突然ですが、侯爵令息から婚約破棄された私は、皇太子殿下の求婚を受けることにしました!

星ふくろう

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新章 魔導士シルドの成り上がり ~復縁を許された苦労する大公の領地経営~

第三十三話 城塞都市アーハンルドの闇 2

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 いきなり室内に連れ込まれて、アルアドル卿は困惑していた。
 三人の選ばれた騎士の中でも一番、最下位の自分になにを命じようとされるのか。
 その予測がつかなかったらだ。
「閣下、お話とは――??」
「まあ、そう焦るな、アルアドル卿。
 今日は子爵家への遣い、済まなかったな。
 小間使いのように扱ってしまった」
「いえ、そのようなお言葉‥‥‥。
 身に余る光栄でございます、閣下――」
 うーん、彼はまだ若い。
 さすがにアルム卿のようにざっくばらんに話はできないか。
 さて、どう切り出そうかな。
 シルドが思案している時だ。
「閣下?」
「うん?」
「その、アルメンヌは‥‥‥本当に、閣下の情婦にー‥‥‥?
 あ、いえ。
 すいません、出過ぎた質問でした」
 ふふん、これはいい魚が向こうから来てくれた。
 エサに食らいつくとわな。
「いいや、アルアドル卿。
 あれはな、お芝居だ」
「お芝居、です‥‥‥か??」
 うん、そうだな、とシルドは考えを巡らせる。
「アルアドル卿、子爵家はどうだった?
 このアーハンルドの貴族連中が住まう地域に屋敷があっただろう?
 この都市には、それ以上の爵位を持つ家もあるはずだ。
 それらと比べて、どうだった?
 中身でもいい、外観でもいい。
 どちらがきらびやかで、そうだな。
 余裕がある雰囲気を持っていた?」
 アルアドル卿はそうです、ね。
 と、一呼吸おいて報告を始める。
「侯爵様、それにこの地方では古い男爵家などもあり、お家そのものは立派でしたが。
 人のにぎやかさというか。
 そういったものが感じられませんでした。
 大公家のあるあの都市に比べ、どこも家人が少なく、見映えだけは良くしているように見えましたが‥‥‥。
 内実は、子爵家が一番、富裕であるように感じました」
 うん、いい返事だ。
 状況をよく観察している。
 頭の回転も速い。
 さて、誰が彼をこの一行にいれたか、だな‥‥‥
「なあ、アルアドル卿は誰から命じられた?
 この一行に入るように、と。
 エイシャ以外であることは分かっている。
 君の歩き方、剣の構え方。
 それは大公家のものではないな?」
 イルバン卿の時に剣を抜き、構えたのを見れたのは幸いだった。
「大丈夫だ、アルム卿もイルバン卿もそれぞれ別のところから裏で派遣されていることは知っている。
 君はどこからかな?」
 アルアドル卿は困った顔をして答えていいものか、どうかを悩んでいた。
 自分はどこそこです、そう言い、主に不忠にならないかと不安だったからだ。
「北の大公家、もしくは、闇の牙。
 ブルングド大公の差し金かな?」
 これは騙せない、か。
 アルアドル卿は黙って、胸から下げていた服の内側に隠していた紋章をシルドに差し出した。
「そうか、やはりブルングド大公。
 シェイルズ様か。
 では、殿下については聞いているのかな?」
 は?
 不思議そうな顔になる彼を見て、シルドはうん?
 となってしまう。
 てっきり、すべてを言い含めて送り込んできたと思っていたからだ。
「殿下とは‥‥‥ユニス様、の?」
 ああ、そう言えば世間ではまだ彼女が帝位継承者の立場だった。
 シルドはいや、そうではないよと否定する。
「殿下は男性だ。
 だが、若くはない。僕と変わらないほどだな。
 帝国の双頭の鷹はまだ健在だ」
「それはつまり‥‥‥グレン殿下がまだ生きていられる、と!?」
 初めて知る事実に、若い騎士は驚きを隠せないようだった。


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