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理玖と初めて繋がった次の日の朝。
朝から襲おうとしてくる理玖を押しのけ、骨盤が痛くて歩くのがぎこちない中、1人でシャワーを浴びて服を着た。
残念そうな理玖も、わたしがやる気ないのがわかると、渋々シャワーを浴びて服を着た。
理玖の名古屋のマンションにはキッチン用具どころか食べ物も無く、昨日は夕ご飯を食べた後、昼寝をしたのもあり朝方まで理玖に求められ、身体を動かしすぎて、かなり空腹だ。
「理玖ニイ、お腹がすいたんだけど」
時計の針は11時。
名古屋は私の故郷だから、行きつけの店も何軒かある。
車で15分ほどの所にあるひつまぶしが美味しい店に連れて行って貰った。
「美味しい。久しぶりの外食だ」
ひつまぶし御膳に舌鼓を打つ。
ひつまぶしにサラダに天ぷらとボリュームがあって、いつもは食べきれないのに、今日はぺろっと食べきった。
「理玖ニイ、午後7時15分の新幹線で福岡に帰るから」
ランチを食べ、今日、帰らないといけない事を思い出し、iPhoneで新幹線の時刻表を見た。
いつもは理玖ニイが福岡から名古屋に帰ってたけど、今日は、わたしが名古屋から福岡に帰らないといけない。
「そうだよな…、福岡に帰るか。美月とせっかく気持ちが通じたのにな…」
理玖とマンションに戻ってから、今後について話し合った。
わたしが逃げ出したから延期になってるけど、婚約してる間柄。
わたしの両親と陽大は、『早く結婚しろ』と急かしてる。
理玖も、わたしと名古屋のこのマンションで今すぐにでも暮らしたいと言ってる。
でも、わたしはせっかく故郷から出て、就職したんだから、もう少し、福岡で頑張りたいと思ってる。
理玖がライトメアで手がけたゲームは3月に発売予定だ。
できたら発売してしばらくは、広報部の事務員として勤めたい。
6月の終わりに結婚式を挙げて籍を入れることを決め、5月末にライトメアを退職する事に決めた。
理玖の仕事が多忙なのと、結婚式は名古屋であげるからその準備もあるから、週末は金曜日の仕事上がりに新幹線に乗って名古屋に行き、帰りは夕ご飯を食べた後、7時15分の新幹線で福岡に帰る事にした。
毎週末、新幹線で福岡と名古屋を往復する日々。
元々、今年の6月に、両親主導で計画されてた。
婚姻届も書かされてた。
わたしが自動車業界最大手ヒロセの娘で、アメリカで最先端技術を習得し新技術を開発した有能な技術者に嫁ぐのは会社のために必要な事。
その技術者が物心つく前から一緒に育った幼馴染で、彼がわたしの事を大切にしてくれてるのはわかってる。
でも、理玖と関係を結んだ事で、結婚に向けて、急速に進んでいるのが、嫌。
理玖がヒロセの社長をしてる父に、結婚に向けての報告と時期を伝えたのだろう…。
まだまだ先の事なのに、新聞や経済雑誌、情報番組で【理玖とヒロセの御令嬢】の結婚についてが話題になった。
わたしの勤めているライトメアでも、実際に理玖が社内に出入りしてた事もあり狙ってた女子社員は多く、理玖の結婚を残念がる声が多かった。
しかも、
「ヒロセの御令嬢と結婚したら、うちの仕事はもう受けれないんだよね?海堂理玖の産み出すゲームは発想がズバ抜けて面白いのに、これからもうちに協力して欲しい」
という声が社内で多数上がってた。
社長達は、理玖と1度だけと初めから約束をしていて、救世主として多忙な中引き受けてくれた理玖に感謝をし、それ以上は求めてない。
「また、御令嬢、逃走しないかな?」
「結婚が流れたら、うちで働くとかないかな?」
理玖が手がけたゲームの広報として仕事に従事する中、出来上がったゲームの今までにない斬新感のある、そして、ストーリーが面白い出来栄えに、社員一同が絶賛した。
これからも海堂理玖の手がけるゲームに携わりたいという声の多さに、申し訳なく思う。
理玖の多彩な才能を目の当たりし、戸惑いを感じる。
彼がシンガーソングライターとして出した曲は、テレビ出演やライブなどをしてないのに大ヒットしていた。
最近はヒロセの仕事が多忙で、週末はわたしとただ一緒にいる生活をしている。
ただ、身体を繋げ、わたしが作ったご飯を食べてるだけ。
理玖と一緒にいるのが、なぜか虚しくなってきた。
わたしには、理玖みたいに秀でた才能はなく。
わたしの存在が、理玖の時間を奪い、理玖の才能を発揮する時間や機会を奪ってる気がした。
理玖に、
『土曜日の新幹線に乗って名古屋に行く』
と言って、土曜日の午後の便で理玖の所へ行き、日曜日は、
『明日からの仕事に響くから』
と、午後イチの新幹線で福岡に帰った。
理玖は寂しそうな表情をしてた。
マリッジブルーと思って、わたしの好きなようにさせてくれた。
年末は理玖も一緒に実家で過ごした。
ヒロセの社長の父と専務をしてる母。
そして、社長秘書をしてる陽大。
理玖とわたしの結婚を喜んでる。
理玖のご両親も招き、大晦日と元日を飲んで騒いでと宴を楽しんでた。
クリスマスはお互い仕事で、30日に名古屋のマンションでプレゼントと、桜の花をモチーフにしてるシンプルなダイヤの指輪を貰った。
婚約指輪だと思う。
わたしは、ネクタイとネクタイピンを一応用意し、渡した。
結婚披露宴に関しては、マスコミが取材が入るのと関連会社の社長などの御来賓を招くのもあり、ヒロセの秘書課が企画するとかで、わたしはドレス合わせしか携わってない。
しかも、デザイナーがわたしが1番似合うドレスを選ぶという感じで、サイズを合わせるだけだった。
理玖との結婚について、虚しく、感じていた。
年始年末の休暇は名古屋で過ごしたけれど、早く福岡に帰って、1人になりたかった。
3月12日 ライトメアの最新作、
スイッチのゲームソフト、
【モンスターウォッチ】
が発売された。
広報部として、ポスターやゲーム雑誌の仕事の事務的な仕事に携わってきた。
このゲームが大ヒットするという確信を持っていた。
新しい世界観とクイズ的な対戦方式に、多くの人が手に取り、その魅力に魅了された。
そして、発売して1ヶ月しか経ってないのに、アニメ化が決まった。
ヒロセの自動車開発に関しても、5月の初めに新しいエンジンの開発に成功したという快挙を挙げた。
海堂理玖の多彩な才能と能力に多くの人が感動してどよめいた。
GWも名古屋で過ごしたけれど、理玖は取材の対応で昼間は駆り出されていて、1人で名古屋の街並みにショッピングに出かけたりして過ごした。
理玖と一緒に居ないで済む事にホッとしてた。
理玖はその取材にわたしを連れて行こうとしたけれど、
『芸能人以上に人気がある理玖と歩くとファンに何されるかわからないから怖い』
と、拒絶した。
1番の理由は、理玖と一緒に居たくないから。
こんな気持ちで、理玖と結婚していいのか悩んだ。
5月31日
わたしはライトメアを退職した。
理玖にとっては待ちに待った日かもしれないけど、わたしは今後をどうするか悩んでいた。
6月19日の大安の日曜日に、結婚式を挙げる事になってる。
結婚準備に関して、全くと言っていいほど何もしてなくて、結婚する実感が持ててなかった。
仕事を退職し、1人福岡のマンションに帰る。
誰もいない部屋にポツリ。
平日は理玖は夜中まで仕事で帰ってこないから、名古屋にすぐに引っ越すようには言われてない。
火曜日に退職し、木曜日の夜まで、福岡のマンションで1人、外を眺めながら今後について考えた。
そして、決めた。
逃げようと…。
6月3日、金曜日。
福岡空港から札幌空港まで経つ事を決める。
マンションそばの銀行で、ライトメアに勤めてから貯めたお金を引き落とした。
理玖が家賃と光熱費等を支払ってくれてたから使う機会がなく、120万も貯まっていた。
最低限の服を旅行バックに詰め込み、福岡空港へ向かう。
iPhoneは電源を切って、マンションに置いてきた。
福岡空港から札幌空港までは2時間10分で着いた。
6月の札幌は福岡よりも少し寒かった。
無計画に北海道へやって来たわたし。
しばらく暮らす場所も決めてなく、なんとなく、近場の札幌の街並みを歩き、そこに泊まる事にした。
120万円で何日間、北海道であてのない旅ができるのだろう…。
結婚式の前には名古屋の理玖のマンションに戻ろうか…と思いつつも、戻りたくない自分がいる。
札幌滞在1日目
夜景のきれないホテルに泊まった。
窓からの夜景は、名古屋と福岡の理玖のマンションからの夜景に重なり、虚しくなり、1日2万5千円は高い事もあり、次の日からは格安のビジネスホテルに泊まった。
札幌には5日間滞在し、その後、富良野へ向かった。
富良野といえば牧場で、広大な青々とした地にのうのうと生きてる牛や羊を見てた。
人があまりいない静かな街並み。
泊まれるとこが少なく、木造でできたコテージを借りて、ここでのんびりと暮らした。
あまりに居心地が良くて、いつまでも居たいと思ってしまう。
気づいたら北海道へ来て、2週間経っていた。
コテージにはテレビはなく、衣食住について世話をしてくれる人もいなくて、3日に1回、買い出しにでかけた。
少し足を伸ばして、旭川動物園に行ったりと観光もした。
6月18日 土曜日
明日が結婚式の日。
でも、花嫁のわたしは、まだ、富良野のコテージにいた。
理玖の元に帰ろうと思った。
でも、帰りたくなかった。
理玖の多彩な才能と成功を知ると、
わたしは理玖に相応しく無い。
テレビの無い、情報からシャットダウンされたこの空間で、現実から逃げてた。
物思いに耽っていると、コテージのインターフォンがなる。
連泊の客に対して、日用品の追加を聞きにきたのかもと、ドアを開けようとしたら、
そこには、ここに居るはずない人がいた。
ドアを閉めて鍵を閉めようとしたら、こじ開けられた。
「美月、ゲームオーバー。自分から帰って来るのを待ってたけどね。迎えに来たよ」
コテージの中に理玖が入った。
そして、わたしの私物を片付け出す。
「帰りたくない。結婚はしたくない」
荷物をカバンに入れていく理玖の後ろ姿を見ながら、呟いた。
理玖の手が止まる。
「美月、なんで。俺の事が嫌いじゃないんだろ。何が不満なの」
理玖が哀しそうな顔をしてわたしを見た。
理由を聞かれても、答えられない。
理玖のことが嫌いなわけじゃない。
好きだと思う。
結婚をしたくないだけ。
「美月…、結婚するのが不安なだけだろ。ヒロセの御令嬢といっても、美月はいつも泣いてばかりでくよくよしてて、社交の場に連れて行かれいかれなかったよな。それもあって、結婚して社交の場に出ないといけないと思って怖いと思ってるんだろ」
理玖がわたしが気づいてなかった意図をついた事を言われ、ハッとしてしまった。
理玖にはわたしの考えはお見通しなんだ。
わたし、理玖が嫌なんじゃなく、ヒロセの御令嬢という立場と社交の場に出ないといけない事が重圧で逃げたかった。
「美月、俺さ、美月を守りたくて、美月の婿に相応しくなるために、ハーバード大学行って車の開発に関するに関する最新技術を習得してきた。美月、なにも不安に感じないでいいし、そういう場には出さないようにする。美月、俺が守るから、結婚してくれ」
理玖が真剣な顔をして、わたしを見つめた。
理玖の言葉を聞き、嬉しくて、涙が溢れた。
そんなわたしに理玖は近づき、そっと抱きしめてくれた。
理玖には敵わない。
理玖と名古屋へ帰った。
帰る道中、理玖はわたしの手を離さなかった。
コテージで現状について説明された。
明日の結婚式に関しては、結婚報告として、わたしは出席しない手筈を取ったらしい。
さすがに2度目も流れると、世間的に悪い噂が経つことから、籍も勝手に入れるつもりだったらしい。
理玖の人気ぶりからもヒロセの御令嬢との結婚話はかなり叩かれていたのもあり、身を案じて表に出ないと関係者には説明したらしい。
だから、明日はわたしはマンションでなにも不安を感じずに居るよう言われた。
わたしの父と母と陽大にも、わたしを叱らないように伝えてると。
しばらくは顔合わすのも気まずいと思うから、会わなくていいと。
理玖のいるマンションにいてさえいたら、後はなにもしなくていい。
理玖の優しさに涙した。
マンションの家のドアを開け入ると理玖がわたしを強く抱きしめた。
「美月、帰ってきて早々にごめん。抱かせて。美月が俺のところに帰ってきたって確認させて」
理玖の色っぽい表情に、頷く。
理玖はわたしをお姫様抱っこし、靴を投げ捨て、寝室にわたしを連れて行った。
優しくベッドに降ろされ、理玖が覆い被さるようにわたしを閉じ込める。
そして、情熱的なキスをした。
久しぶりの理玖のキス、舌を絡ませ、お互いのエキスを吸い上げる。
長い長いディープキス。
そして、わたしが着ているシャツのボタンを外し、片手でブラジャーのフォックを外した。
それから、わたしのシャツとブラジャーを脱がせ、2つの膨らみを掴み、頂を口に含み、噛み、舌で転がす。
あまりの気持ちの良さに、甘い声が出てしまう。
理玖が膨らみを口に含んだまま、わたしのスカートとパンティーを剥ぎ取り、わたしと繋がる口に指を入れた。
そこはもう潤っていて、理玖の肉棒を欲しがっていた。
理玖はいつものようにわたしのそこに舌を入れ、蜜の味を確かめ、舌と指でわたしの敏感な蕾を刺激し、完全に潤ったところで、自身を埋めた。
理玖の肉棒を久しぶりに受け入れた子宮は、完全に喜んでいて、突くたびに愛液を放出する。
理玖が下の口だけでなく、わたしの上の口も塞ぎ、舌でわたしを朦朧させる。
「美月、中に出していい?明日で美月は俺の奥さんだし、俺の子を育てて、俺から離れられないようにして、安心したい」
わたしは理玖の行為に理性を失い、ただ、快感を感じたくて、首を縦に振った。
理玖はわたしの口を塞ぎ、デープなキスをしながら、肉棒をわたしに打ち付け、中に白い彼の優秀な遺伝子を放出させた。
その後も、理玖は何度もわたしを求め、わたしの子宮に種を蒔いていった。
明日は朝から結婚報告としてパーティーに出席しないといけないのに。
夜が明けるまで、わたしを寝かせてくれなかった。
次の日、わたしは海堂美月になった。
夕方からずっと理玖と繋がっていた疲れで、理玖が結婚報告パーティーから帰ってくるまでずっと眠っていた。
普段から寝不足になれてるタフな理玖。
理玖が眠ってるわたしにキスを落とし、それで目を覚ました。
「奥さん、ただいま」
朝から襲おうとしてくる理玖を押しのけ、骨盤が痛くて歩くのがぎこちない中、1人でシャワーを浴びて服を着た。
残念そうな理玖も、わたしがやる気ないのがわかると、渋々シャワーを浴びて服を着た。
理玖の名古屋のマンションにはキッチン用具どころか食べ物も無く、昨日は夕ご飯を食べた後、昼寝をしたのもあり朝方まで理玖に求められ、身体を動かしすぎて、かなり空腹だ。
「理玖ニイ、お腹がすいたんだけど」
時計の針は11時。
名古屋は私の故郷だから、行きつけの店も何軒かある。
車で15分ほどの所にあるひつまぶしが美味しい店に連れて行って貰った。
「美味しい。久しぶりの外食だ」
ひつまぶし御膳に舌鼓を打つ。
ひつまぶしにサラダに天ぷらとボリュームがあって、いつもは食べきれないのに、今日はぺろっと食べきった。
「理玖ニイ、午後7時15分の新幹線で福岡に帰るから」
ランチを食べ、今日、帰らないといけない事を思い出し、iPhoneで新幹線の時刻表を見た。
いつもは理玖ニイが福岡から名古屋に帰ってたけど、今日は、わたしが名古屋から福岡に帰らないといけない。
「そうだよな…、福岡に帰るか。美月とせっかく気持ちが通じたのにな…」
理玖とマンションに戻ってから、今後について話し合った。
わたしが逃げ出したから延期になってるけど、婚約してる間柄。
わたしの両親と陽大は、『早く結婚しろ』と急かしてる。
理玖も、わたしと名古屋のこのマンションで今すぐにでも暮らしたいと言ってる。
でも、わたしはせっかく故郷から出て、就職したんだから、もう少し、福岡で頑張りたいと思ってる。
理玖がライトメアで手がけたゲームは3月に発売予定だ。
できたら発売してしばらくは、広報部の事務員として勤めたい。
6月の終わりに結婚式を挙げて籍を入れることを決め、5月末にライトメアを退職する事に決めた。
理玖の仕事が多忙なのと、結婚式は名古屋であげるからその準備もあるから、週末は金曜日の仕事上がりに新幹線に乗って名古屋に行き、帰りは夕ご飯を食べた後、7時15分の新幹線で福岡に帰る事にした。
毎週末、新幹線で福岡と名古屋を往復する日々。
元々、今年の6月に、両親主導で計画されてた。
婚姻届も書かされてた。
わたしが自動車業界最大手ヒロセの娘で、アメリカで最先端技術を習得し新技術を開発した有能な技術者に嫁ぐのは会社のために必要な事。
その技術者が物心つく前から一緒に育った幼馴染で、彼がわたしの事を大切にしてくれてるのはわかってる。
でも、理玖と関係を結んだ事で、結婚に向けて、急速に進んでいるのが、嫌。
理玖がヒロセの社長をしてる父に、結婚に向けての報告と時期を伝えたのだろう…。
まだまだ先の事なのに、新聞や経済雑誌、情報番組で【理玖とヒロセの御令嬢】の結婚についてが話題になった。
わたしの勤めているライトメアでも、実際に理玖が社内に出入りしてた事もあり狙ってた女子社員は多く、理玖の結婚を残念がる声が多かった。
しかも、
「ヒロセの御令嬢と結婚したら、うちの仕事はもう受けれないんだよね?海堂理玖の産み出すゲームは発想がズバ抜けて面白いのに、これからもうちに協力して欲しい」
という声が社内で多数上がってた。
社長達は、理玖と1度だけと初めから約束をしていて、救世主として多忙な中引き受けてくれた理玖に感謝をし、それ以上は求めてない。
「また、御令嬢、逃走しないかな?」
「結婚が流れたら、うちで働くとかないかな?」
理玖が手がけたゲームの広報として仕事に従事する中、出来上がったゲームの今までにない斬新感のある、そして、ストーリーが面白い出来栄えに、社員一同が絶賛した。
これからも海堂理玖の手がけるゲームに携わりたいという声の多さに、申し訳なく思う。
理玖の多彩な才能を目の当たりし、戸惑いを感じる。
彼がシンガーソングライターとして出した曲は、テレビ出演やライブなどをしてないのに大ヒットしていた。
最近はヒロセの仕事が多忙で、週末はわたしとただ一緒にいる生活をしている。
ただ、身体を繋げ、わたしが作ったご飯を食べてるだけ。
理玖と一緒にいるのが、なぜか虚しくなってきた。
わたしには、理玖みたいに秀でた才能はなく。
わたしの存在が、理玖の時間を奪い、理玖の才能を発揮する時間や機会を奪ってる気がした。
理玖に、
『土曜日の新幹線に乗って名古屋に行く』
と言って、土曜日の午後の便で理玖の所へ行き、日曜日は、
『明日からの仕事に響くから』
と、午後イチの新幹線で福岡に帰った。
理玖は寂しそうな表情をしてた。
マリッジブルーと思って、わたしの好きなようにさせてくれた。
年末は理玖も一緒に実家で過ごした。
ヒロセの社長の父と専務をしてる母。
そして、社長秘書をしてる陽大。
理玖とわたしの結婚を喜んでる。
理玖のご両親も招き、大晦日と元日を飲んで騒いでと宴を楽しんでた。
クリスマスはお互い仕事で、30日に名古屋のマンションでプレゼントと、桜の花をモチーフにしてるシンプルなダイヤの指輪を貰った。
婚約指輪だと思う。
わたしは、ネクタイとネクタイピンを一応用意し、渡した。
結婚披露宴に関しては、マスコミが取材が入るのと関連会社の社長などの御来賓を招くのもあり、ヒロセの秘書課が企画するとかで、わたしはドレス合わせしか携わってない。
しかも、デザイナーがわたしが1番似合うドレスを選ぶという感じで、サイズを合わせるだけだった。
理玖との結婚について、虚しく、感じていた。
年始年末の休暇は名古屋で過ごしたけれど、早く福岡に帰って、1人になりたかった。
3月12日 ライトメアの最新作、
スイッチのゲームソフト、
【モンスターウォッチ】
が発売された。
広報部として、ポスターやゲーム雑誌の仕事の事務的な仕事に携わってきた。
このゲームが大ヒットするという確信を持っていた。
新しい世界観とクイズ的な対戦方式に、多くの人が手に取り、その魅力に魅了された。
そして、発売して1ヶ月しか経ってないのに、アニメ化が決まった。
ヒロセの自動車開発に関しても、5月の初めに新しいエンジンの開発に成功したという快挙を挙げた。
海堂理玖の多彩な才能と能力に多くの人が感動してどよめいた。
GWも名古屋で過ごしたけれど、理玖は取材の対応で昼間は駆り出されていて、1人で名古屋の街並みにショッピングに出かけたりして過ごした。
理玖と一緒に居ないで済む事にホッとしてた。
理玖はその取材にわたしを連れて行こうとしたけれど、
『芸能人以上に人気がある理玖と歩くとファンに何されるかわからないから怖い』
と、拒絶した。
1番の理由は、理玖と一緒に居たくないから。
こんな気持ちで、理玖と結婚していいのか悩んだ。
5月31日
わたしはライトメアを退職した。
理玖にとっては待ちに待った日かもしれないけど、わたしは今後をどうするか悩んでいた。
6月19日の大安の日曜日に、結婚式を挙げる事になってる。
結婚準備に関して、全くと言っていいほど何もしてなくて、結婚する実感が持ててなかった。
仕事を退職し、1人福岡のマンションに帰る。
誰もいない部屋にポツリ。
平日は理玖は夜中まで仕事で帰ってこないから、名古屋にすぐに引っ越すようには言われてない。
火曜日に退職し、木曜日の夜まで、福岡のマンションで1人、外を眺めながら今後について考えた。
そして、決めた。
逃げようと…。
6月3日、金曜日。
福岡空港から札幌空港まで経つ事を決める。
マンションそばの銀行で、ライトメアに勤めてから貯めたお金を引き落とした。
理玖が家賃と光熱費等を支払ってくれてたから使う機会がなく、120万も貯まっていた。
最低限の服を旅行バックに詰め込み、福岡空港へ向かう。
iPhoneは電源を切って、マンションに置いてきた。
福岡空港から札幌空港までは2時間10分で着いた。
6月の札幌は福岡よりも少し寒かった。
無計画に北海道へやって来たわたし。
しばらく暮らす場所も決めてなく、なんとなく、近場の札幌の街並みを歩き、そこに泊まる事にした。
120万円で何日間、北海道であてのない旅ができるのだろう…。
結婚式の前には名古屋の理玖のマンションに戻ろうか…と思いつつも、戻りたくない自分がいる。
札幌滞在1日目
夜景のきれないホテルに泊まった。
窓からの夜景は、名古屋と福岡の理玖のマンションからの夜景に重なり、虚しくなり、1日2万5千円は高い事もあり、次の日からは格安のビジネスホテルに泊まった。
札幌には5日間滞在し、その後、富良野へ向かった。
富良野といえば牧場で、広大な青々とした地にのうのうと生きてる牛や羊を見てた。
人があまりいない静かな街並み。
泊まれるとこが少なく、木造でできたコテージを借りて、ここでのんびりと暮らした。
あまりに居心地が良くて、いつまでも居たいと思ってしまう。
気づいたら北海道へ来て、2週間経っていた。
コテージにはテレビはなく、衣食住について世話をしてくれる人もいなくて、3日に1回、買い出しにでかけた。
少し足を伸ばして、旭川動物園に行ったりと観光もした。
6月18日 土曜日
明日が結婚式の日。
でも、花嫁のわたしは、まだ、富良野のコテージにいた。
理玖の元に帰ろうと思った。
でも、帰りたくなかった。
理玖の多彩な才能と成功を知ると、
わたしは理玖に相応しく無い。
テレビの無い、情報からシャットダウンされたこの空間で、現実から逃げてた。
物思いに耽っていると、コテージのインターフォンがなる。
連泊の客に対して、日用品の追加を聞きにきたのかもと、ドアを開けようとしたら、
そこには、ここに居るはずない人がいた。
ドアを閉めて鍵を閉めようとしたら、こじ開けられた。
「美月、ゲームオーバー。自分から帰って来るのを待ってたけどね。迎えに来たよ」
コテージの中に理玖が入った。
そして、わたしの私物を片付け出す。
「帰りたくない。結婚はしたくない」
荷物をカバンに入れていく理玖の後ろ姿を見ながら、呟いた。
理玖の手が止まる。
「美月、なんで。俺の事が嫌いじゃないんだろ。何が不満なの」
理玖が哀しそうな顔をしてわたしを見た。
理由を聞かれても、答えられない。
理玖のことが嫌いなわけじゃない。
好きだと思う。
結婚をしたくないだけ。
「美月…、結婚するのが不安なだけだろ。ヒロセの御令嬢といっても、美月はいつも泣いてばかりでくよくよしてて、社交の場に連れて行かれいかれなかったよな。それもあって、結婚して社交の場に出ないといけないと思って怖いと思ってるんだろ」
理玖がわたしが気づいてなかった意図をついた事を言われ、ハッとしてしまった。
理玖にはわたしの考えはお見通しなんだ。
わたし、理玖が嫌なんじゃなく、ヒロセの御令嬢という立場と社交の場に出ないといけない事が重圧で逃げたかった。
「美月、俺さ、美月を守りたくて、美月の婿に相応しくなるために、ハーバード大学行って車の開発に関するに関する最新技術を習得してきた。美月、なにも不安に感じないでいいし、そういう場には出さないようにする。美月、俺が守るから、結婚してくれ」
理玖が真剣な顔をして、わたしを見つめた。
理玖の言葉を聞き、嬉しくて、涙が溢れた。
そんなわたしに理玖は近づき、そっと抱きしめてくれた。
理玖には敵わない。
理玖と名古屋へ帰った。
帰る道中、理玖はわたしの手を離さなかった。
コテージで現状について説明された。
明日の結婚式に関しては、結婚報告として、わたしは出席しない手筈を取ったらしい。
さすがに2度目も流れると、世間的に悪い噂が経つことから、籍も勝手に入れるつもりだったらしい。
理玖の人気ぶりからもヒロセの御令嬢との結婚話はかなり叩かれていたのもあり、身を案じて表に出ないと関係者には説明したらしい。
だから、明日はわたしはマンションでなにも不安を感じずに居るよう言われた。
わたしの父と母と陽大にも、わたしを叱らないように伝えてると。
しばらくは顔合わすのも気まずいと思うから、会わなくていいと。
理玖のいるマンションにいてさえいたら、後はなにもしなくていい。
理玖の優しさに涙した。
マンションの家のドアを開け入ると理玖がわたしを強く抱きしめた。
「美月、帰ってきて早々にごめん。抱かせて。美月が俺のところに帰ってきたって確認させて」
理玖の色っぽい表情に、頷く。
理玖はわたしをお姫様抱っこし、靴を投げ捨て、寝室にわたしを連れて行った。
優しくベッドに降ろされ、理玖が覆い被さるようにわたしを閉じ込める。
そして、情熱的なキスをした。
久しぶりの理玖のキス、舌を絡ませ、お互いのエキスを吸い上げる。
長い長いディープキス。
そして、わたしが着ているシャツのボタンを外し、片手でブラジャーのフォックを外した。
それから、わたしのシャツとブラジャーを脱がせ、2つの膨らみを掴み、頂を口に含み、噛み、舌で転がす。
あまりの気持ちの良さに、甘い声が出てしまう。
理玖が膨らみを口に含んだまま、わたしのスカートとパンティーを剥ぎ取り、わたしと繋がる口に指を入れた。
そこはもう潤っていて、理玖の肉棒を欲しがっていた。
理玖はいつものようにわたしのそこに舌を入れ、蜜の味を確かめ、舌と指でわたしの敏感な蕾を刺激し、完全に潤ったところで、自身を埋めた。
理玖の肉棒を久しぶりに受け入れた子宮は、完全に喜んでいて、突くたびに愛液を放出する。
理玖が下の口だけでなく、わたしの上の口も塞ぎ、舌でわたしを朦朧させる。
「美月、中に出していい?明日で美月は俺の奥さんだし、俺の子を育てて、俺から離れられないようにして、安心したい」
わたしは理玖の行為に理性を失い、ただ、快感を感じたくて、首を縦に振った。
理玖はわたしの口を塞ぎ、デープなキスをしながら、肉棒をわたしに打ち付け、中に白い彼の優秀な遺伝子を放出させた。
その後も、理玖は何度もわたしを求め、わたしの子宮に種を蒔いていった。
明日は朝から結婚報告としてパーティーに出席しないといけないのに。
夜が明けるまで、わたしを寝かせてくれなかった。
次の日、わたしは海堂美月になった。
夕方からずっと理玖と繋がっていた疲れで、理玖が結婚報告パーティーから帰ってくるまでずっと眠っていた。
普段から寝不足になれてるタフな理玖。
理玖が眠ってるわたしにキスを落とし、それで目を覚ました。
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