貴方の子を産み育ててますが、結婚はお断りします

鳴宮鶉子

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プロローグ

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『……伽音、可愛い。俺の理想の女性だ』

銀座地区で唯一のタワーホテル、三谷ガーデンホテル銀座スター最上階。
高い天井と頭上まで伸びる大きな窓から、なんとも言えないぐらい贅沢な煌めく銀座の夜景が広がっている。
キングサイズのスプリングが効いたベッドに、ついさっき知り合ったばかりの男性に組み敷かれ、ドクドクと心臓が高速に鼓動する。

『……優しくするから、俺に全てを委ねて』


甘い低い声が耳元で響き、カプっと耳を口に含まれ、吸いつかれ、舌で弄ばれ、初めてされる行為なのに、感じ、甘い声をあげてしまう。
意志が強そうな切長な目、高く通った鼻梁に、薄く理知的な唇。
身長も180センチ以上あるのではないか。
スーツを身に纏っている時は細く感じた体躯も、脱ぎ捨てると意外と肩幅があり、引き締まった細マッチョで逞しい。

いつもは目立たないように押しつぶしている小型スイカサイズの胸。
サッシュタイプの淡い桜色のブラウスを捲し上げられ、ブラジャーの上から両膨らみを鷲掴みにされ、揉み拉かれ、あまりの気持ちよさに、よがってしまう。
ブラジャーのフォックを外され、ブラウスと一緒に剥ぎ取られ、首筋から胸、お腹と至る所を舐められ、紅い印をつけられ、端正な顔立ちをした男に、私は初めてを捧げ、抱かれた。

丁寧に愛撫され、貫通した事がない蜜路が潤うも、男の滾った昂まりを受け入れると、処女喪失で、紅い飛沫を飛ばした。

ーーその夜、私はこの男に、何度抱かれたのだろう。

窓から差し込む銀座のネオンが、朝日に変わるまで、体を重ねた。
目覚めると私を抱いた男の姿は無く、それっきり。

彼の子を身籠るも、その事に気がつかなかった。
堕胎できない周期になりわかり、留学先のアメリカで1人で産み、シングルマザーをしながら大学時代を過ごした。
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