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第一章 どうして魔族なんかに……

第三十三話 唐突な……

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 彼と楽しく食事をして、今までのことを謝罪したり、想いをしっかり伝えて、ちゃんと魔族として、この生を目一杯生きよう。
 そう、決意していたし、彼さえ居てくれれば、それが可能だと思っていた。





 それが崩されたのは、本当に唐突だった。

 店に行く途中、激しい衝撃と轟音に、街はパニックに陥った。


「きゃっ」

「オリアナ様っ!」


 轟音の直後、彼が覆い被さる姿を見て、そのまま一緒に倒れたところまでは覚えている。と、いうか、その時に意識を失ったわけでもないので、しっかりと、その後のこともちゃんと見てはいた。


「……ライト、さん……?」


 轟音が……爆発が起こったのは、私達のすぐ近くにあった建物。当然、爆発の影響を受けやすい位置でもある。
 そして、その瞬間に見えていたのは、建物の一部がこちらに飛んできている様子。


 ライトさんの、背中に刺さっているのは、ナニ……?


 あちこちで、悲鳴が上がっているのが聞こえる。
 爆発は一箇所だけではなく、いくつかの箇所で起こっているものらしく、どこか遠くで、そんな音が聞こえていた。


 この、手にある、アカイモノは、ナニ……?


 ヌルリとした感触と、鉄のような匂い。戦いに身を置くこともあった私は、それがナニか知っている。
 真っ赤なものが、彼の背中から絶え間なく流れ落ちていく。


「ラ、イト……さん……?」


 ナンデ、ライトサンは、ヘンジを、しなイ、ノ……?


 分からない。分かりたくない。目の前の光景を信じたくない。
 現実逃避をしながらも、体は現実に則した行動を取る。繊細な魔力操作を必要とする治癒魔法。それを行使して、この認めたくない現実をなかったことにしようと、必死になる。


「あぁ、やっと、邪魔者が消えたか。爆弾を仕込んだ甲斐があった」


 一通りの治療を終えた後、聞こえてきた言葉。
 一瞬だけ、その意味を理解しかねた。しかし、その男の顔を見た瞬間、事態を把握した。


「さぁ、理那、迎えに来たぞ」


 そう言って差し出されたその手を、私は……力一杯振り払った。
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