突然ですが、侯爵令息から婚約破棄された私は、皇太子殿下の求婚を受けることにしました!

星ふくろう

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新章 魔導士シルドの成り上がり ~復縁を許された苦労する大公の領地経営~

第三十九話 城塞都市アーハンルドの闇 8

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 これは参ったな。
 シルドは内心、冷や汗をかいていた。
 ここまで意表を突く物を出してくるとは、この子爵は一筋縄ではいかないどころか‥‥‥
 さて、どうやってこの屋敷から仲間を逃がしたものか。
 シルドにそう思案させるほどに、闇に深く潜り込んでいた。

「枢軸経由、か?
 それとも、東の大公家かな?」
 シルドの問いかけに対して、いえいえ、そう子爵は首を振る。
「閣下のその、愛妾様のご縁の深い土地より、ですよ。
 ただし、大河を越えてはいませんがな?」
 愛妾、アルメンヌの縁の深い土地?
 南方大陸経由か。
 なるほどな。
「ほう‥‥‥」
 シルドはその土地がまさかの‥‥‥
 そう、結論つけるにはしたくない地名を思い浮かべていた。
 まあ、エシャーナ公家とエニシス半島の管理は厳しい。
 こんな珍しい奴隷を輸入するなら‥‥‥内陸の支流経由か。
 あの聖者サユキの塔に出入りした数度の合間に、法王庁に仕える神官で見たことしかなかった。
 あまりにも希少すぎるその存在。
「子爵殿、さて‥‥‥それはあまりにも珍しすぎるな。
 まあ、帝国では奴隷売買が認められているが、少なくともそれは人間に限られるのではなかったかな?」
「ええ、閣下。
 左様でございます。
 ですが、このようなものも、ここではまあ‥‥‥商いにはなりましてな。
 良い値段がつくことも珍しくありません。
 まあ、ここ最近に始まった訳ではありませんからな」
 ニヤニヤと、彼とその奴隷を連れてきた家臣たちは笑いだす。
 そんなに簡単に正体を明かすほどに、この子爵は愚か者か?
 いや、そんなことはないだろう。
 種明かしをした答えは一つしかない。
 そして、驚きは周囲にも伝播していた。
 そんな希少種、どこから輸入してきたのー‥‥‥?
 シルド同様にアルメンヌも少しばかり驚いていた
「その様な奴隷‥‥‥せめて、もう少しまともな衣服を着せるべきかもな。
 で、どのような恩を売りたいのだ、このシルドに?」
 いきなりの本命をぶつけてくるとはなあ‥‥‥
 アルム卿も意表を突かれて黙ってしまっている。
 断れば死。
 逆らえば死。
 あるのは沈黙の美徳のみ。
「いかがです、閣下?
 法王庁の力が弱まり、加護が消えた今――
 これらの売買は、いま人気があるのですよ?」
 下着程度の衣類をまとわせただけの彼女たちの、首輪に繋がれた鎖を子爵は引いてシルドに押して寄越す。
 彼の前に、その絨毯の上に倒れこんだ少女。
 青い尾に耳を持ちながらも人の姿をした、幻の種族。
 獣人‥‥‥
 シルドは心に確信を抱きながら、渡された鎖を引き寄せた‥‥‥ 
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