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第二章 どうして今更……

第二章 プロローグ(ライト視点)

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「初めまして、オリアナ・リシャールと申します。ライトさんとは、お互い片翼としてお付き合いさせていただいています」


 そう言って、オリアナ様が向かい合うのは、墓石だ。
 すでに、僕の親は他界している、と伝えた時、オリアナ様は、それならせめて、ご両親の墓に案内して欲しいと告げてきた。
 僕に父は居ないけれど、そういうことならばと、墓石の前まで案内したところ、こうして、オリアナ様が話し始めたというわけだ。


「結婚式も、もうすぐ、準備が整い次第行う予定です。必ず、ライトさんを幸せにしてみせますので、ご安心ください」

「違いますよ。オリアナ様。一緒に幸せになるんですから、ね」


 そう言って後ろから抱きつけば、オリアナ様はカチンと固まる。
 こんなちょっとした反応すら愛しくて、ついついその頬に口づけすれば、オリアナ様はビクッと肩を跳ね上げる。


「ラ、ライトさん。今は、報告中ですっ」

「うん、ありがとう。オリアナ様。これできっと、母さんも安心して眠れるよ」


 そう、きっと、安らかに眠ってくれるはずだ。生前は、苦労ばかりかけてしまったのだから、そうあってくれなければ悲しい。





 墓を後にした僕達は、これからのことを話す。


「私の家族は、ちょっと離れたところに住んでいますので、まとまった休みが取れた時には行きましょう。あと、ライトさんのお父様ですが……」

「あんな奴のところに挨拶なんて必要ありませんよ」


 僕の父親と呼ばれる存在は、一応生きてはいる。しかし、僕に父など居ない。それが、僕自身の認識だった。
 ただ、何も知らないオリアナ様からすると、つい出てしまった強い口調は驚くものだっただろうし、疑問にも思ったのだろう。


「なぜ、と聞いても良いでしょうか? 確か、ライトさんは民間の出ながら、貴族位を獲得したと聞いていましたが」


 そう、僕は、自分の力で貴族の地位を得た。それが、表向きの説明だ。実際は……。


「その……今まで言わなかったのは、隠していたとかではなくて、言い出す機会がなくて……すみません。それは、表向きの説明なんです」


 そうして、事情を話そうとしたところで。


「ようやく見つけました。搜しましたよ。ライト様」


 厳しい顔の燕尾服を着た男が、目の前に立ちはだかった。
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