主人公になりたい人生だった

夏樹幸平はどこにでもいるごくごく普通の高校生……そう、友人にものすごくハイスペックな人間がいることを除いては。
そのハイスペック人間の名前は嶋村和也、ごくごく平凡な名前を持つ文武両道で容姿も性格も非の打ち所がない完璧超人であり「天才に凡人は決して勝つことができない」ということを証明したくないがために毎度なんらかの形で勝負を挑んでいる。
かつて幸平が好きだった女子『美咲小鳥』はばっちり和也に対して恋愛感情を抱いており、そして彼女は和也にフラれてはアタックを繰り返している。
その事実も幸平を苛立たせており、毎度の勝負につながっていくのだった。


ある日、和也が行方不明になったという知らせがあり友人数人で彼を捜索するのだが幸平と小鳥、それから嶋村和也ファンクラブの飯田恵は共に行動して行きそうな場所を探るのだが幸平はヒントがありそうなゲームショップへと向かう。
そこは治安がいい場所とはとても言えないものの品揃えと値段はゲーマーである和也を満足させ、幸平も時折レトロゲームを買いに赴いていた場所だ。
幸平はそんな場所に女子を連れて行くこともあるまいと一人で店に向かおうとするも、少しでも可能性があるならと恵と小鳥は強引についてくる。
店内を見渡すも店員は一人もおらずどこか不気味な雰囲気が漂っており、地下へと向かうと『城戸桜』を名乗る不審な人物に異世界へと飛ばされてしまう。
幸平は異世界へと飛ばされる謎空間の中、和也が見慣れない格好でどこか遠くの場所へと去っていく不思議な光景を見る。
和也に向かって叫ぶ幸平、そんな幸平の声がする方向へ振り返る和也。


気付けば幸平たちは見慣れぬ景色が広がる世界、クリアスワールドの大地に転がっており目覚めて早々魔物に追いかけ回される。
魔物に追いかけられる幸平たちを救ったのはメルドニア王国筆頭騎士『ラングレイ・アルカストロフ』であった。
ラングレイに案内されメルドニア王国首都からやや離れたアルカストロフ領に連れて来られ、薄々勘づいていたが幸平たちは異世界にやってきてしまったことを嫌でも思い知るのだった……。


現状では元の世界へと戻る方法が無いというラングレイだが、落ち込む幸平に「騎士を目指してみないか」と声をかける。
騎士になればラングレイのように領地を持てるようになり大きな権力を持てるようになり、この世界のことを調べられるようになるからだという。
こうして幸平は一縷の望みを賭け、ラングレイの下で修行をすることになるのだった。
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