やり直し結婚しませんか?

鳴宮鶉子

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倒れた元夫

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年末年始休暇を明けてから週末休む暇無しで、コロアウイルス患者の血液を分析し抗体治療薬の研究を進める。

治験が通り認可した治療薬とワクチンも、開発期間最短で製品化したのもあり、改良を行う。
ウイルスのワクチンは流行型を予想して毎年作り直すもの。
その型を聡太さんが選別していて、コロアウイルスとインフルエンザの両方のワクチン開発に携わってたから、帰国してから彼も多忙な日々を送ってた。

「……成瀬課長は?」

「出勤してない。電話をかけても繋がらないし、コロアに感染して家で倒れてたりして……」

「ーー家にいるか見てきます」

都内で流行している型のデータを聡太さんに見てもらおうと探すもいなくて、研究員全員が困ってた。

聡太さんが住んでいるかつて私も2ヶ月間生活していたマンションに向かう。
インターフォンを鳴らしても出ないから、返しそびえていた合鍵で中に入る。

15階の3LDKの角部屋が聡太さんの部屋で中に入ると、リビングのソファーに横たわっていた。
身体を触ると熱く汗だくで、脈が速く意識レベルが低下してた。

「藤堂教授、すみません。聡太さんがマンションで高熱だして倒れてしまって、病院に連れて行きたいのですが手を貸していただけませんか?」

「わかった、すぐいく」

聡太さんを1人で抱えて病院に連れて行くのは無理で、藤堂教授に電話をかけ、母が勤めている総合病院まで連れて行って貰った。

「……インフルエンザAとコロアウイルスに両方陽性出てますねーー」

隔離病棟はどこも満室で、疾患者隔離のためのホテルも空いてなく、連れて帰って自宅で治療する事に。

「涼音、俺が様子見に顔を出す」

「大丈夫。研修医時代、感染症内科を専攻してたから」

医大を卒業し創薬研究員になると決めてたけど、初期研修の2年間だけ、医師をしてた。
防御服着用で聡太さんの看病をする。

母が1週間分の着替えと食料を藤堂教授に託けて夕方に届けてくれた。
後、部長が聡太さんの血液を詳しく調べると防御服姿でお見舞いにきてくれた。
重傷者に使用する点滴薬と人工呼吸器をつけ、ベッドに寝かせて様子をみるも、熱が下がらず苦しそうでみていてつらい。

「……ウイルス感染なんてなれてるって言ってた癖に」

高熱でうなされてる聡太さんの額の汗を拭き、氷枕を替える。
水分補給のために点滴量を増やし、導尿カテーテルもつけた。

「……死なないで、お願い。聡太さんともう離れ離れになりたくない」

ウイルスと闘ってる聡太さん。
ベッドの横に1人がけソファーをもってきて、彼の右手をぎゅっと握りしめた。

「……涼音、迷惑かけたな」

2日後の夕方。熱が37℃後半まで落ち、目を覚ました聡太さんが私の方に身体を向け、声をかけてきた。

「……よかった。ずっと昏睡状態だったから、もう死ぬんじゃないかって思って不安だったよ」

「ーーさすがに今回はまずいかもと思った。インフルエンザとコロアの両方に罹るとやばいな」

はにかんだ笑顔をし、後頭部を掻く聡太さん。

「よかった。熱測ろうか。お粥作ってくるね」

体温計を渡し、寝室を出る。
炊いてサランラップで小分けして冷凍していたご飯を1つ取り出し、鶏だしの卵がゆを作り、寝室に持っていく。

熱は36.8℃まで下がっていて、強靭的な肉体の持ち主なんだなと、改めて思う。
2日半で普通は完治しない。

「腹減った。久しぶりに涼音の味噌汁と肉じゃがとハンバーグを食べたいな」

「2週間は自宅待機だから、作るよ」

冷蔵庫には食料が溢れてる。
藤堂教授がうちに顔を出すたびに差し入れしてくれる。
私と聡太さんの身を案じ、日に数度時間をみつけて来てくれた。

夕方に藤堂教授が母と一緒に来てくれてピンピンしている聡太さんの姿を見て、ほっとしてた。
2人とも仕事をしてるから感染するわけにはいかない。
玄関先で数分立ち話しかできないけど、差し入れをしに来てくれる。

「築地の寿司、美味いな!!」

熱が下がった次の日から在宅勤務で仕事をしてる。
私も書類作成の仕事を手伝い、藤堂教授からのランチの差し入れを楽しみにしてる日々。
不幸中の幸いで私は感染しなかった。





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