、貴公らも?」
貸し出してもいいぞ?
妻であるエイシャの命令とのはざまで揺らぐなら、俺につけ。
そうすれば、いい思いをさせてやる。
そう、シルドは誘っていた。
「旦那様‥‥‥まさか本気じゃあ????」
シルドの発言にアルメンヌは外見は情婦らしく男に媚びを売る笑みを作りつつ小声でシルドに尋ねる。
そこまでするなんて話は聞いていないし、誰にでも身体を委ねる気もさらさらなかった。
「うん?
もちろん」
ああ、よかった。
本気じゃないんだわ。
そのアルメンヌの予測はあっさりと裏切られた。
「本気だ。
そのつもりでやれ」
死神の命じるように冷酷な声が、彼女の耳に突き刺さる。
そんな‥‥‥わたしを美しいと。
あの言葉はー‥‥‥。
抱き上げて言われた言葉すらも嘘ではなく、本気だったの?
エイシャへの愛は?
何よりもーーわたしは本当にものとして扱われている‥‥‥
自由など与えない。
すべては俺のものだ。
甘えるなよ、アルメンヌ。
シルドはそう言い、三人の騎士を見渡した。
ふん。
いいぞ、その反応だ。
侮蔑するような、貴族にあるまじき振る舞いだと思い、斬り捨てたくなるような顔をしている。
それがーー大事なんだ。
「なんだ?
要らないのか?
まあ、それなら俺が遊ぶとしよう、なあお前?
ああ、そうだ。
アルアドル卿」
いきなり名指しで呼ばれ、金髪の騎士はあわをくった顔をした
「は、はい。
大公閣下。
なんでございましょうか‥‥‥」
「うん、シルドでいいぞ。
もうめんどくさいのはなしだ。
それでな、この城塞都市アーハンルドの監督官はどこの高家になる?」
なし、そう言われましてもアルアドル卿は戸惑うが目の前でアルメンヌの腰を抱き可愛がろうとしているシルドを見るとあきれてその気も失せてくる。
もう、上辺だけ合わせるか、それとも大公のように過ごすか。
ここは試されるところだな。
不思議と彼はそう感じていた。
「このアーハンルドには高家はありません。
レグアル子爵家が監督しております」
うん、そうか。
子爵家、か。
お前はどう思う?
子爵家ならさぞ、いい暮らしをしていると思わないか?
胸元辺りに触れる素振りを見せながらシルドはアルメンヌに判断を委ねた。
「そ、そうですわね、御主人様‥‥‥。
さぞや、贅沢な暮らしぶりかとーー」
ちょっと本当に触らないでよ!
そんなに安くないんだから!!
三人の騎士からは後ろ頭しか見えないようにしてアルメンヌはシルドに牙をむいた。
「そうか、安くないか。
なら、高くいこう。
アルアドル卿、すまないがレグアル子爵家に遣いに行ってもらえるか?
大公が、遊説に来た、とな?」
見えない位置で、アルメンヌが思いっきり脇腹をつねっているその痛みを我慢しながらシルドはそう命じた。
この下町の臭いにもそろそろ慣れたか?」
三十代、黒髪のこの隊の指揮役、サーバス・アルム卿。
二十代、赤毛で聡明な、ギース・イルバン卿。
同じく、金髪で寡黙な、ルイ・アルアドル卿。
最後に、十代で赤毛に緑の瞳のアルメンヌ、と。
まだ降りてきてはいないが。
ああ、いや‥‥‥降りてきたな。
しかも、タイツも履かずに。
「おい、あれはー‥‥‥?」
「いや‥‥‥閣下!?」
「シルド様、あれはどのような余興でございますか?」
三者三様にアルメンヌのしだれないかっこうを見て反応が違う。
性格が出ていてこれはこれでいい人間を見る機会に出会えたな。
シルドは苦笑して階下に降りてきたアルメンヌを呼び寄せた。
「おいで、俺のアルメンヌ」
お、俺の‥‥‥!!??
三人はそこまであからさまになさるのですか、そう驚いて顔を見合わせた。
脳裏にはエイシャの声がこだましているのだろう。
シルドはその様子を窺い、そんなことを思っていた。
もし、女の色香を残すようなら斬ってすてなさい。
それが最初に与えれていた命令だ。
しかし、アルメンヌ自身を与えたのもエイシャだろう。
そう三人の騎士は推測し、まあ間違いはないだろう。
アルメンヌはこの旅の間の、慰み者としてエイシャ様が与えられたのだ。
この状況下では‥‥‥もうそう思うしかなかった。
「シルド様‥‥‥」
「イルバン卿、そのままだよ。
余興ではない。
俺はこの遊説を楽しむことにしたのさ。
アルメンヌは良い女だ。
どうだ、貴公らも?」
貸し出してもいいぞ?
妻であるエイシャの命令とのはざまで揺らぐなら、俺につけ。
そうすれば、いい思いをさせてやる。
そう、シルドは誘っていた。
「旦那様‥‥‥まさか本気じゃあ????」
シルドの発言にアルメンヌは外見は情婦らしく男に媚びを売る笑みを作りつつ小声でシルドに尋ねる。
そこまでするなんて話は聞いていないし、誰にでも身体を委ねる気もさらさらなかった。
「うん?
もちろん」
ああ、よかった。
本気じゃないんだわ。
そのアルメンヌの予測はあっさりと裏切られた。
「本気だ。
そのつもりでやれ」
死神の命じるように冷酷な声が、彼女の耳に突き刺さる。
そんな‥‥‥わたしを美しいと。
あの言葉はー‥‥‥。
抱き上げて言われた言葉すらも嘘ではなく、本気だったの?
エイシャへの愛は?
何よりもーーわたしは本当にものとして扱われている‥‥‥
自由など与えない。
すべては俺のものだ。
甘えるなよ、アルメンヌ。
シルドはそう言い、三人の騎士を見渡した。
ふん。
いいぞ、その反応だ。
侮蔑するような、貴族にあるまじき振る舞いだと思い、斬り捨てたくなるような顔をしている。
それがーー大事なんだ。
「なんだ?
要らないのか?
まあ、それなら俺が遊ぶとしよう、なあお前?
ああ、そうだ。
アルアドル卿」
いきなり名指しで呼ばれ、金髪の騎士はあわをくった顔をした
「は、はい。
大公閣下。
なんでございましょうか‥‥‥」
「うん、シルドでいいぞ。
もうめんどくさいのはなしだ。
それでな、この城塞都市アーハンルドの監督官はどこの高家になる?」
なし、そう言われましてもアルアドル卿は戸惑うが目の前でアルメンヌの腰を抱き可愛がろうとしているシルドを見るとあきれてその気も失せてくる。
もう、上辺だけ合わせるか、それとも大公のように過ごすか。
ここは試されるところだな。
不思議と彼はそう感じていた。
「このアーハンルドには高家はありません。
レグアル子爵家が監督しております」
うん、そうか。
子爵家、か。
お前はどう思う?
子爵家ならさぞ、いい暮らしをしていると思わないか?
胸元辺りに触れる素振りを見せながらシルドはアルメンヌに判断を委ねた。
「そ、そうですわね、御主人様‥‥‥。
さぞや、贅沢な暮らしぶりかとーー」
ちょっと本当に触らないでよ!
そんなに安くないんだから!!
三人の騎士からは後ろ頭しか見えないようにしてアルメンヌはシルドに牙をむいた。
「そうか、安くないか。
なら、高くいこう。
アルアドル卿、すまないがレグアル子爵家に遣いに行ってもらえるか?
大公が、遊説に来た、とな?」
見えない位置で、アルメンヌが思いっきり脇腹をつねっているその痛みを我慢しながらシルドはそう命じた。
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